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前世の記憶を持つ天才薬師  作者: 覡
第2章 学園編
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異空間魔法

先日、PV10,000人を突破致しました。

応援してくださっている皆様ありがとうございます。

ノロノロと更新してまいりますのでぜひこれからもよろしくお願い致します。 覡

翌朝、セバスチャンに起こされるよりも前に目が覚め制服に着替える。

着替え終わったタイミングで寝室がノックされリビングで朝食をとる。勿論セバスチャンも一緒に、だ。

朝食が終わり少しゆっくりしてから登校だ。

テンがまだ起きてないようなので今日はスネークが着いてきてくれる。

俺に巻き付き左肩に頭をのせ、セバスチャンに挨拶をして教室棟へと向かった。


「おはようウーズリー。」

「あら、おはようバークリー。」


教室棟までの道でウーズリーを見掛けたので声を掛ける。

向こうは振り返り俺を確認したあと、足並みを揃えて2人で登校。


「今日は蛇なのね。」

「うん、テンは寝坊。」


短く端的に、でも話題はなくならず俺達はこのテンポで話しながら教室まで歩いた。

もし同じクラスの男子がもっといたら、教室についた時に冷やかされるであろう光景だ。


教室に着き、先生が来るまでおしゃべりを続け、授業が始まると俺もウーズリーも真剣にノートをとった。

1限目は薬学、2限目は音楽。どちらも今日は初授業ということで説明から入り座学を少しやって終わった。

3限目は魔法学、こちらも教室で行われるので同じような事をするのだろう。

ということで、2限目が終わり3限目に入る前の休憩時間。

俺もウーズリーも、何も変わらず喋って次の授業を待っていた。


チャイムがなり、マッケンジー先生が入ってくる。先生が魔法学の担当教師だ。

マッケンジー先生の号令で挨拶をして、授業が開始された。


「さて、まず初回の授業ということでひとつ。空間魔法を学びながら授業の流れを知ってもらいます。」


先生はそう言うと、机を数回リズミカルに杖で叩き呪文を唱える。

すると先生の横に某青い猫型ロボットが住む部屋の机の引き出しのような歪んだ空間が現れた。


「これが異空間です。この異空間はーーー」


そしてそれを触りながら、あるいは形を変えながら、その魔法の歴史や使用方法、注意事項なんかを喋る。

俺もウーズリーもノートに先生の言ったことをメモしながら魔法を目の前で見て口を開けていた。


「さて、この様に私の授業ではまず見せて教えます。その後、実際にその魔法を扱えるように2人にもその魔法を使ってもらう。という流れです。理解出来ましたか?」


ほうけていた俺達に先生が投げかける。俺達はハイと返事をしながら頷き、先生はそれを見てニコリと笑った。

その間、魔法からは目を離し別の動きをしているにも関わらず、異空間は変わらずそこに有った。


さて、そういうことで次は実践だ。

異空間を作り出せればウィル達にきちんと部屋を用意してあげられる。そうすれば狭い部屋でずっと寝ているなんて窮屈をさせなくてすむのだ。

それに、空間と空間を繋げることが出来れば、つまりは瞬間移動が可能となれば、だいぶ楽になるだろう。


実践するにあたり問題になってくるのがスペルだ。

俺は今までなんの気にも留めずに魔法を使ってきたが、アレらはアンとウィルに教わったもの、つまりはアンとウィルが使っているスペルを使っていたということになる。

スペルによって魔法の使い方は代わり、詠唱内容やイメージも違うということだ。

因みに先程先生が見せてくれたのは学校で配布しているスペルであり、スペルを持たない生徒は全員それを使っている。


隣ではウーズリーが先生を真似て、しかし詠唱は独自のものを使って練習をしていた。

先生はそれを見て 力を抜いて、などと的確にアドバイスを送る。

先生がちらっとこちらを見て、俺もやるように促した。


