『連続殺人事件』 その後3
詰めに詰め込んだ今回。
あと1話で長い第2章、終わりです。
「お父様、本当によろしいんですか?」
声を掛けてくる少女は娘のキリエだ。
その顔は見る者すべてを魅了できる美しさを持っている今の顔には、不安の色が強く出ている。
「何度も言ってるだろう? 今回ばかりはキリエも関係者だ。神将たちの会議に出ることについては問題ない、それにロウに会いたいと言っていたのはキリエじゃないか。」
「そうですが・・・。」
不安げな目で合わせた自分の両手に視線を落とす。
今いる場所は国王クロエの執務室。深く来い紅色の絨毯が覆うその部屋は、両方の壁に本棚が設置されており、扉の正面にクロエが座る椅子が設置されている。
キリエが座っているのは来客用の為に設置されている椅子に座っている。
「怖いのかい?」
「いえ、そんなことはありません。・・・分からないのです。一体どんな顔をして会えばいいのか、ロウは私のことを命がけで守ってくれたというのに・・・。」
「キリエ・・」
「ボロボロの姿で意識のないロウを見て、私は怖かった。・・・あの靄の男性と同じ恐怖を抱いてしまったんです。」
合わせた両手を強く握る。その顔は嫌悪感をあらわにしており、その感情の相手が誰なのかということはこの場にいる二人には分からない。
二人の間に沈黙が訪れる。時を刻む音がその場を制圧しそうになった頃、クロエの持つ刻印石が震える。
「・・・どうした? ・・・・・何?」
「?」
「・・・そうか、・・・・分かった」
震えた刻印石を見て難しい顔して話すクロエの姿にキリエは首をかしげる。
「・・・納得のいく答えを待ってるぞ。」
話しは終わったようで机に手をつき、深く息を吐く。
その姿をみたキリエはクロエに対して静かに問いかける。
「・・お父様、どうなされたのですか?」
「喜ぶといい、キリエがもつ不安は無くなった。」
「と、言いますと?」
「神将たちの会議は中止だ。」
◇◇◇ ◇◇◇
「「ごちそうさまでした!」」
声をそろえて叫ぶ幼い二人はシュシュとミユだ。
夕食を食べ終わり、終了した祭典の話で盛り上がっている。
「すごかったよね! 最後のあのきれいなお花、初めて見たな~」
「うん、すごかった。もうちょっと見たかったけど・・・」
「ねー、もっと見たかったのになー」
「我がままを言うんじゃないよ。あれは、儚いからこそ美しいのさ。」
二人の緑の髪をなでながら語り掛けるようにして話すが、幼い二人にはまだ早い話のようだ。
「そうなの? よくわかんない。」
隣のミユもシュシュの言葉に応じるように首を縦に振っている。
「それじゃぁ、まだ子供ってことさ。・・・・さて、みんなには悪いけどまだやることが残ってるんでね、後は頼むよ。」
「分かりました、おやすみなさい」
リーリアが最初に挨拶をすると、セシル、シュシュ、ミユも続けて挨拶をしてマリアは自分の部屋へと帰っていった。
それからセシルと話しながら夕食ででた皿を洗っていると、後ろで楽しそうに話していた声が聞こえなくなってきた。
「?」
振り返ると、机に突っ伏して寝ているシュシュとミユがいた。
楽しい一日を夢に見ながら寝ているようで、うれしそうな顔で寝ている。
「まったく、こんなとこで寝て。・・セシル、手伝ってくれる?」
「仕方ないね。」
皿を洗う手を止めて、夢の世界に飛び立った二人を抱えて二人の部屋に向かう。
廊下を出て階段を上り、マリアの部屋の前を通り過ぎた先にある二人の部屋に到着する。
寝ている二人の服を着替えさせて、そっと布団をかぶせる。
「おやすみ」
そう言葉を言い残して扉を閉めて、皿洗いの続きをするために元の部屋に戻る。
「・・今日はいろいろ大変だったよね。」
「そうだね、いつもやかましいあの二人がよりうるさくなるんだから。」
