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全てが新しい異世界にて -fast life-  作者: 鰹節
第二章 英雄大国 ストロガノン
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捜査二か所目


「本当か?」


予想外の内容にロウは驚きの声を漏らす。

しかし、それも一瞬でトールの言葉を思い出す。


「・・また、ってどういうことだ?」


「こういったイタズラの手紙は毎年送られてくるんだ。

 その都度、警備を増やして対応している。」


「大丈夫なのか?」


「送ってくるだけ送ってきて特に何もないのさ。

 良いことなんだが、手間がかかる分迷惑してるんだ。」


手紙をソルドールの机の上に置き、ソファーに戻ってくる。


「ただ、今回はこの事件があるから否応なしに警備は増やすがな」


それが良い、と言ってロウも頷いて返す。


「それで、お前は何か思いついたのか?」


と、トールがロウに言葉を投げかける。


「その手紙について思うことは無い。

 ・・とりあえずこれから知らべたいことは二つある。

 一つは戦争の時に使われた兵器、もう一つは通り魔が纏っていた黒い靄についてだ。」


その問いに答えを返したのはロベルトだった。


「だとしたら、ここじゃなくて書物庫に行ったらいい。

 そこならロウの知りたい情報が置いてあるだろうからな。」


「そうか、わかった。・・なぁ、一つ聞いていいか?」


「何だ?」


前回から思っていた疑問を口にする。


「前もそうだとは思ってはいたが、やたらと俺に親しく接してくるよな。

 嫌じゃないんだが、気になってな。後ろのこいつはやたら敵対してくるから、てっきりみんなそんなもんだと。」


後ろから睨まれている気がするがあえて無視する。


「あぁ、そんな事か。・・いや、単純に私の信念の問題だよ。

 こう見えて私は 岩石〈ウォーロック〉の血を引いていてな。

 昔、そのせいで周囲から奇異の目で見られることが多くて、その経験があるからだろう。

 相手が人間であれ何であれ、見た目だけで判断しないことを一番にしているのさ」


「・・・そうか、なんか悪いこと聞いたな。すまない。」


「かまわないさ。誰であれ無条件に親しくされたら怖いものだ。

 ロウが人間ならばなおさらだろう。」


そう言われ、ありがとう、と一言伝え立ち上がる。


「私はここで情報の整理と祭典の警備についてもう一度考え直す必要が出てきたからな。

 ここででた情報は私からソルドール様に伝えておく。

 何か分かったら連絡してくれ。頼んだぞ。」


「元からそのつもりだから安心しろ」


トールが先頭に立って扉を開ける。

ロウもその後に続いて出て行く。最後にリウが一礼して扉を閉める。


一人残されたロベルトはもたれかかり、天井を見上げ大きく息を吐く。


「・・ここに来て、チャンスが巡ってくるとはな。

 運命とは分からんものだ。」


そう呟き、顔を両手で叩き目の前の整理に取り掛かる。


 ◇◇◇ ◇◇◇


書物庫へと向かっている最に思たことを口にした。


「なぁ、ウォーロックってどんな種族なんだ?」


「・・一言で言うと、滅びかけている種族ですね。

 戦争の際に、フェアリーと同じように人間に狩られたんです。」


「あのロベルトはその数少ない生き残りだ。

 態度や性格からは分かりにくいが想像よりもかなり重い過去を背負っているとは思う」


「・・また人間か。この世界の人間はなんか悪魔みたいだな。

 命を命とも思っていないな。」


「それをお前が言うか?」


「・・それもそうだな。」


何て短い会話をしているとリウが話し出す。


「それで、ロウは事件について何か分かったんですか?」


「これから向かう場所で調べないことには判断できない。

 ただ、この事件について一つだけ言えることが出てきたな。」


「何です?」


「・・思っているより根が深いと思う。遥かにな。」


「着いたぞ」


トールが割り込んで声を発する。

見た目は普通の扉だがその扉の向こうは、


「でっか。どんだけ広いんだよ、ここ」


扉の向こうに広がっていたのは、天井が見えないほどの高さで、

横幅も壁がうっすらと見えるような感じだ。

無限に広がっているように感じられるその図書室からどうやって調べるのかが想像もつかない。


「で、何から調べるんだ?」


