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前世の記憶を持つ天才薬師  作者: 覡
第2章 学園編
15/32

Sクラス設備

そしてやってきた入学式当日。

アンに村の出口まで送ってもらい、そこからはウルフの背中に乗ってゆっくりと街へ向かった。

紺色のシャツに薄い茶色のパンツ、その上にSクラスの白いローブを羽織り、首にはテンが巻きついている。

スネークはローブの中に入り、俺の体や腕に巻き付き右手の袖から顔を出していた。


今日のスケジュールは、まず入学式。

何故か俺が成績トップらしく、新入生代表の挨拶をし、式が終わり次第ホームルーム教室。挨拶が終わったら寮へ。

明日の準備や自室の片付けをしたら就寝。

そして明日は朝から授業が始まるらしい。


と、いうことで入学式が行われる体育館を目指してウルフはゆっくり進んだ。

朝早くに家を出たからノロノロ歩いても余裕で間に合うのだ。

城壁の中に入り、学校を目指し、そして体育館に到着した。

体育館という名だがドーム型であり、野球場のような広さだ。


自分の名前が書いてある席に座り、式が始まるのを待った。

新入生が連れてきた動物は、専用のスペースが各自椅子の隣に用意されていた。事前に大きさを伝えていたためウルフも俺の隣に立派におすわりをしている。

座る時に踏んでしまってはいけないのでスネークもウルフの横にとぐろを巻いて待機だ。

テンは依然として首に巻かれて眠っているが。


開会が近づくにつれ新入生が集まってくる。

各自名前を見つけ席につき、動物も隣にお利口に座る。在校生は会場ではなく周りの観客席のような所に座っているようだ。

しばらくしてパレードの音楽のようなものが流れ、式が始まった。

校長?の、長い挨拶があり、在校生の挨拶、校歌を歌ってから生徒会の挨拶。

うとうとしていた俺を、「新入生代表挨拶」という言葉が起こした。

慌てて立ち上がり壇上へ向かう。遠いな。


壇上に上がり、礼をしたあと、俺は喋り始める。


「本日は、我々新入生のためにこのような大きな会式を用意していただき、誠にありがとうございます。」


つらつらと、それらしい事を並べていく。

こんなの前世ではやったことないし、適当でいいよって言われたから適当に喋る。

最後に名前を言って言葉を終わらせ、拍手を受けて席へと戻った。


そうして長い式は終わり、ホームルーム教室へと移動になる。

教室棟はふたつあり、1棟の1~3階がCクラス。5~7階がBクラス。4階が職員室となっている。

2棟も同様に、1~3階がAクラス。5~7階がSクラス。4階が職員室だ。


また、2棟には大きなエレベーターがある。

Sクラスの人間はこれで上がっていいようだ。

教室が上の階と聞いて億劫だと思ったが、これならば楽で良い。

エレベーターにウィルたちと乗り、Sクラスのホームルーム教室へと到着した。


ラウンジと呼ばれるその空間は、壁を白いレースが囲い、ふかふかそうな1人がけのソファーとその横に丸テーブルが置いてあるものをひとセットとしてそれがふたつ置いてあった。

