穴だらけだけど
幼い頃
ドカンと心に穴が開いたときは
ただただ泣いた
こどもだから
声を上げて泣いた
中学の頃
針穴のような無数の穴が開いたときは
泣かなかった
ただ歯を食いしばって 耐えた
少しだけ大人になって
人生で初めての大穴が開いたときは
穴は塞がることはない事を
知った
家族ができ 人の親となり
二つ目の穴
春を待たずに
三つ目の穴
やがて 空いた穴に
思い出を入れる事にした
太陽のような笑顔
抱きしめてくれた腕
あなたが愛した花
宝物ように
そっと入れた
四季が巡るたび
それぞれ自分の季節になると
渺 渺 と
其れは鳴く
吹き荒ぶように鳴くものもあれば
薙ぐように鳴くものもある
その時々の穴に手を当て
覚えているよ と
囁く
穴は開くもの
開いてしまうもの
塞がらない穴と共に
あなたの想い出と共に
私は歩く
今日も歩く
前を向いて
どんな顔でも