スターリア王国 入国編 (3)
ここから彼らの物語が大きく進みだすのでこれからも暖かく見守っていただければと思います«٩(*´ ꒳ `*)۶
朝の日差しと鳥のさえずりで目を覚まして呟いた。
「夢じゃないんだよな・・・」
異世界に来てしまったんだなと改めて思う。
「みんな寝てるし、顔洗ってくるか」
みんなを起こさないように下に降りて顔を洗ってから、今後の予定を考えていた。
まずは街を探すにしても、お金が無いと街には入れないよな・・・
持ち物といえばポケットのスマホと家の中に残している魔物の素材と体から出てきた色々な色の石くらいか。
ふと、家の中から声が聞こえてきた。
あれこれ考えているあいだに、みんな起きてきたようだ。
「一旦家に戻るか」
「ふわぁ〜 おはよ」
「おはよ〜」
「おはよ、お兄ちゃん」
玄関に入るとみんなそれぞれに挨拶してきた。
「あぁ、おはよう。 朝ごはんを食べながら街に向かう方法を考えようか」
「そうだね! ずっと森の中にいたくないし」
「でも、お金ないけど大丈夫なのかな?」
「まぁ、こう言う転移した時は、昨日化け物から出てきた石、多分魔石?ってやつを売ればお金になるから大丈夫だと思うぞ?」
「あ〜、そう言えばうちのクラスの子もそんな話してた気がする」
「じゃあ、とりあえずはこの森を出て、あるか分からないけど街道を探そう!」
「「「おぉーー!!」」
森の中を進んで2時間ほどたってようやく出口が見えてきた。
それまでにも魔物がいくつか出てきたが全てトードかフォレストバードだったので、問題なく進むことができた。
「お!あれ出口じゃね?」
「やった〜 これでこの森ともおさらばだね!」
「案外早く済んでよかったな」
そうして特に目立ったことはなく森を抜けることが出来ただけでなく、すぐ目の前には街道があった。
「森を出てすぐ道を見つけるなんてラッキーだね!お兄ちゃん!」
「あぁ、そうだな」
「じゃ、ちゃちゃっといこうぜ」
「おぉ〜♪」
街道を歩いて30分程すると遠くの方にでかい塀のようなものが横に続いていた。
「ん?あれって関所?」
「そう見えるな、もしかしたら国境付近だったのかもな」
「え?それ大丈夫なの? このまま進んで捕まったりしない?」
「大丈夫、大丈夫〜 審査は少し厳しくなるかもだけど、ほかの人が進んでるのも見えるし大丈夫でしょ!」
ユイの根拠の無い自身を頼りに進みとうとう関所で俺たちの順番が来た。
「そこのお前達! この国には何しに来た?」
「僕達旅をしようと思いまして、色々な国を回ろうと思っていたんですが、この近くの森でシルバーベアの群れに襲われまして、必死にこちらの方まで逃げたのですが、その際に身分証もなくしてしまって、近くにありましたこの関所に来ました。」
あらかじめ決めておいた言い訳を伝えたのだが、門番の人はやはり怪しいと思ったらしくとある質問をしてきた。
「ふむ、つまりお前達はこの国に何かあるのではなく、ただ旅のために来たと?」
「いえ、できればこちらの王国の方に移住させていただければと思っております」
移住したいと伝えると門番はとても上機嫌になった。
「ハッハッハッ そうだろうそうだろうとも、我らが王国は差別もないし住みやすいからな! ぜひ、国民になり過ごすといい」
「はい!ありがとうございます♪」
「あと、身分証なら魔物を倒せるのは倒せるようだし、冒険者協会に入るといい。魔物さえ倒せれば暮らしには不自由しないからな。」
「おう!ありがと!」
「おっと、遅れてしまったな、ようこそ我らがスターリア王国へ! あなたがたに精霊の導きがあらんことを」
そう言って門を開けてくれただけでなく4人で1週間は過ごせる金額をくれた。
優しくされて嬉しいのだけど、本当にあの人が門番でいいのかと俺は思ってしまった。
この国では、銅貨・銀貨・金貨・大金貨とあり
銅貨1枚が百円 銀貨1枚が千円 金貨1枚が1万円 大金貨1枚が10万円と同価値らしい。
街へ入り、少ししてから喋り出した。
「あのおっちゃん。いい人だったな!」
「そうだね! お金までくれたもん♪」
「いつかは恩返ししないとな」
「そうだね!」
そんな会話をしながら門番さんに聞いたおすすめの宿に着いた。
カランカラーンという鈴の音とともに給仕服を着た同年代くらいの明るくかわいい女の子が出てきた。
「いらっしゃいませ! 本日はお食事ですか?ご宿泊ですか?」
「三日間分の宿泊とご飯頼めるかな?」
「はい!わかりました! 宿泊は四人部屋ですか? 2人部屋2つですか?」
「あ、四人部屋でお願いします!」
「わかりました!では、おひとり様1泊どうか3枚ですので三日分で銀貨3枚銅貨6枚になります!」
「銀貨4枚で!」
「ありがとうございます!では、お釣りの銅貨4枚になります!
お食事ですがこちらの札を36枚お渡ししますので一食につき1枚カウンターで渡していただければお食事ですがをお渡ししますので、よろしくお願いしますね?」
「はい、わかりました。 あ、あと宜しければ冒険者協会の場所をお伺いしてもよろしいですか?」
「わかりました!
冒険者協会へは、この宿を出て右に曲がってまっすぐ進んで突き当たりを左に曲がってすぐある大きな建物が冒険者協会になります。
剣と盾が交差した看板がありますのでそちらを目印にしてくださいね?」
最後まで言うとウィンクをして仕事に戻っていってしまった。
「じゃあ、冒険者協会に行きますか」
「「「ラジャー♪」」」
そして対したイベントもなく冒険者協会に着いた。
こういうところでは絡まれるとトモキは言ってたが、何事もなく進めばいいけど・・・
そんなことを思いながら俺たちは冒険者協会に入って行った。
中に入るとゲームのようにざわざわと色々な人らがお酒を飲んだり依頼書を見たりしていたので、俺たちは近くの受付に並んで順番を待った。
とうとう俺たちの番が来たようで、目の前の燃えるような赤い髪に青い瞳の凛々しい女の人が笑いながら話しかけてきた。
「ようこそ冒険者協会へ! 本日はどのようなご要件ですか?」
「あ、はい。今日は4人で登録をしようと思ってきまして、大丈夫ですか?」
「はい!大丈夫ですよ〜 でしたら、こちらの用紙に必要事項を記入してください。 代筆も可能ですが大丈夫ですか?」
「はい!僕達でかけますので」
「あ、名前と職業さえ書いていただければ登録できますからね?
あと、できるだけ自分のスキルのことは言いふらさない方がよろしいと思います。
珍しいスキルなどありますと奪われることもありますので」
「え?スキルって奪えるんですか?」
スキルが奪われるという衝撃のセリフに聞き返してしまった。
「えぇ、スキルを奪うと言うよりもトレードと言うスキルでいらないものと無理やり交換させられるということですねぇ。
初めて登録した人が狙われやすいので気をつけてくださいね?」
「はい!気をつけます」
そんな話をしている間にみんな書き終えたので受付嬢さんに渡した。
「はい、あとはこのプレートに魔力を流していただけましたら登録完了になります!
では、冒険者協会の説明に入らせていただきますね?」
「「「「はい!お願いします!!」」」」
こうして初めての登録は問題なく終わるのだった。