「あはは、ほんとだよ。・・でも、その気持ちは分からなくもないけどね。今回の祭典はいつもと違ってたから。」
「確かに、王宮を使った催しまであるなんてね。あの時は本当に驚いた。」
今日という日に起きたことを話す。シュシュとミユと同じくらいはしゃいでいる姿は年相応で、無邪気な印象を受ける。
話しの盛り上がりのときに、わざとではないがセシルの口から放たれた言葉で一気にその空気は真逆のものに変わる。
「まったくだ。今年の祭典はいつも以上に楽しかった気がするよ。ロウにも・・・」
階段に差し掛かったころに発した言葉に口を抑える。しかし、その行動も遅く隣にいるリーリエの顔が強張る。
「・・・ごめん。」
「ううん、気にしてないよ。・・・あんな話、私は信じてないから」
ロウたちが夕食を食べて行った次の日のことだ。訓練から帰ってきた兵士たちから聞かされた、『連続殺人の犯人として人間が死んだ』という話はリーリアを深く傷つけた。
兵士の方も悪気は無かったのだろう。ただ、この寮に兵士の人たちが来てから顔を出したことが無いために、リーリアとロウが知り合いであると知らなかった故の出来事だ。
今でこそこうして話が出来てるが、その話を聞いたときのリーリアはひどかった。ロクに仕事も手につかず、マリアが慌てて帰ってきてリーリアに付きっきりで看病したほどだ。
「だってそうでしょ? ロウさんがそんな簡単にやられる訳ないじゃないですか。それは私よりもセシルの方が知ってるはずじゃない。」
強気にそう言うものの、手は震えている。国からの本気の捜査で生き延びることは不可能に近いということは、分かっているからだろう。
終戦の英雄が集まった国であるがゆえに、嫌な予想が消えてくれないのだ。
「それは・・・」
階段を降りきり、元の部屋につながる廊下をまっすぐ歩いていると目的の部屋の前までくる。
「きっとロウさんのことだから、いつの間にか部屋にいたりして。」
ひょいと、部屋を覗いたリーリアが固まって動かなくなる。
その様子を見て不思議に思ったセシルは部屋の中を見てリーリアと同じようにして固まる。
その様子に気づいたのか、その部屋にいる人物は皿洗いをやめて振り返る。
「久しぶりだな。約束までに帰ってこようと思ったんだけど、寝坊して遅れちまった。悪いなリーリア、セシル。」
「・・・ロウ、なのか?」
掛けてあるタオルで手を拭くと、何でもないかのように答えてきた。
「当たり前だろ、他に何に見えるってんだ?」
赤い瞳を緩ませて、穏やかな顔でそう告げてきた。
◇◇◇ ◇◇◇
「お前は記憶残ってるのか?」
薄暗い牢屋の中で最初に聞いた質問だった。
「全て、というわけじゃない。古い記憶はほとんど残ってないが、最近のことならばいくつか覚えています」
「・・具体的にはどのあたりだ?」
ロウの質問にその男は目をつむり、思い出せる記憶を遡って確認する。
少しだが先ほど行っていたのでそんなに時間はかからなかった。
「おそらくこの町で多くの魔族を殺して回ったあたり・・からです。」
覚えていて欲しいところの記憶があったことにロウは安堵の息を漏らす。
次の質問をしようと口を開くが、言葉が出てこない。変な沈黙が流れたことにより、シュロロとセレスティアの表情が訝しいものに変わる。
「・・ロウ?」
「・・・今俺がどう行動したいか、後悔は後でできる。今は気にしない。」
「ロウ様? 何を言っているのですか?」
「ただの独り言だ、気にしないでくれ。・・それで質問に戻るが、あの殺しは突発的なものか? それとも計画的なものか?」
「確かあれは指示された場所にいる者を殺す、というものだったはずです。」
その答えを聞いたロウの顔は一気に崩れて、悲しそうな表情を浮かべる。
「・・・全てか?」
「一つ残らず、全てです。」
