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前世の記憶を持つ天才薬師  作者: 覡
第2章 学園編
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昼飯

「やぁ、おかえりシランさん。と、そちらは?」


Sクラス寮につき扉を開けると偶然そこを通りかかった黒縁の眼鏡をかけた黒髪の男性が話し掛けてきた。

ジャン・オックリー。生徒会で書記(エース)を務める4学年の先輩だ。


「ただ今戻りました、オックリー先輩。こちらは友人のフラン・マッケンジー。

マッケンジー先生の弟にあたる僕の同級生です。」

「フラン・マッケンジーです。どうも。」


オックリー先輩に2人で挨拶をし、ぺこりと頭を下げる。


「ジョン・オックリーだ。マッケンジー先生の弟くんなら魔法争いも関係が無さそうだし、いつでも遊びにおいで。」


オックリー先輩はそう言ってフランの頭を撫で、ではまた と階段を登っていった。

俺達も階段を登り自室のある2階へと進む。

201とかかれた扉を開けると、セバスチャンにより綺麗に掃除された自室が目に入る。


「うわぁ…これがSクラスの部屋か…。」


ほかのクラスの部屋がどのような作りになっているか知らないため俺は比較ができないが、フランは目を輝かせて内装を見渡している。

取り敢えずリビングまで進むと、和室にはウルフがまるまってすやすやと眠っていた。


「ただいま、ウルフ。」


声をかけると目を覚まし、俺を人舐めしてもう一度眠る。

後ろから おかえり という声が聞こえ振り返ると、白い蛇が床を這って出迎えてくれた。


「ただいま、スネーク。」


頭を撫でて挨拶をする。

ウィルたちも大分今の姿に慣れたようで、その動物になりきって生活が送れているようだ。

しばらくして玄関ホールで惚けていたフランも後を追ってリビングへと来る。

大きなウルフやスネークに驚きはしたものの、軽く紹介してやるとすぐにいつも通りのフランに戻った。


「では、今からご用意致しますのでしばらくお待ちください。」


セバスチャンが俺達に一礼しキッチンへと入っていく。

料理ができるまで、俺はフランと話をすることにした。と言っても、先程のように他愛のない話を紡いでいく。


「そういえばフランはどんな本を読んでいたの?」

「ん?んー、恥ずかしながら自分実技が得意じゃないからさ、どうにか魔法だけでもいい感じに理解できないかと思って読んでいたんだ。」


話の途中でこんな会話をした。

たしかにフランは実技科目の点数が低く、とくに魔法はお兄さんであるフィニアン・マッケンジー先生は魔法科の先生であるからして習得したいのかもしれない。


「スキルは先生と同じなの?」

「うん、家族でひとつのスキルなんだ。」


耳長族の家族の規模がどれほどかはわからないけれど、使い方次第でSクラス担任の魔法科の先生になれる程度の威力は持っているということだ。

では単純に経験不足や魔法が苦手なだけだろうか…。


「もし良かったら一緒に練習するか?」


図書館で本を読むのももちろん良いが、結局のところ魔法は体で覚えなくてはいけない。

それに、知識はあっても理解ができなければ魔法は使えないのだから。


「いいの?」

「勿論、だって友達だろ!」


唯一と言ってもいい人間の友達フランだ。一緒に魔法を使って旅行にでも行ったらそれはさぞ楽しいことだろう。


「ウィルも手伝ってくれる?」


勿論俺だって半人前だから魔法のスペシャリストであるウィル達にも手伝ってもらう。

ウルフ、スネーク、テンは皆いいよーと顔を上げてまた各々の行動をとるのだった。


ウルフは相変わらず眠っている。というか、ウルフは大きいからこの部屋では狭くて動き回れない。早く空間の魔法を習得していい広さの場所を作ってあげたいものだ。

テンとスネークは2人でじゃれあっている。長い身体のスネークはテンをぐるぐると巻き込み、テンはその中をトンネルのように往復する。


「使い魔たち、仲良いんだね。」


その様子を見てフランがふふっと笑った。

笑うとイケメンだな、清潔感溢れる美青年だ。


「みんな、生まれが同じ土地だからね。」


俺も笑って返す。動物達が仲良く戯れているのは心が和むというものだ。

ウィル達は当たり前だろと言わんばかりにコチラをちらっと見てからまた絡み始めるのだった。


「お待たせ致しました、ランチが出来ましたのでどうぞ席へ。」

「わぁ、ありがとうございます!」


思っていた以上に早くセバスチャンが料理を終わらせてくれたのでソファーを立つ。

食卓にはふたつの席の前にパスタが配置され、サラダ、スープ、果実がその脇にそれぞれ用意されていた。


「さ、フラン座って。セバスチャンも食べるんだよ、もうひとつ用意してください。」

「しかし…」

「朝約束してくれたでしょう、一緒に食べましょう。」

「それは……、かしこまりました。すぐに。」


全く、油断も隙もありゃしない。

セバスチャンは自分の分をキッチンから持ってきてテーブルに置いた。

俺が誕生日席で、フランとセバスチャンが向かい合って俺の両隣に席する。


「では、いただきます。」

「「いただきます。」」


まずはパスタ。クリームのような白いソースのからんだチーズの効いた美味しいパスタだ。

前世でいうカルボナーラに近いかも。フランも美味しいと言ってフォークをくるくるしている。

次にスープを一口。こちらも美味しい。カボチャだろうか、うっすらオレンジのポタージュだ。

そしてサラダ、こちらは綺麗に盛り付けられていて、ポテトサラダとトマトが1番上の段に凛として飾ってある。

果実は柑橘類のようで、皮を半分向かれ、下半分の皮をそのまま器にその中身が綺麗に切られたものだ。おしゃんてぃー。


この料理をものの5~10分で3人分全て終わらせてしまうのだから、やはりこの執事は質が高い。


「とても美味しいです、ありがとうセバスチャン。」

「恐縮でございます。」


もう一度感謝の言葉を告げると少し照れたように笑うセバスチャン。

やはりイケおじだ。惚れる。


「いや、でも本当に美味しいよな。驚いた。」

「でしょう?俺はこれがいつでも食べれると考えるとSクラスは維持しないとなって思うんだよね。」

「わかる。俺も食べに来なきゃ。」


なんて会話をフランとして笑い合う。

美味しい料理は笑顔を作るというのは、嘘ではないかもしれない。


そうして楽しい昼食を終え、少し部屋で休憩したあと俺たちは外へ向かう。

放課後はグラウンドを自由に使っても良い模様。

そこはセバスチャンに確認したから大丈夫だ。

なのでグラウンドで早速フランの魔法の練習をしようかと思う。

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