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前世の記憶を持つ天才薬師  作者: 覡
第2章 学園編
28/32

生徒会のお仕事

授業をいくつかこなし、放課後になる。

今日は生徒会庭園で約束がある日だ。

俺はウーズリーと一緒に教室を出て庭園向かった。


「ごめんください」


庭園へは生徒会役員しか入ることが出来ない。

俺らも役員の補佐として入ったものの、まだ生徒会として公の場にたった訳では無い。

といったことから、自分たちは我が物顔で入っていくような場所ではないと考え、入口で声をかけることにした。


「いらっしゃい、入って入って。」


出迎えてくれたのは白髪の魔獣族の先輩、現会計(ジャック)のキース先輩だ。

キース先輩は庭園の門を開き俺たちを招き入れる。

少し進んで園庭内の椅子と机の並んだ場所に出た。そこには会長をはじめとする生徒会メンバーが揃っている。


「では改めて。ようこそ生徒会へ。」


俺たちの到着に気付くと会長(キング)のカナメ・アッシュリー先輩が立ち上がった。

金色の髪を風になびかせ、優雅にお辞儀をする

そこから自己紹介が再度始まった。


会長(キング)のアッシュリー先輩と、その弟子である俺。

副会長(クイーン)のナタリー・ワトソン先輩と、その弟子であるスイ・エンジー先輩。

会計(ジャック)のキース・T・ジーメンス先輩と、その弟子であるハース・エンジー先輩。

そして、書記(エース)のジャン・オックリー先輩と、その弟子のティア・ウーズリー。


以上8名が初めて全員で顔合わせをしたのが今この瞬間であり、この瞬間、俺たちは改めて生徒会の一員となった。

顔合わせが終わったあとひと通り庭園の説明を受ける。

といっても、生徒会の者しか入れない、生徒会メンバーであればいつどのタイミングでも入って良い。といった簡単なものだけだけれど。


その後それぞれの仕事につく。

弟子は各々の役割をそこで学び、手伝い、先輩の卒業後は自分がそこに就くといった形になる。

俺は会長(キング)に、ウーズリーは書記(エース)に着いていき、それぞれの部屋に入った。


生徒会の仕事は役割によってバッサリと分けられている。

副会長(クイーン)は学園のあらゆる行事や祭事、授業スケジュール等を組み、先生に知らせ、また行事なんかは指揮を執る。

書記(エース)はその知らせや結果をまとめ保管、場合によっては生徒に知らせる。副会長のサポートのようなものだ。

会計(ジャック)はそんな2人のこぼれ仕事をこなしながら、学校運営の金銭面を工面する。


では、会長(キング)は。


それ以外の全て、だ。


例えば学校に届く書類の分別。

─先生宛のもの、生徒宛のもの、生徒会宛のもので分けたあと、それを各職員室、あるいは各寮に届ける。

例えば生徒会宛の書類へのサイン。

─学校運営に対する魔法具等の売り込みから、留学の申し出等様々なものに対して、サインや返事を書く。

例えば学校設備の補強。

会計(ジャック)に相談をしながら学校経費を使って補強、あるいは修繕を行う。また、自分で直せるものは自分で直してもいい。

例えば地域のボランティア活動。

─これは生徒会というより、全校内から有志を募るものになる。アスラ城下街から依頼されるボランティア活動を全校に知らせ、応募者と依頼人の仲介を行う。

例えば来客時の対応。

─生徒の模範であり代表である生徒会長は学校外からの来客にも対応をする。学園の教師よりも権力を握ることになるのだ。

例えば図書館の整備。

─アガットさんが管理している図書館ではあるが、その大きさ故に1人では賄いきれないものがある。新刊の入荷した際や、整理をする時などには図書室に赴き共に整備を行う。

例えば怪我人の手当。

─Sクラスであるからして回復魔法、あるいは回復薬の作成が可能である。故に生徒の手当も自分達で行うことが多いと言う。どうしようもない場合は回復魔法を得意とする先生を頼るようだ。


などなど。


「いや、多すぎますよね??」

「多過ぎる…。」


流石に突っ込んでしまったし、アッシュリー先輩もそれはそう思っているようだ。

ただ仕事はあるけれど他の役員も仕事を持っているから自分がやるしかないのだと言う。

いや、でもこれ来年から俺がやるとか嫌だ。凄く凄く優秀な弟子をとったとしても半分にしか減らないこの仕事量は嫌だ。嫌だ。


「ほかの委員会の人達は何をしているんですか?」

「ほかの委員会?」

「えぇ、まさか、生徒会以外に生徒の組織はないのですか?」


強制的に生徒会に入ってしまったから委員会組織のことはひとつも聞いていなかった。

学校運営で、こんなに生徒が行う仕事があるのにそれに特設された委員会がないなど有り得るのだろうか。


「そうですね、イインカイという組織は組まれてませんが…。」


あったわ。ばりばりあったわ。


「委員会というのは、その仕事に特化した生徒組織です。生徒会で仕事を終わらせるのではなく他の生徒にも手伝ってもらう形になります。」

「なるほど、特化した生徒組織ですか…。」

「いまの生徒会の仕事をそれぞれ振り分けた感じですね。生徒会の夫々が指示を出せば今まで行えていたことはそのまま行えるかと。」

「つまり、私たちの仕事を分けつつ減らせる、と。」


アッシュリー先輩はふむ、と少し考えたあと イイですね と顔を上げる。


「……では、まず委員会を作るところから始めましょう。先輩はそのまま仕事を続けてください。委員会設立には何が必要か、ですが…まぁ先生の許可と学園長の許可、生徒会全員に確認しつつ生徒への募集で良いと思うのですが、どうですか?」

「問題ありません。して、どのような委員会が生まれるのでしょうか。」

「そうですね、今ある仕事から考えていきましょうか。」


生徒会長の仕事はそっちのけでアッシュリー先輩は身を乗り出してこちらに向き合う。

まぁこの仕事量を少しでも減らせるならそれだけでも嬉しいだろう。

と、いうことで先輩と委員会を設立する所から俺の初仕事は始まったのだった。

更新が遅くなってしまって申し訳ないです。

この後すぐにもう1話書きます。 覡

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