全身の力が抜けたように項垂れた。後姿からでも分かるほどに、悲しんでいることが伝わってくる。
その姿のまま、ロウはその場にいる全員に聞こえるように口を開いた。
「一つだけ生まれた不安要素についてだ。それは・・・・・・」
◇◇◇ ◇◇◇
「・・・ホントに、・・・ロウ・・さんなの、ですか?」
「そうだ。ロウ・ガーウェンは俺だよ」
「本当に?」
「そうだって言ってるだろ、どうしたんだ?」
「ホントの本当に?」
「いや、だからそう言って・・・」
「ッ!」
キリエがロウの首もとに抱き着いてくる。さすがに二度目となると、ロウの方も倒れずに受け止めることが出来た。
「いや、そこまで喜んでくれるのはうれしいが・・・どうした?」
「馬鹿! そんな反応するのは当たり前じゃないか!」
「それは何・・・」
言いかけた言葉が止まる。ロウに抱き着きながら泣いているリーリエの後ろで、涙を流しているセシルの姿が目に入り状況がより分からなくなる。
「・・あんた、・・死ん、だことになってたんだから」
「何でそれ知ってんだ? あれは王宮の中だけの・・・そうか、訓練兵から聞いたのか。」
ようやく状況を理解したロウは、石鹸の香りがするリーリエの頭を優しくなでる。
それからしばらく、二人は涙を流していて落ち着いたのは少し時間がたってからだった。
「落ち着いた?」
「・・はい、ぐスッ、生きてる・・・なら、一言・・下さい、よ。」
ひどく泣いた影響で、嗚咽が後を引いている。肩をセシルに撫でられながら椅子に座る。
座った二人のコップを取り出して、飲み物を注いで二人に出してロウも席に着く。
「言えるような状況じゃなかったからな。・・すまん。」
「それで、そのいろいろは終わったから帰ってきたってことで良いの?」
「それについては微妙なとこだ。終わったようで、いまいち終わってない感があるからな。少なくとも今帰ってきたのは、一段落着いたからだ。」
「また、行っちゃうん・・ですか?」
泣き腫らした不安そうな目を向けられて、ロウは言葉に詰まった。
何とか息しか出さない口を動かしてリーリアからの質問に答える。
「・・いや、まぁ、・・どうかな。とりあえずは報告とこれからについていろいろ話さなきゃいけないから、行くっちゃいく・・のか?」
「うぅ・・」
「泣かないでくれ、頼むから。」
リーリアの眼に涙が溜まり、それを正面から見たロウは慌てふためいてよく分からないジェスチャーをしている。
と、不意にセシルが笑い出した。
「もう、なに二人で遊んでんのさ。」
「遊んでなんか無いよ、セシル!」
「そんなうれしそうな顔で言われても説得力なんかないって、ハハハ!」
セシルの言葉はロウにはいまいちピンと来ていないが、リーリアの方は見る見るうちに顔が赤く染まっていき別の理由で涙が流れそうになっている。
そのことにも気づかないロウは、相変わらずそわそわしているだけだ。
「それで、ロウの方はあたしらに会いに来てくれたってことなんだね?」
「・・それもあるが、二人に話したいことがあってきたんだ」
「あたしらに?」
「あぁ、できたら一人づつ話したいんだけど・・いいか?」
話題が変わってリーリアの方も涙が収まったことで、安堵の思いを抱きつつ話しだした。
ロウが話したい内容が二人は想像できないようで、首をかしげている。
「じゃぁ、まずはリーリアから話しなよ。私は扉出たとこで待ってるからさ。」
「え、でも・・」
「いいから、ロウの方もかまわないでしょ? 私はあの階段にいるから、終わったら呼びに来てね。」
「了解、またあとで」
そう言い残すと扉を出ていき、部屋にはロウとリーリエの二人だけが取り残された。
「さて、良いか?」
「ひゃい!」
「・・・どうした?」
明らかに先程と違って、視線が泳いでいる。不安げに見つめるロウの眼をわざと逸らしてみないようにしている。・・・気がする。