さてさて。スペルがわからない。

というか、どうやってあの異空間を創り出すのかが分からない。

そんな時どうするのか?こうするのだ。


「ウィル、助けて。」


俺に巻きついているスネークをトントンと叩き、ウィルに助けを求める。

ウィルはシュルルと舌を出して笑い、俺の体から離れた。


「ま、僕達のスペルを使ってたからね、今更下級魔族のスペルなんて適合しないだろうよ」


ウィルはそう言いながら俺の前にとぐろを巻いて座る。


「簡単さ、そこに大きな穴が空いているようにイメージして、その穴の中身をさらにイメージする。例えば、そうだね。僕らが住んでいた森を思い出して。」


そう言われ、俺は森を想像する。

青花弁が咲いていた辺り、よくウィルたちと遊んだ森の開けた場所。


「想像出来たかい?そしたら〜〜〜と唱えるんだ。」


俺は言われたままに呪文を唱える。

聞き取れない、けれど理解の出来る言葉。

その不思議な言葉を唱えると、俺の目の前の空間に人が1人通れるかくらいの縦長の穴が空いた。


「!?!」

「そ、これが空間の開き方。異空間の場合は異次元を想像しないといけないから、シアンはそれよりもこちらの方が分かりやすいだろう?

コツさえ掴めば異空間だろうが異次元だろうが異世界だろうが、多分簡単に開けるよ。開く人はあまりいないけどね。」


なんと異空間の開き方を教わっていたらどこでもドアが出来上がってしまった。


「バークリー!」


名前を呼ばれてはっとする。気付くと、マッケンジー先生が血相を変えてすぐ横に立っていた。

異空間を創り出す授業で、別の場所とのゲートを開いてしまった。全然別の、全く関係ない訳では無いけれど、それでも別の結果を出してしまったのだ。

巫山戯ていると思われたのだろうか、怒られるのだろうか。


「せ、先生。すみません…。」


とりあえず授業内容とは少し違う回答を出してしまったので謝っておく。


「いや、素晴らしいよ!!」


え??

怒られると思ったら、何故か褒められた。

困惑する俺に先生は付け加える。


「異空間を創り出すことは、自分の世界の干渉、つまり自分で1から創り出すんだ。しかし今君がやったことは他者の世界への干渉、つまり100ある場所に無理やり別の100をぶち込んだんだ。」


目を輝かせて先生は喋り出す。

つまり異空間は自分で創り出すものに対し、俺がやったのは他人が創り出したものに割り込んでそれを自分の物と同じように扱った、という事だ。

横領じゃないか、無断転載で訴えられるぞ。


「上位魔法だよ、ドラゴンや、ウィル・オー・ウィスプ等の魔力が精密で、かつ濃度が濃い魔族にしか使うことが出来ないと言われている移動方法だ。」


まぁ教えてくれたのそのウィル・オー・ウィスプですが…。なんてことは言えず、スネークをちらっと見るとドヤ顔で舌を出していた。


「異空間魔法はそれを真似て自分達で創り出したもの創り出した空想の世界を一時的に実現させているに過ぎない。つまり、異空間魔法は今君が使った魔法の劣化版なんだ!!」


先生は身を乗り出して教えてくれと俺の手を取る。

よく分からないが、つまりエルフでも使えない魔法、ということだけはわかった。

つか、おいウィル…俺は確かに助けを求めたけれど、こんなことになるなんて…。


横目でスネークを見ると、しししと笑っているだけだった。

そんな俺をじとっと見るウーズリーが目に入る。


「ウーズリー?」

「え、あぁいや、何でもないわよ。」


ならいいけど、どうしたんだろう。

不思議に思いながらも、やはり異空間魔法は取得しておきたいので別の場所に繋げるのではなく、別の空間を創り出す練習をした。

2~3回やると異空間がうまく安定し、そこに想像した家具やらを置けるようになった。


横にいるウーズリーも幾度か異空間作成に成功しているようで、俺たちの魔法の初授業はまずまずの成功で幕を閉じた。

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