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地底800マイル  作者: 悟飯 粒
クソッカス腎臓程度の悪代官
31/70

マジカル☆じゃない。マジカル♡だ。

内部からの爆発!なんだ!?触られてないぞ!?


「くっ………解析しないと!」


僕は吹き飛んだ腕をすぐさま回収し腕を注視した。

爆発部分の近くに針のようなものが刺さっている………大きさは2センチぐらいだ。もしかしてこれを相手が飛ばしてきたのか?

僕は今度は吹き飛んだ断面を見た。血管、筋肉が腕の丁度真ん中ぐらいの位置から放射状に、外に向かうように吹き飛んでいる。中からの強い衝撃によって破裂した証拠だ。つまり相手のうちの1人の能力は針を飛ばし、刺さったものを内側から破裂させるというものだ。これで壁も破壊したのだろう。


グチャ!

腕を二の腕にくっつけた。

ズゾゾゾ………

するとその接着面に水がたまり、2つをくっつける。氷で固めては筋肉の柔軟性が損なわれるし、なによりも体温低下や周辺組織の運動能力低下、血液運搬効率低下をもたらす。だから水の温度を体温に、濃度を体液濃度に保ち接合部をつなぎ、粘性が高いゼラチン質で補強し、皮膚と同じ役割を果たす弱酸性の性質をもつ皮膜で接合部分を覆った。あとは血管壁の収縮率と弾力運動性、くっつけあう筋肉と血管の運動の連動性を設定すれば………


ぐっぐっ………


ぎこちなくではあるけれど、手を握ったり開いたりはすることができる。

よし、ひとまず応急処置完了。ちょっと伝達速度が遅いな………あとで設定し直そう。


僕は目の前の状況に目を向けた。

魔族のうち1人は氷漬けで、もう1人は氷を破裂させることで回避していた。勇者の方はというと4人全員氷漬け。ま、さすがにね。聖騎士長に止められるほどのやわな魔力はしてませんよ。


パチン!!

僕が指を鳴らすとこの部屋全体に飛び散った氷の破片が浮かび上がり、その先端が魔族の1人に向けられた。

針を刺して破裂させるというのなら、物量を多くすればいいだけの話さ。


「なんでこの城塞をピンポイントで攻めてきたんですか?教えてください。」


前にいる魔族に話しかけた。本当はさっさと倒してイリナさんの救援に行きたいのだけれど、こいつからは聞かなくちゃいけないことがある。


ピン!!

ドオン!!

魔族が針を投げてきたが、水で遮った。タネさえわかればいくらでも対策ができる能力だ。もう僕には通用しない。


「魔族の目的は僕達を倒すことだと言われています。だから重要拠点をピンポイントで攻撃………うーんちょっと無理矢理ですね。たった2人で、しかも貴方達程度の階級が出来ることじゃないですよ。だったら何か別の目的があるはずだと考えるのは当然ですよね?」


ザリっ

ピュン!!


「………」


相手が少しでも動こうとすると僕は氷のカケラを掠めるように飛ばし牽制する。


「何か意味があるはずだ。そうですね、例えばぁ………ブラドの奪還とか?」


ピピピピピン!!!

敵が大量の針を飛ばしてきた。

ボンボンボンボンボン!!!

それでも僕には届かない。全てを水で遮り防ぎきる。


「当たりですか?そうなると今度は繋がりが大切だ。魔族、ブラド、子供、青ローブ………勇者領全域で魔力を渡し歩いている青ローブは貴方と同じ目的を持った人なんですか?」


ボンボンボンボンボンボンボンボン!!!!

爆発が加速していく。当たりということでいいのかな。


「それじゃあ最後の質問。[七王]とは一体何を指しているのですか?教えてください。」


七王。イリナさんと戦ったガルザンとやらが言っていた言葉だ。最初は魔物を統率するやつらのことかとも思った。というか今も思っているぐらいだ。でも純粋な魔族を見てそれが疑問に変わった。魔族には三王と魔神という絶対的な存在がいる。それなのに魔物のボス程度に魔族がなびくなんてあり得ないのだ。


しーーん………

敵が攻撃の手を止めた。


「…………こ、」


敵がようやく口を開いた。


「この世界の王だ。」


ドオン!!ドオン!!ドオン!!ドォォオオンンン!!!


いきなり周りの壁が爆発した!!!

