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前世の記憶を持つ天才薬師  作者: 覡
第1章 幼少期
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誕生

数日して状況が読み込めた。

簡単に言うと、俺は生まれ変わったのだ。


前世がどこで終わりを遂げたのかは覚えていない。

俺は日本という国で新薬作りの研究をしていたはずだ。

いつの間にか死んで、或いは死なずにどうにかして、今ここで赤ん坊として誕生した。


まぁいい。別に前世に未練なんてない。

強いていうなれば研究途中の新薬を完成させたかったくらいか。


先に見えた女性のうち、お団子をしていた2人は俺の出産を手伝ってくれただけの雇われ人。

髪が銀髪の女性が俺の母親で、薄い茶髪の男性が俺の父親らしい。

言語は分からないが本能がそう言っているから間違いないだろう。そう、言語だ。

どうやらここは日本ではないらしい。だから母親と父親の名前もわからないし、俺の名前すら把握出来ていない。


まぁいい。成長過程でそのうち覚えるだろう。


両親は見たところ20代後半くらいの顔立ちだ。

父親はイギリス系の顔だろうか、鼻頭が高く髭が生えているが切りそろえられていてダンディな大人な感じだ。

母親の方もイギリス…まぁ、西洋の方の顔立ちである。綺麗なウェーブのかかった銀髪の美人さんだ。


家の様子はまだ見えないが、少なくともこの部屋は綺麗が保たれている。

偶に母親に抱えられると部屋の様子がわかる。

俺が寝ている子供用のベッドに、赤ん坊をあやす為の玩具のようなものや、数冊の本。それらがきっちりと整頓されて置いてある。


スラム街だとかそんな感じの貧乏さは感じず、かといって王室のような贅沢感も感じない。ようは一般的な家庭であると想像がつく。

といっても、この部屋を出たらボロいアパートだとか、実はここだけ庶民じみていて王邸の一室である。とか言われたら分からないからまだ断定はできないが。


とりあえず母親と父親の会話を聞いて言葉を解読しながらこの第2の人生を謳歌していこうと思う。

美形の両親だ、まだ自分の顔を見てはいないがきっと醜いものではないだろう。ならば、それなりの人生が歩めるはずだ。

いや、別に顔の歪みを馬鹿にしている訳では無い、勿論それも個性であり伸ばせる人は大いにいるだろう。

でも最初からのハンデが無ければそれ相応の人生を送れるのも事実。鏡を見るのが楽しみだ。


ーーーーーーー


母親side


夫チェスターとの間に産まれた第1子は産声をあげなかった。

死産を覚悟したが、泣かなかっただけで暫くしたら少しの声を上げてくれたためようやく誕生を喜べたことだ。


子供の名前はシアンと名付けた。

チェスターのCと私の名前、アンのanを合わせてシアン。

安直だけれど2人の子という証が表立って見えて気に入っている。


彼は産まれた直後だけでなく、それからしばらく立っても大人しいままだった。

夜泣きをしなければ、お腹がすいたら口を指さして「あーあー」と言う。おしめもそうだ。

母乳をあげる時も、最初はたじろいだがそれがご飯であることを判断したのか最初のとき以降は抵抗なく吸うようになった。


泣くことが滅多になく、病気を疑ったが、そんなことは無かった。

体調も健康そのもののため私たちは成長を見守っていくと決めた。まだ生まれたばかりだ、これから先活発になっていくだろう。


夫も心配こそはするけれど、子供を愛してくれている。

いつかこの子が大きくなってチェスターの仕事を手伝ってくれたら、もしくは私に似てもいいかもしれない。

色々なことを教えてあげよう。そうやって、大切に育てていこう。


なんたって、最愛の人との唯一の子供なのだから。

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