「な、何でもないですから。本当に。」
「そうか、じゃぁ話すぞ。リーリエに言いたいことってのは・・・」
ごくり、と生唾をのむ音が聞こえた気がした。目の前のリーリエは冷汗がすごく、緊張の面持ちで待ち構えている。
「リーリアの家族の話だ。」
「セシルたちの?」
「いや、そっちじゃない。なんて言うか・・・。選んだ言葉がもしかしたらリーリエを怒らせるかもしれないから、先に謝っておく。家族ってのは本物の血縁関係の話だ。」
「・・・え?」
◇◇◇ ◇◇◇
「ロウ、それはほんとなのか?」
「分からない。俺だって、嘘であって欲しいさ。」
ロウが話した内容に各々が驚きの顔を作る。
「そうですか、それでさっきあんな質問を。」
「そう言うことだ。・・俺の聞きたいことは大体聞いたな。二人は何か聞きたいことあるか?」
ロウの問いかけにセレスティアは首を横に振る。
「俺からはいくつかあるが、それはこんな場所じゃなくて正式な場所で聞くさ。」
「そうか、じゃ俺からさらに質問な。」
「まだ聞くことがあるのか?」
「いや、これは別件。事件とは関係ないよ。・・あれ、お前のだよな。」
後ろに向けていた視線を再び囚人の方に向けて問いかける。
ロウの言葉の内容が理解できないのか、不思議そうな顔でロウの方に視線を向ける。
「あれ、とは?」
「確か、ルルリアだっけ? 石に姿を刻み込むあれ」
「持っていてくれたのですか! それは今どこに!」
先程までの質疑応答のときとは違い、明らかに態度が違う。
それを見てロウは確信した。
「やっぱりあれ、お前のだったのか。聞かせてクれないか? あの少女について。」
「・・・妹ですよ、腹違いのね。」
「妹?」
「そうです。彼女は、ククリはあの場所の長を務める家柄の者でした。吸血種との混血とは違う、精霊の純血の・・ね」
「吸血種・・・」
「はい、あの戦争のときに出会った両親は私を生んで父親が死にました。母の里を頼ってそこに身を寄せて暮らしていたんです。」
そこから戦争のときの話が始まった。
「妖精という種族は血の規律を重んじます。それにより混血である私はその里で腫物の様に扱われ、そんな私を母は見捨てずに私を助けようと行動した結果、里長の息子と契りを交わしたのです」
「そこで生まれたのがククリって少女か」
「ククリは本当にいい子でした。話すことさえしようとしない大人たちと違って、ククリは私の多くのことを話しました。
花の名前や言葉、里の名所や好きなもの嫌いなもの。いろんなことを話していくうちに、ククリは私の言葉をまねるようになったのは良い思い出です。」
ここまで語る囚人の表情は非常に明るく楽しそうに話しており、それを聞いているロウもなんだかうれしくなってくるほどだった。
「ですがそれもある時を境に終わりを迎えました。これは皆も知っているとは思いますが、人間が攻めてきたのです。」
そう告げた顔は悔しそうなものへと切り替わる。
「抵抗空しく、里は人間に蹂躙されました。それは私たちの家も例外ではなく、多くの人間が襲ってきたのです。襲ってくる人間に対して、私はククリを守ることで精一杯でした。・・・いや、違うな。私はククリを守ることが出来なかったのだから。」
「どうゆうことだ?」
「崖に追い詰められた私の前に現れた一人の獣人に、私はなすすべ術なくやられてしまいました。結果、私は捕まってククリはがけ下に落ちて行ったのですから。」
ここまで話した囚人は自分の膝を手で強くたたいた。痛みに悶えるでもなく、その顔はただ悔しいという気持ちを痛いほどに表していた。
「後は覚えていません。捕まった後よく分からないものを飲まされたりして、意識を失った後この町で大量に殺した記憶しかありません。」
