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前世の記憶を持つ天才薬師  作者: 覡
第2章 学園編
22/32

3限目

2限目が終わりスイ先輩と別れ教室に戻る。

ウーズリーは俺より先に戻ってきていた。


「おかえりなさい、どこへ行ってきたの?」

「ただいま。俺は図書館に、ウーズリーは?」

「私は教室棟の他クラスの食堂や何かを見て回ったわ。それから茶室のほうかしらね。」


ウーズリーと小話をして席につく。といっても隣の席だから座った後もずっと話していた。

話の内容は2限目のこと、先輩のこと、飛行魔法のことといった簡潔なものだ。


それからしばらくすると扉が開いた。先生と執事2人が入ってくる。

セバスチャンとウーズリーの執事だ。2人は両手で持つ程度の大きさの箱を持っている。

2人がそれぞれ俺達の横に立った時、丁度3限目始業の合図が鳴った。


「はい、では3限目は教材の配布と使い方の説明を簡単に行います。起立ー。」


先輩の号令で礼をし着席する。

なるほど、執事の2人が持ってきたものは教材だったのか。


「ひとつずつ説明します、執事さんは順に箱から取り出して生徒に渡してください。」

「「かしこまりました。」」


先生の指示に息ぴったりに応える2人。ウーズリーがくすりと笑い、先生が説明を始めた。


「まず各科目の教科書。全部で10科目、全部あるか確認してください。」


魔法学、武術学、動物学、薬学、音学、歴史、生物学、数学、語学、精霊学。

入学試験で行われた科目の10個全ての教科書だった。新品の本の匂いがする。


「それから、それらを持ち運ぶためのベルトポーチ。中の収納スペースが拡張されていて、勿論自分の次元に繋げることも可能になっています。」


自分の次元、つまりはどこかの部屋の入口にしたり異空間を作り出しその入口にしたりする。どこでもドアと四次元ポケットの間のようなものだ。

Sクラスはそれが3つ。教科書等の教材用とペットの部屋用、それから自分の好きに使っていいひとつ。それらがベルトで腰に巻けるように繋がっている。


「次元のつなぎ方は明日の魔法の授業でやります。知っている方は先に繋いでも良いですので、その場合明日の授業にはなにか口のあるもの、入口に出来るものを持ってきてください。」


はい次〜と簡単に説明を終えて次の説明にうつる先生。次元を繋げるとかすごい魔法っぽい。いや、全部魔法だけど…どうやってやるんだろう。

と、次に取り出したのは羽ペンと下敷きのようなペラペラな半透明の白い板、それからそれより少し大きいファイルケース。


「はい、で、これがノートとペンです。そんでこっちがそれをしまうカバン。」


カバンは分かるけど、ノートって、この下敷きが?

ノートに挟む下敷きではなく?


「ウーズリーは分かってるみたいですね。バークリー、その板にそのペンでなにか文字を書いてください。」

「え、汚れてしまいますが…」

「いいからいいから。」


俺は言われるがままに取り敢えず「あいうえお」と書いた。何か書けって言われるとこれを書いてしまうのは前世である日本人の癖だ。


「不思議な文字を書きますね。まぁいい、今度はそれを四角で囲ってください。」


同じように言葉に従う。


「そして、その四角の端っこをつまんで捲ってください。」


つまむ?なんだかよく分からないまま、俺は四角形の隅をつまんだ。つまめた。

するとベリベリっと四角が剥がれる。まるで1枚の紙のように。

その四角の中には先程書いた「あいうえお」が宙に浮いている。


「その紙は本人以外が触れると水になり蒸発して消えます。自分専用のノートということです。なので、必ずカバンに入れて持ち歩いてください。」


研究が盛んに行われるこの学校ではこうして自分以外に研究成果が漏れることを避けているのだという。

また、ファイルの留め具を180度回転させてから開けるとその紙は本人以外が触っても溶けることのない本物の紙になる。書かれていることもそのままだ。

つまり、メモや情報漏洩を避けるものは溶ける紙に、残したいものは普通の紙にして保管するということだった。


なるほど、と俺が納得したのを見るとマッケンジー先生は次の教材を手に取る。杖だ。



「さて、次は杖の紹介。使わなくても使える人は魔法を使えるが、それでもあった方が威力は増す。自分のものがある場合そちらを使っても大丈夫だが、学校から支給されたものも予備としてポーチに入れておいてください。」


魔法の杖だ。すごい。

俺今まで何度も魔法を使ってきたけれど杖なんて一度も使ったことがない。

アンも使っていなかったし、そういうもんだと思っていけれど、考えてみれば入学試験の時みんな杖持ってた。

えええ、すごい。杖だ、杖もらった。え、嬉しい。


「珍しく嬉しそうじゃない。」


くすりと隣にいるウーズリーがこちらを見て笑う。

柄にもなくはしゃいでしまった。いや、何も喋ってはいないけれど。


「それから、予備のローブが1枚。こちらは基本自室に置いておいて頂いて構いません。」


杖の説明はすぐに終わり、ローブの説明に入った。と言ってもこちらもすぐに終わった。


「最後に、学生帳。」


最後に先生が取り出したのは赤い表紙の学生帳。

手のひらサイズのソレには校則や組織情報などが書いてある。

それを1ページずつゆっくり説明をしてもらい、配布物の説明は以上となった。

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