な、投げてないぞ!………まさか爆発を遅らせることが出来るのか!?!?


ビュォオンン!!!

前方から何か巨大な物体が飛んできたから僕は全力でかわした!


グチャアア!!!

するとそれは壁にぶつかると鈍い音を立てて破裂した。

……人間を弾丸みたいに飛ばしたのか!!まてよ!?確かこれはサイコキネシスの派生系の魔力で、性格が残忍で生来の人殺し体質じゃないと発現しないはずじゃ………


魔族の1人が笑いながら、氷漬けの3人の勇者達に手を置いた。僕を見つめる目が愉悦に塗れていた。

………こいつはここで殺さないと被害が甚大なことになるな…………

この城塞全てを氷漬けにするぐらいの覚悟を持って、敵と対峙した。



「ビーーム☆」「フラッシュ♡」


ゴンンン!!ゴンンン!!

ステッキというなの二対のモーニングスターが、息継ぐ間も無く振り下ろされ続ける!


「えぇぇええい!!めんどくさーい!!その掛け声やめて!!」


パパン!!ドォオン!!

私の横振りの蹴りが2人をまとめて吹き飛ばす!!

近距離は私の得意分野だ。それで私に勝負を挑むなんて勝利を放棄しているようなものさ。……まっ、遠距離でも私には隙がないんだけど?


「いたたた………」

「痛いのとんでけー………」


カルナーがステッキを振ると、2人の傷がみるみる消えていく。


「くそーー!!強いなお姉さん!!簡単に倒させてよ!!」

「………おばさんのくせに」


「だからおばさんじゃないって言ってるでしょうが!!分からない!?分からないのかなこの私のモチ肌が!!」


失礼にもほどがあるでしょ!!私まだ15だよ!?それなのにおばさんとか………目が腐ってるのかな?

それにしてもやっぱりめんどくさい2人だ。2人とも第一類勇者の運動能力を持っていて、1人は傷を完璧に治す魔力まで持っているときている。マイトリーの魔力が謎だけれど……ん?


「マイトリーって子の魔力って、能力強化?」

「な、なぜそれを!?!?」


うわーー。すごいオーバーリアクション。やはりお笑い芸人目指しているアイドルなだけはある。

そっか、身体強化か……それならば話が通るね。多分マイトリーの能力は自分以外の人間の能力を強化できるんだ。だからあの2人の身体能力は高いし、ブラドが私の魔力を反射できたんだ。そうだとすると彼女達はやっぱり青ローブから魔力を貰ったということになる………んー?やっぱりおかしいなぁ。


「隙あり!!くらえミラクル……」

「ちょっと待った!!」


ドズン!!

お腹を思いっきりパンチしてマイトリーの動きを止めた。


「私ね、思ったわけさ。こんな争いやめて一緒にブラドを捕まえようよ。それの方が正義の味方っぽくない?」

「マイトリーを離して!!」


メシッッ……ドォオオン!!

私の蹴りでマイトリーが吹き飛んだ。


「なーんであんたらは悪党の味方をして私達正義の味方に攻撃してくんのさ。」

「………悪党なんかじゃないもん!!」


ガブッ

マイトリーが私の腕を噛んできた!!


「いっ……たいなぁ!!」


ドォオオン!!!

マイトリーを壁に投げ飛ばす!!


「普通だった私達に力を……チャンスをくれた人達のお友達だもん!!そんな人が悪い人間なわけがないもん!!嘘つくな!!」

「だからぁ。その力は危険なわけで………」


バチバチバチ………

カルナーの腕にエネルギーが溜まっていた。ただあるだけで弾け飛ぶ、高エネルギーの塊。


「……私達の痛みを知れ。」


ボォオオオオオンンン!!!

光り輝くエネルギーの塊が私に放たれ、それをモロに食らった。

この部屋全てがぶつかった時に出た光と衝撃に包まれ、壁や天井が吹き飛び砕け散っていく。


「どう!?カルナーの[マジカル♡乙女の反撃]は!!お姉さんがいままで私達に与えたダメージそのまんまが返ったんだよ!!正義の味方はどんなに強い敵も倒すんだよ!!」

「………悪党死すべし。」

「………あんたらぁああ」


ジャリっ

私は沸き立つ埃をかき分け一歩前に出た。


「そんなに私を敵に回したいわけ?」


私は全力で床を蹴った!!

地底800マイル折り返し地点。長い、長すぎる………

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