その正面に教壇が置かれ、そのすぐ後ろに黒板。黒板にはふたつの座席の絵と自分の名前ともう1人の名前が書いてあった。

壁沿いには本棚と長テーブル。テーブルにはお菓子や飲み物が置いてある。


とりあえず名前の書いてある方の席に座り、ウィルたちをその横に座らせた。

しばらくすると、紺色の髪のロングヘアーの女の子が入ってくる。白いローブを来ているため、クラスメイトだろう。

黒板を見て俺の隣の椅子に座る。


その後、始業のチャイムがなり黒いローブを着た赤髪の教師が入ってくる。

ちなみにこの学校ではローブの色で所属がわかり、教師が黒、Sクラスが白、Aクラスが赤、Bクラスが青、Cクラスが緑である。


「初めまして。1年Sクラス担任のフィニアン・マッケンジーです。種族はエルフ、教えるのは魔法学、年齢は500からは数えてません。どうぞよろしくお願い致します。」


丁寧に挨拶をしてくれたマッケンジー先生は、俺達に自己紹介を促した。

名前順ということで、俺からだ。席を立ち先生と隣の女性に向かって一礼をする。


「初めまして。シアン・バークリーです。西の街から来ました、髪の色からわかるようにヴァンパイアと人族のハーフです。7歳、薬学を重心に学びたいと思っています。」


よろしく、ともう一度お辞儀をして座る。

それと入れ替わりに、今度は女性が立ち上がった。


「初めまして。ティア・ウーズリーよ。もとより城下町に住んでいた人族の10歳。特に学びたいことは無いけれど、強いて言うなら武術かしら。」


お願い致します、と彼女も礼をして座る。


「ふたりともありがとう。今期のSクラスは君たち2人だけだ、仲良くしようね。

さて、ふたりとも動物を3匹ずつ連れてきたようだね、そちらも紹介してくれるかな?」


先生は僕らの隣に座る動物達を見てにこやかに言った。


「あ、はい。僕が連れてきたのはウルフとスネークとテンです。」

「私が連れてきたのはイーグルと猫のミーちゃん、それからハリネズミのハリーよ。」


連れの動物はペットのように名前をつけるものもあれば、ウルフやスネークなどの様に種族名をそのまま名前にする場合もある。

どちらでもその個体が分かればいいのだ。


「ありがとう。授業に参加してもらう時もあるから、その時には2人とも、その3匹のうちどれか、あるいは全てを持って登校するようにしてください。」


先生の言葉に俺もウーズリーもはいと返事をし、自己紹介を終わらせる。


「では最後に、Sクラスの特権である執事とメイドを決めてもらいます。」


執事orメイド。それはSクラスの生徒1人につき1人、人族の奉仕に長けたものが着くというこの学校ならではのシステムだ。

どちらかは自分で選べ、数名の中から自分で選ぶことが可能である。

俺もウーズリーも、執事を雇った。

ウーズリーがなぜ執事を雇ったかは知らないが、俺は単純に女の人に奉仕してもらうとか卑猥なことをしそうで良からぬと考えたからだ。


俺の選んだ執事は少し白髪の入った黒髪をきっちり7:3に分けてそれぞれオールバックにした初老…といっても、50歳くらいのおじ様だ。

清潔感溢れる服装と笑顔、この位の執事をじいやと呼んでみたい人生だった。

ちなみにウーズリーは20代くらいのイケメンを選んでた。


その後先生の話を少し聞いてホームルームは終わった。

今日は初日ということでこのままSクラスの寮に先生が連れていってくれるようだ。


寮は各クラスごとに別れている。すべての学年がその寮に集まるため、先輩ももちろん一緒に住むということだ。

寮長は基本5年生が務め、行事などのクラス対抗戦は寮生全員で行われる。

Bクラスなどの人数が多いところは団地のような形になっており、逆に少ないSクラスはひとつの屋敷のようになっている。


各学年で階が違うようで、俺たちは2階だった。

来年は3階の学年が卒業するから次の学年は3階を使う、というように、5年間でローテーションされる仕組みだ。

俺の部屋が201号室、エントランスが吹き抜けになり廊下が四角く囲まれている形になっている為、その対面側に202号室のウーズリーの部屋がある。各階魔法でその年の学年の人数に合わせて部屋が作られるらしい。


扉を開けると綺麗な部屋が目に入ってきた。

白が基盤のピカピカな大理石の床に自分が映る。

とりあえず靴を脱いで探索しよう。


玄関を入って右手側のふたつ並んだ扉。

ひとつは洗面所とお風呂で、もうひとつはトイレだった。風呂もトイレも扉は黒く、室内は真っ白という綺麗な空間だった。

その反対側、つまり玄関を入って左側には何も無い綺麗な玄関ホールと角に執事室に繋がる黒い扉があった。

まっすぐ歩くと右側にキッチンと、その奥にカウンター。4人がけの四角いダイニングテーブルがある。

キッチンにある冷蔵庫等もだいたいが黒で統一されていて、カウンターも透けた黒だった。

キッチンの左側には段差があり5畳分くらいの正方形な和室が広がっている。壁の仕切りはなく開放的な和室だ。その奥にはテレビ台くらいの棚。

和室の横にはこちらも黒いL字型のソファーとガラスの丸テーブル。

その奥に続く黒い扉を開けると寝室となっている。

天井付きのキングサイズベッドに黒い布団が敷かれていて、その奥に小さなベッド、こちらはウィル用だろう。が用意されている。

クローゼットやタンスもあり、こちらの部屋にもソファードルテーブルが用意されていた。

そしてその奥には執事室へと繋がる扉がある。


ふむ。ざっと見てみたがこんな感じだ。

白と黒が主体のまとまりのある正方形の部屋。

広い。多分前世の東京でこの部屋を買ったらバカ高い値段になる。


とりあえずSクラスという設備に感謝してその日は眠りについた。今度玄関ホールに仕切りを作って研究室を作ろうと思う。

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