100いっちゃう?
「本当デタラメしてくれるよ!」
私はすぐに彼女達の腕をかわした。
ズガガガガガガガ!!!!
それを追うように別の腕が今度は横一面を削り取るように薙ぎ払われる!!!
ドォォオオオンン!!!ドォォオオオンン!!!
その時の瓦礫が人が住む居住区へと飛んでいき、大きな音を立てて落下していった!!
青ローブから魔力を貰ったやつってのはなんでこうも常識から外れてくるんだ!!これ絶対魔力合わさってるよね!?ダメージ食らったら回復してパワーアップしてるよね!?いや、それよりもこいつの攻撃規模が大きすぎて居住区や人が多い都市の中心部に攻撃の余波が!!…………なるべく攻撃させないようにしないと!!
バチバチバチ!!…………
私は電気を放出しようとした!けれど、やはりやめた。私の雷は規模が大きくなればなるほど関係のない周りに被害が及んでしまう。こんなところで使ったら町中に雷が落ちてしまう。
「…………ねぇ、あんたらさ、なんでそんなにアイドルとか魔法少女とか正義の味方に憧れるの?」
私は彼女達の攻撃をかわしながら、言葉を投げかけた。もしかしたら攻撃をやめてくれるかも、とかそういう腹黒いことを考えてね。
「ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ!!!!!」
…………あーーー
「聞けよ。」
ドスッ
バチバチバチバチバチバチバチ!!!!
私は光剣を引き延ばして彼女達に剣を突き刺し、思いっきり電気を流した。
「グゥウウウウウウァァアア!!!!」
プシュープシューと彼女達は煙を立てていたが、その電撃によるダメージもすぐに回復して、体がさらに大きくなった。もう城塞よりも大きい。60メートルあるとか言われても信じちゃうぐらいだ。
「アコガレ……アコガレニ…………ヒトヲタスケルカッコイイアノヒトミタイニ!!!!」
ブンンンンンン!!!
私に意識を向けることに成功だ。これである程度は街への被害が抑えられる。
ゴォオオオンンンン!!!
私は拳を体全体を使って受け止めた!!
結構体重乗せてくるなぁこいつ!!!
「エガオデタスケテクレルッテイウアノヒトミタイニ(笑顔で助けてくれるって言うあの人みたいに)!!ヒトヲエガオニスルッテイウアノヒトミタイニ(人を笑顔にするって言うあの人みたいに)!!」
ゴォオオオンンンン!!!
ゴォオオォオオンンンン!!!
ゴォォォオオオオオンンンンんん!!!!!
立て続けに振り下ろされる拳。それを私は全て受け止めた。その都度床が、地面が凹んでいく。本当は移動したいのだけれど、移動したら横のなぎ払いが来て居住区に被害が及んでしまうから出来ない!!!
バチバチバチバチ!!!
パンチを受けるたびに私は雷を彼女達の体に流し込む。そのせいで彼女達の体はどんどん大きくなり攻撃が激化していく。
「イリナサンッテイウヒトミタイニ!!!!ワタシタチハナリタイ!!!!」
ベッッッッコォォオオオオオンンンン!!!
私の打ち上げるようなパンチを食らって彼女達の腕が上空に押し戻された。殴られた部分は私のパンチの衝撃に耐えられなかったのかべっこりと折れていた。
ベキベキベキベキバキ!!!!
それでも彼女達の回復はそれを一瞬で回復してしまい、さらに体を大きくした。………そろそろかな。
「あっはっはっはっはっ!!!あんたらバカよねー。イリナさんみたいになりたいって………そんなに力と美貌と知性しかない人間になりたいの?痛い目みるよ確実に。」
バチバチバチバチバチ!!!!
私の右手に雷が溜まっていき、それが小手のような形になっていく。
この技は、ディバインブラスト3とカイによって命名されたのだが、威力が高すぎて使い道がない。ただですら普通のパンチで十分なのに、それの20倍ぐらいの威力が出るらしい。20って…………意味がわからないんだけど。
もしこんなのをこの子達に使ったら確実に死ぬ。でも彼女達はダメージを受ければ受けるほど自分を強化することができるから防御力も上がっていて、これぐらいのレベルまでいけば私のこの技を食らっても死なないはずだ。そのためにわざわざ強くし続けた。
「イリナサンヲバカニスルナァァアアア!!!!」
彼女達は空中で拳を握りしめ、私に向かって垂直にそれを振り下ろした!!!
「なんで自分をバカにしなきゃいけないのさぁああああ!!!!」
メッシャァァアアアア!!!!
私は左手でその拳を堂々と殴り飛ばし、敵の拳の骨を粉々にしてひしゃげた。
タン!!!
そのまま私は飛び上がり、彼女達の顔面すぐ近くまで一瞬で到達した。
「あれは自慢に決まってんでしょうがァァアア!!!!」
ッッッッッッパァァァアアアンンン!!!!
