プロローグ
中学高校と勉強しかしてこなかった僕はとうとう大学生にまでなっていた。
大学ではそれなりに交友関係や出来れば恋愛もしたいと考えていた僕は、中高までメガネをかけていたけどコンタクトにすることにした。いわゆる大学デビューというやつだ。
「まぁ、ただコンタクトにしただけじゃ何も変わってないんだけど、、、泣」
性格はビビりだし女の子とはしゃべる時いつも挙動不審という始末だ。
中高だって別に友達がいらないとか、恋愛に興味がないとかそんな理由で勉強ばかりしていたわけではない。ただ、しゃべり方が気持ち悪いということでクラスのみんな僕のことを避けていた。
「はぁ~~~~」
長い溜息を吐く。
ダメだ、ダメだ!
大学では絶対にいっぱい友達作って、好きな人と恋人になってエンジョイするんだ!
そんなことを考えていると、、、
「お~い、そこのきみ~」
「?」
「君だよ君」
大学の門をくぐろうとしていた時だった。
「僕ですか?」
「そうだよ。君だよ」
「えっと、何か用ですか?」
自分でも気持ち悪いと思うくらい顔が引きつりながら返事をしてしまった。
うわ~最悪だ~~。
なんか相手の女の人もちょっと引いてる。というか、すごく引いてる。
「えっとね、君ってもうサークルって入った?」
相手が何も見なかったかのように、本題に入ってくれたらしい。
ありがとうございます。泣
なぜか心の中で、お礼を言ってしまった。
普通の人なら何かしらの理由を付けて、話しかけたことを無かったことにしそうなのに、、、。
この人はもしかして天使!
なんて気持ち悪いことを考えていると
「ねぇ、君聞いてる?」
「あっすみません。そのサークルには入っていないです。」
「そっか~、よかった!今から私たちのサークルに来てみない?」
「ぼっ僕でいいんですか!?」
「全然オッケーだよ~」
ボソッ
「むしろ好都合」
「今、何か言いましたか。」
「何もいってないよ。っさ行こ!」
女の人に腕を引っ張られてサークル活動をしている部屋に連れてこられた。
初めて触る母以外の女の人の手は、すごく柔らかくて気持ちよかった。
・・・・あーもう死んでもいいかも
「着いたよ。」
っは!
意識が飛びかけていた!あぶない、あぶない。
「えっと、今更なんですかが何のサークルなんですか?」
「天文研究会よっ!」
女の人が言った通り、中に入ると天文に関するものがいっぱいあった。
「おぉ~連れてきたか。待ってたぜ~」
「あたしが連れてきたんだから、感謝してよね~」
「わかってるって。」
仲良さそうだな~。ってか、体ヤバッ!どうやったらそんなムキムキな体になるの!
そんなことを考えていると、
「じゃあ、自己紹介はじめよっか。」
僕を連れてきた女の人が言った。
「私の名前は霧崎 遥だよ。」
霧崎先輩っていうのか~。可愛いな~
「で、こっちのごつい人は原田 順平」
「あっちのメガネをかけている男の人は佐藤 啓介」
「最後にサークルの代表をしているのが一ノ瀬 昴
今日は一ノ瀬いないけど、メンバーはこんな感じ。」
今日は一ノ瀬先輩っていう人はいないのか。どんな人なんだろー。
「でっ君の名前も聞きたいな。」
「あっそうですね。えっ、えっと僕は山崎 伊織です。」
「オッケー、伊織くんね。よろしくね!」
「はっ、はい!よろしくお願いします。」
うー緊張するー。先輩たちみんなこっち見てるし、手汗がやばい。
「でっ、どうどう!うちのサークルに入ってくれる!」
「えっと、どいう活動をしているのか知りたいです。」
ちょっと怖いけど僕は質問をした。サークルの名前で大体想像はつくけど一応聞いておいたいいと思った。これからエンジョイしていく大学でサークル選びは重要だ。ここで失敗したら中高と同じことになりかねない。
「えっとね~、正直活動はしてない。というか天文研究会っていうだけで、いつもしている事はお菓子を食べながら喋ったり、飲み会とかするだけ。」
「そっ、そうなんですか。」
う~ん、どうしようかな~。もしかしたら、どのサークルもこんな感じなのかな。
でも、飲み会とか憧れるな~。
「お願い!」
「えっ、どうしたんですか急に!?」
「今年はどうしても新しい人をサークルに入れないといけない理由があるの。だから、ねっ。」
くそ~、メチャクチャ可愛いな~。ウインクしながら「ねっ」は卑怯だーーー。
仕方ない、
「分かりました。このサークルに入ります。」
「ありがとう~~~~!」
「じゃあ、今日はこれで失礼します。今日は少し用事がありますので。」
「わかった。じゃあ、また明日ね~。」
ブンブン手を振ってくれている、霧崎先輩や他の先輩の部屋を後にした。
----------------次の日--------------------
緊張する~。僕は今【天文研究会】の部屋の扉の前に立っている。
昨日はなんとかなったけど、一日経つと昨日のことが本当にあったことなのか疑いたくなる。
ただでさえ中高は気持ち悪いと評判の僕に大学初日にあんな可愛い先輩が声をかけてくれるなんてこと
あるのか、いや無い!
ついつい、いつもの気持ち悪い考え事をしてしまっていた。
よしっ、深呼吸を一回したら部屋に入るぞ!ス~ハァ~、、、
扉に手をかけ、静かに開けた。
「こっ、こんにちはー。昨日サークルに入った山崎 伊織です。」
「あぁぁん!誰だテメー。」
ん?あれ?昨日と雰囲気が違うような…
「えっと、覚えてないですか!僕です。山崎 伊織です。」
「あぁーそういえば昨日霧崎が連れてきてたな。」
「あっ、よかったです。思い出してもらえましたか。ホッ」
「でっ!何!なんか用」
「用というか、サークルに入ったので来たのですが、、、」
あれーーーーーーーーーーーーーーーーーーー昨日と全然態度が違うんですけどーーーーー。
もしかして僕やばいサークルにはいっちゃった?