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前世の記憶を持つ天才薬師  作者: 覡
第2章 学園編
18/32

校内案内1

ホームルームでは、今日の大まかな授業の流れを教えて貰った。

1·2時限目にオリエンテーションとして校内案内

3限目に教材配布と使用方法の説明及び実践

4限目は上級学年との顔合わせとなっていて、今日はそれが終わり次第終了だ。


1·2時限目の構内案内に関しては、ホームルーム教室のある教室棟だけではなく学園内全てを案内してくれると言うのでとても楽しみだ。

隣にいるウーズリーも目を輝かせワクワクしているように見える。

校内を出歩くにあたり、白いローブをきちんと羽織り、靴紐をしっかりと結ぶ。首には当たり前のように銀色の毛並みをしたテンが巻き付いていた。


魔法の授業がある学校だから空を飛んで見学して回るのかと思ったのだけれど、どうやら歩いて校内及び学園内の敷地を練り歩くみたいだ。

まずは教室棟。といっても、俺らが使うのは2棟の5~7階だけなので、案内は簡易なものだった。


5階は各学年のホームルーム教室および各学年の教室ラウンジ。ホームルーム教室は学年に特に差はなく、人数分の机と椅子、教団があるのみだ。

また、教室ラウンジは椅子が壁沿いにある雑談部屋の様な所で、こちらも学年に差はないという。

実技の訓練等をここでやる場合もあるのだとか。そして、昼間はここにビュッフェ台が並ぶらしい。

6階は各科目の専用教室。授業の度にそこの教室か、ホームルーム教室で行われる。

ホームルーム教室の場合は1学年のみ、専用教室の場合は他学年と合同で授業が行われるのだ。科目によっては準備室のようになってる所もあるらしい。

そして最後、7階は研究室に割り当てられている。学年の壁を越え、研究したいものが同じ人で集まり好きなものを研究する。勿論、研究しなくても良い。したい人は使え、という具合に放置されているのだ。ただしSクラスに限る。

使われている部屋は表に○○研究室と書かれていて、書いてない部屋は好きに使っていい。


と、こんな感じでサラッと説明をされながら校舎を徘徊し、教室棟案内は終了。

教室棟から外に出て今朝通ってきたグラウンドを前にする。


「ここは武術の授業や動物学、生物学、魔法学の実技で使うことが多い。SクラスとBクラスの寮生は教室棟から見てこっち側に寮があるから毎朝通ることになるね。」


ただっ広いグラウンドを眺めている俺とウーズリーにマッケンジー先生が説明をしてくれる。


「地面は土で出来ているから転ぶと汚れるよ、気をつけてね。」


なんて冗談を先生は混じえ、そのままグラウンドを歩き出した。俺達もついていく。

教室棟から真っ直ぐにグラウンドを突っ切るとそこにら図書館と生徒会庭園がある。


「図書館は休みの日以外基本8:00-20:00迄司書さんがいます。ホームルームは9:00からなので朝ホームルーム前に寄るも良し、放課後に行くも良し。図書館内では司書さんに従ってください。」


図書館の説明を軽くしてくれた後、3人で図書館内に入る。

すると、初老のおばあさんが迎え入れてくれた。

髪は薄い緑、兎のような耳が顔の輪郭に沿ってペタンと垂れていて、優しそうな顔つきの綺麗な人だ。銀縁の丸いメガネを掛けている。


「ようこそ、Sクラスの新入生さん。ここで本の貸出及び返却と管理を任されております、シャナティア・F・アガットと申します。」

「1年Sクラス、ティア・ウーズリーです。」

「1年Sクラス、シアン・バークリーです。」


丁寧にお辞儀をしてくださったアガットさんに、俺達も同じように挨拶をした。

するとニコッと笑顔を見せてくれたアガットさん。その笑顔はとても綺麗だった。

それから図書館の使用の諸注意を受ける。といっても、本を汚してはいけない、とか貸出の際には必ずアガットさんに手続きをする、等といった当たり前のようなことだ。


10分ほど本を見て回っていいということで、とりあえず端にある本から順にめくっていった。

西の街にはない本も多く、読み応えがある。この図書館は壁一面が本で覆われており、縦に長い。

塔のようになっていて、この端から1番上の端まで読むのにはだいぶ時間がかかりそうだった。


「アガットさん、図書館では魔法の使用は可能ですか?」

「はい、バークリーさん。しかし火気の魔法や本を傷つけるものは禁止です。」

「分かりました、ありがとうございまさ。」


アガットさんに魔法の許可をとってから、俺は手に持っている本を浮かせ自分の顔の前にセットした。それに風魔法を使い1ページずつ捲らせ、1冊を3秒ほどで全ページめくり終わると次の本を同じ位置に持ってくる。読み終わった本は元にあった場所へと動かす。

これを繰り返し、速読のスキルで順繰りと読書を開始した。


10分経ったという先生の合図があるまで、俺はそれを続けた。10分で1段目を全て読み終えた。

5メートルちょっとの壁でも、横幅が8センチほどの分厚い本が1段で200冊程も入っていた。それがこの高さ分あるのだから、この学校の保持している本の数は計り知れない。まぁ上の方は厚さも違うだろうけど。てことはもっと多いのか。


制覇できるか不安になりながら、それでも全部読んでやろうと意気込み、アガットさんに挨拶をして俺たちは図書館を後にした。


「ねぇバークリー。貴方本はちゃんと読みなさい?」

「え?読んでるよ??」


多分ウーズリーより読んでると思うよ?なんて言葉を飲み込みながら、それでもはてなマークを浮かべてウーズリーを見る。


「嘘よ、あんなパラパラと捲って魔法の練習なんかして。物を浮かせる魔法は重力に逆らうから難しいし、あんなにモノがある所はあまりないかもしれないけれど、でも本は読むものなのよ。いーい?あのね、」

「わぁぁあ、ストップ。ウーズリーごめん、勘違いしてるようなんだけど、僕のあれはアレで読めてるんだ。」


語りだしそうなウーズリーを止めて俺は弁明を始めた。


「つまりね、アレでもちゃんと1字1句頭に入ってるんだよ。それに、あの魔法は練習してたんじゃなくてただ手を使ってたら読む速さに追いつけないし1ページずつ綺麗にめくれないから風魔法でめくってただけなんだ。浮かせてたのも手でやるより綺麗にしまえるからで…。」


本に魔法をかけたことを怒っているのかもしれない。

一応アガットさんの許可はとったんだが、愛読家ならもしかしたら嫌がる行為だったのかも…。


「はぁ、それが本当なら……そうね。じゃあ『アスラ王国の歴史』の415ページ、5行目の文は?」

「えっと…」

「ほら、言えないんじゃない。」

「『た。アスラ王はこうして自国の時間、そして民の平和を手に入れたのだ。今まで誰も見なかった景』が5行目だよね。前後の文どういえばいいか分からなくてちょっと言い淀んじゃった。」

「………先生、1度図書館に帰ってもいいですか。」

「えぇ、確認したいですね、是非戻りましょう。」


答えわからないで問題出してたのかよ。

心の中でつっこみつつ図書館に戻るウーズリーを追い掛けた。


「……正解よ。」


そして、本を開いて答えを見つけたウーズリーは本から目を離さずにそう言った。

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