その日の夜
今回は話の都合上、量が少ないです。
これ以上書くと話の区切りが分からなくなるので、いったんここで閉め。
執筆速度が遅くてすいません。なるべく早めに上げようと努力はしますので、よろしくお願いします。
その日の夜、盛大なリウの手料理が振る舞われた。
買ってきた大量の食材は二・三日程度もつようで、計画的に予定を組んで買出しにはしばらく向かう必要が無さそうだ。
食事が終わり各々が自由に行動した後、ロウ以外は皆大人しく就寝した。
日は沈んで暗い街中を一人で歩く。暗い夜道を歩くのはロウの癖のようなもので、初めて訪れる場所は近くだけでも歩いて、大体の地理を把握しようとする。
夜中に歩くのはその街の裏の顔を垣間見る事ができるためだ。
「・・・クロエの国とは違って、ここは結構盛んだな。」
普通に生活するだけならば、決して目にすることのない世界。
入口の前に座り込む薄汚れた爺さん、ボロボロの服を何重にも来ている汚い男、誰も近付こうとしない道。
裏の世界を熟知している、ロウだからこそ分かる些細な違和感を感じ取り、懐かしい雰囲気に少し微笑む。
「そろそろ戻るか。」
宿泊している場所付近については大体理解する事が出来たので、そろそろ帰ろうと踵を返した時だった。
「・・・。」
振り返った先には、道の真ん中に敷いた座布団の上に座り込む、亀の甲羅を背負った伸びた髭と顔と同じくらいの大きさの眼鏡をかけている爺さんがそこにいた。
座っている事を差し引いても、かなり小さいその爺さんはロウをしばらく見つめると、いきなり口を開いた。
「来てそうそう暴れるとはいい度胸じゃの。」
「・・・人の顔見るなりケンカ売ってんのか? そうゆうお前こそ何者だ?」
「儂のことはいずれ分かる。そんな風に注意が散漫としてる様じゃ、相棒としては少し頼りないのぉ。」
「誰が誰の相棒だと? いきなり出てきて分かんねぇ事言うな。」
言い返すロウの言葉を意に介するような事もなく、老人は笑っている。
「いずれそうなる、・・・いや違うな。そうせざるを得なくなる。」
怪しい雰囲気を強烈に纏っているその老人に、近付こうと一歩踏み出すと、隠れていたのか大量の魔族が現れた。
「またすぐに出会うでな、その時を楽しみにしとるぞ。」
現れた魔族はロウを囲うでもなく、老人の方へと集まりその一角だけ人混みが出来上がる。
それから少しして、その集団が散らばる頃にはその老人も消えており、集まった魔族たちも闇へと溶けて消えていき、その場に残されたのはロウ一人となった。
「・・・・・・何だったんだ、いったい。」
◇◇◇ ◇◇◇
その翌朝、朝食をとっている時に階段での話を伝えた。ロウが話した言葉に唖然としている者が多い中、リウが言葉を返してきた。
「・・・その話は本当なの?」
「さぁな。どこまで信用していいのか分からないが、もしこれが全部本当ならば『世界が生まれ変わる』なんて話も真実味を帯びてくる。」
「どういうこと?」
「あの話をしていたのは結構な商人だろ、それは言葉の端からうかがうことが出来る。そんな奴らが、そのマーリンってやつの話で商いをしていることになる。」
そこまで聞いたキリエが思わず口を覆う。ロウの言わんとすることを理解したのだろう。
「・・・世界の商売に干渉することが出来る。」
「そうだ。極端な話、目障りな国だけを衰退させることが出来るかもしれない。」
「おい、待てや。もしそうなら『あいつら』・・・」
「かなりデカい組織になる。大国と同等か、それ以上か。」
そう話を終えると皆が黙りこんでしまい、朝食を食べていた時の騒がしさはどこかへ消えてしまったようだ。
「まぁ、あくまで予想だからそうだと決まった訳じゃない。それを確認するためにも調べに行かないとな。・・・リリア、アレどこまで進んだ?」
「あれ? ・・・あぁ、アレね。折り返し地点は過ぎたから、後少しですね。期待して待っててください。」
「アレって?」
「できてからのお楽しみだ。」
そうして話の共有は終わって重い雰囲気は引きずってはいるものの、どんよりとした重さではなくあくまでも突然の話に驚いた程度のものだ。
その雰囲気を背中に感じながら昨日と同じメンバーが、調査の為に外へと出かけた。




