顔合わせ
「保健委員長?どうしましたか?」
席を立った俺の裾を摘んだのは保健委員長だった。背筋を曲げることなく、背もたれに背をかけるでもなく、とても綺麗に座っている先輩。
「あ、ごめんなさい……。」
不思議に眺めていると保健委員長は顔を赤らめ手を離した。
どうやら人見知りが激しいらしく、唯一話せるであろう俺が隣からいなくなるのは心細いようだ。
まずは横の繋がりを作ることが目的となっているこの会議。
ウーズリーは後で教室でも会えるため1度放置しておくことにした。
違和感を覚えたと言っても、笑っているし大丈夫だろう。
他の生徒は横の生徒と軽く談笑をしつつ、生徒会長の様子を伺っている。
この授業時間をまるまる雑談に使うなんてことは無いだろうし、それまでの場繋ぎのような感覚だ。
フランは少し居ずらそうで、やはりというか、隣の生徒とは話していない。時折、生徒会長に話し掛けられ、それに一言返すのみだ。
「フラン」
普段のフランはもっと明るくて元気だからか、見ていられなくなりこちらに呼ぶ。
フランは顔を上げて へへへ と少し恥ずかしそうにはにかんでからこちらへ移動してきた。
保健委員長も最初こそ戸惑ったけれど、来るまでに少し会話をしたからかすぐに馴染んだ。
「保健委員長も図書委員長も、適任なふたりが着いてくれて安心しました。」
会話の中で少しだけふたりを持ち上げて、親交を深めつつ2人の性格を探る。
保健委員長は 私なんて、と謙虚であるが、褒められたことには感謝を伝え喜びを表現してくれた。
図書委員長、フランは俺が生徒会じゃなかったら俺だっただろうって言ってた。フランはそれでも頑張るぜ、と歯を見せる。
「さて、中も深まったところで今日の話し合いをしようか。」
しばらくして生徒会長が発言する。
どうやら自分だけあまり人と話せていなかったようで、つまらなかったのかもしれない。
「今日は他委員長との交流がメインとなるが、他にもう2つほど決めたいことがある。」
そう言って生徒会長は手をピースにし体の前に突き出した。
決めたいこと2つ。
1つは全校生徒の前での公式発表。これは委員会への有志を募る為と、委員会という組織を浸透させるためだ。
そして2つ目は集まる頻度。各委員会はそれぞれ決めてもらうとして、委員長と生徒会の集まり、つまり今日のような会議をいつ行うかだ。
今日は昨日のお茶会で唐突に決まったものたが、いつもこうでは困る。
「と、言うことでもう一度席に着いてもらって話し合いをしよう。」
胸の前で手を組み直し、生徒会長はキングらしく席に着いた。
その言葉に俺達も各自席に座り直し円卓の中央を見る。