音を圧倒的に置き去りにした私のパンチが彼女達の顔面に炸裂し、とてつもない衝撃が壊れかけていた城塞を吹き飛ばし、瓦礫を粉々に切断し、つき抜けた衝撃がソニックブームのように火山群を切り裂いた。
「………あれ……」
私の攻撃のダメージを回復しきれなかったのか、彼女達は分裂して元の姿に戻っていた。といってもやはりダメージが大きすぎて立てないようだ。というか意識すらもなくなっていたようだ。ずっと、粉になった瓦礫の上で寝ていたのだけれど今ようやくカルナーが意識をとり戻し上半身を起こした。
「うん、おはよう。やっぱり回復の魔力は便利だねぇ。」
私はそこらへんにあった枝を添え木として折れた右手を固定して、2人を見張っていた。
「ブラドはもう捕まったよ。だからあんたらの役目はもう終わりだよ。」
私達が戦っている間に姫子さんがブラドを捕まえていた。かなりの殴り合いがあったらしいけれど、デスクワークと現役の腕力の差でなんとか勝ったそうだ。さすがは全国区の探偵事務所代表だ。そして彼女はそのまま居住区へと向かい住人の安否確認もやっている。なんともタフな人だ。
カイは魔族2人をなんとか倒し生け捕りにして、そいつと31人のグロッキーな共犯者を勇者領に送り届けているところだ。カイが一度にワープできる人数は自分を含めて4人が限度だから結構時間がかかっているのさ。
「………おばさんはイリナさんなの?」
「だから私はおばさんじゃないって………まぁいいや。そうだよ、私はかの有名なイリナだよ。噂通り美少女で優しいでしょ。」
「…………美少女ってのはね。」
そういうとカルナーはマイトリーを触り傷を治した。
「う、うーん………雷がぁぁああ…………」
………寝言なのか分からないけれど、多分私のせいでうなされてるねこれ。
「………本当にイリナさん?」
「本当だけど?むしろ私以外のイリナを私は知らないんだけど。オンリーワンでありナンバーワンみたいな?」
いや、オンリーワンじゃなくても私はナンバーワンだよね。他にイリナがいても私には勝てないよ。格が違う。
「………私が聞いたイリナさんは、ずっと笑っている優しい人だって………」
……ああ、そういうことね。そんなところがひっかかっているのか。
「なんで私が、間違ったことをしている敵に笑顔を見せなきゃいけないの?」
「……………はぁ、やっぱり私達バカだなぁ。」
ドサ
カルナーは地面に思いっきり倒れた。
「そうだよ、バカだよ。力貰ったからってあんたらはまだ子供なんだ。浮かれて、善悪の判断つかないまま人を傷つけようとしてしまった………今回のでわかったら反省して子供らしく夢追っかけてな。」
まな板がどんなに胸そらしてもまな板はまな板。胸が大きく見えるわけじゃない。むしろ小さく見える。つまり私よりもこの子達のはちっちゃい。これだけは譲れない。
私は2人に笑いかけた。
「………うん、分かった。」
ガシッ
カルナーが私の手を握った。
「夢だったおばさんを追いかけるよ。」
………はぁ?
ちょ、何目を輝かせて私を見てるんだ………
「おばさんの元で頑張れば間違えることなく強くなれる。そうしたらアイドルにも魔法少女にもお笑い芸人にもなれるね。」
…………全部当てはまってないんだけどなぁ。
私はもう一度彼女の目を見つめた。
多分この子はそこらへんの子供よりも[夢]への執着心が強い。静かに見えて、多分マイトリーよりも………そんな子を無理矢理勇者領に預けたらどうなるか?……絶対に抜け出して追っかけてくる。これは確実だ。
ああ、人気者は辛いなぁ。
「分かった。私の元にいればいいよ。ただし危険なことはしないでよね。」
「………ありがとうお姉さん。」
………そういう素直な反応はちょっと気恥ずかしいなぁ。
この場をお借りして真理系 偶像者 魔法少女・夢幻泡影シスターズを解説します。………改めて文字に起こすと大変なことになってますね。無茶苦茶やった感が否めません。
[幸福無限]のマイトリー
・夢幻泡影シスターズの片翼を担う元気一杯の女の子。決め台詞は「応援者に笑顔と喜びを押し付けるよ!幸福無限のマイトリー!」
・魔力は[真理の体現]。世界に存在する倫理的真理を魔力として表現する。彼女の場合は元気な性格からか[与楽]を与えられた。これは半径100メートルの人間の力を無条件で第一類勇者まで押し上げるというもの。これは敵に対しても有効なので結構リスキーな魔力。しかしイリナの階級は第二類勇者だったため効果なし。
・使える攻撃は[ミラクル☆ビーム]
[悲愴久遠]のカルナー
・夢幻泡影シスターズの片翼を担うおとなし目の女の子。決め台詞は「応援者どもから悲しみと苦痛を奪い去るよ!悲愴久遠のカルナー!」
・掛け声の時だけテンションが高い。
・魔力はマイトリーと同じで、性格が落ち着いたものであるためか[抜苦]となった。これは近くにいるもののダメージを回復し、その回復量分を敵に返すというもの。これも敵味方に関係なく発動するので、実はイリナにも効果は出ていた。しかしダメージが少なすぎてあまり回復したという実感が湧いていない。
・使える技は[マジカル♡スパーク]と[マジカル♡乙女の一撃]。
与楽抜苦
・[真理の体現]の魔力を持つもの同士は、魔力が反応しあい合体することができる。与楽抜苦は2人が合体した姿。
・魔力は[ダメージを受けたら回復し、その回復分自分を強化し巨大化する]というもの。この時にはもうすでに独りよがりの真理となっており、誰にもその恩恵が与えるられることはない。
この2人の命名の理由は、「授業で与楽抜苦ってのがでてきたけれど、全然覚えられないしがごく人の名前に聞こえたから、もういっそキャラにして覚えちゃおう。」というとても雑なもの。そんな雑な命名理由ではありますが、結構好きなキャラです。