「お前、何故戦えたのだ? 妖精の里に襲ってきた人間が武装していた武器は、エアを無効化するものだった。故に妖精はなすすべなくやられたはずだが?」
質問してきたのはロウの後ろに立っているシュロロだ。特に移動することも無く、ロウの後ろから声だけで質問してきた。
「それは私が混血だからです。半分吸血種なのであの武器は私にはいまいち効果が無かったみたいでして」
そうか、と短く呟いてそのまま黙り込んでしまった。
その部屋に重い空気が流れるが、その流れを断ち切るようにしてロウが口を開く。
「・・・これで半分だ。なぁ、もし妹が生きていたらお前はどうしたい?」
「私の話を聞いていたのですか? ククリは死んだと言ったはずなのですが・・」
「そうですよ、ロウ様。それは確かに書庫の方にも記載されていたと思いますが・・」
「まぁ、聞け。だからこそ半分なんだ、これからその半分を確定に変える質問をするから正直に答えろよ。」
「・・・はい、分かりました」
聞いている全員に緊張が走る。マンを持して質問した内容は、
「お前、名前は? ククリと遊んでた時の名前でいいから。」
その質問に皆が拍子抜けしたような息が聞こえる。
目の前の囚人もそんなようなことを思ったようで、ためらいながらもその質問に答える。
「・・・リリア・エルリーエ」
◇◇◇ ◇◇◇
「・・・・・・・。」
「これが真実かどうかは分からない。会う会わないはリーリアに任せるから、会いに行くならば俺に声を掛けてくれ。会わないならばそれでいい。」
リーリアは何も言えないでいる。突然言われた聞いたことの無い名前に困惑の表情を見せる。
「・・セシルは?」
「セシルに言おうと思ってたのはリーリアの様子を注意していてくれって言おうと思ってた。」
「それじゃぁ、ここにいても問題なかったんじゃ・・・」
「もし、セシルがいたらリーリアは頼っちまうだろ。つらいこと言うけど、これはリーリアが自分で決めなきゃいけないことだ。」
「・・・・・。」
突き放したロウの言葉にセシルは再び黙り込む。
立ち上がりセシルのもとに向かおうと扉に手をかけると後ろから声が飛んでくる。
「何で急にこんなこと言うんですか! 私・・私の家族は・・・」
「マリア、セシル、シュシュ、ミユ、俺がリーリアの家族で、それは揺るがない事実だ。そして、あいつにとっての家族はククリだけだ。」
「!?」
「会う会わないはリーリアに一任することになる。けど、俺としてはあいつに会ってやって欲しい。信頼できる家族がいればそれでいいと思うけど、やっぱり血のつながりがある家族は違うもんだ。」
「私は・・・」
「今日はもう寝ろ。今すぐ答えを出せとは言わないから、ゆっくり考えてくれ。」
そう言葉を残して部屋を後にし、セシルにも同じ説明をしに行った。
◇◇◇ ◇◇◇
月明かりが照らす廊下。そこは誰もが寝静まった時間で、あたりは静寂に包まれている中でカツン、カツンと足音が聞こえる。
迷うことなく真っすぐに向かう先は、この寮の物置部屋となっている三階の一室だ。
本来ほこりまみれになっているはずのその道には何人かの足跡が通った痕がある。
それを見て静かに進み、目的の部屋の扉をゆっくりと開ける。
開いた扉の先には入り口から見て斜め前の左右に二つ、大き目の窓が付いていて、その窓の間に何かベットのようなものが置かれている。
そのベットに近寄り寝ている人物の姿を確認して、持ってきたそれを振りかぶる。その瞬間、
「何してるんだ?」
慌てて振り返る場所にいたのは月明かりを反射する銀色の髪をしている、ロウがそこにいた。
「もう一度きくぞ、そこで何してるんだ・・・・」
大きな窓ガラスから差し込む月明かりがその部屋を照らす。うっすらと照らされた場所にいたのは・・・
「セシル」
右手に持つ銀色のナイフ、緩やかなカーブがかかった緑の髪の女性。
セシル・レヴィがそこに立っていた。