「とりあえず、戦争のとき人間が使っていた兵器から見ていきたい。

 ・・けど、どうやって探すんだ?この中から。」


「ちょっと待ってくださいね」


リウはそういうと扉の近くにあったチェスのポーンのようなオブジェクトに近寄っていく。

そのオブジェクトに触れて光りだしたら言葉を話した。


「大戦時 人間使用 兵器」


そう言葉を話すと、オブジェクトが形を変えて人型に変形した。


「!」


その光景に驚いているのはロウだけで二人は見慣れているようで、

全く反応を示さない。

そのオブジェが動き出すと、リウとトールは近くの席に座りだした。


「・・おい、行かなくていいのか?」


「何故行く必要がある?」


「いや、だって・・」


「大丈夫ですよ。ここは見たい本のキーワードを伝えると勝手に持ってきてくれるんです。」


「・・そんなことまでエアとやらでできるのか。」


どうやらこれもエアの応用らしく、これだけの書物の管理は手では不可能らしい。


この世界においてロウの想像を、

普段よりかなり飛躍して考えないとついていけないことをここで再確認することになった。


二人が座った椅子の近くにロウも腰かける。

それから数分後のことだった。


「・・また、えらく持ってきたな。」


「まぁ、数百年続いたそうですから。こんな量になるのは仕方無いですね。

 ・・・ところで、ロウはこの本をどうやって読むつもりですか?」


「すまん、教えてくれ。なるべく覚えるから。」


「・・これから覚えるのか?」


横から持ってこられた本を整理しているトールが話してくる。


「仕方ないだろ。分かんないんだから。

 いちいち聞きながらじゃ本なんか読めないしさ。」


「分かりましたよ。それじゃぁ練習用の本で勉強してから資料の方に入りましょう」


「ここにある本じゃだめなのか?」


「この本はあくまで、軍人が読む前提なので文字の配列が少し違うんですよ。

 基礎だけでも覚えた方がこれからに役立ちますから」


そういってオブジェクトに追加で勉強用の本まで持ってこさせ、

しばらくその本で勉強することになった。


 ◇◇◇ ◇◇◇


勉強が始まってかなりの時間が経過した。

この世界の字がもといた世界の字と似ているところがあった為、

読めるようになるにはわりと早かった。


夜ももう遅いのか、隣ではリウがスゥスゥと寝息を立てている。

目の前ではトールもあくびを噛み殺しながらロウに付き合っている。


「・・寝たいなら寝て良いんだぞ?」


「そんなわけにはいかない。私が寝ている間に逃げられたら問題だからな。」


そうはいうものの、大きな欠伸を目の前でされていては

いまいち説得力に欠ける。


読み方の分からない文字を聞くついでに、

二人に対して思っていた疑問を口にした。


「・・で、二人はあの王様に何言われたんだ?」


「・・何とは?」


「とぼけるなよ。・・・そう考えた要因の一つはお前の態度だ。

急に変わりすぎ。」


ジト目で見つめる。トールはぐっ、と喉がうなってるのが分かる。


「それだけなら気のせいで良かったんだが、

 リウが言ったさっきの言葉だ。」


「さっきの言葉?」


「無意識だろうが、普通なら絶対言わない言葉だ。

 こいつ、『これからに役立つ』って言ってたろ。

 死刑を宣告してる側の奴が、死刑を宣告されてる奴に未来のことについて

 ふつうは言わないからな。これは俺が無罪で生き延びること前提で話してることになる。」


ロウがつなぐ言葉にトールは言葉を挟めない。


「だとしたら結論は一つだ。

 あの国王から言われた言葉で、俺が無罪であると考えた。

 もしくはそれに似たことを考えたんじゃないのか?」


「・・・それは。」


次の言葉が出てこない。


「隠すならもっと頑張れよ。・・で、何言われた?」


「・・・・・。」


ロウの言葉が図星過ぎてトールは次の言葉が出てこない。


「そこは守るのか。・・まぁ、予想はついてるけどな。」


「なんだと?」


ロウの意外な言葉にトールは立ち上がる。

ロウは周りに誰もいないことを確認して口を開く。


「・・この城の中に裏切り者がいるんだろ?」


「!?」


「少し考えればわかることだ。

 この連続殺人がまず一つ。目撃者がいなさすぎること。

 二つ目はお前らの態度だ。分かりやすすぎる。

 三つ目はさっきのロベルトたちのいた部屋でのことだ。

 俺が牢屋から出る許可が不自然に下りなかったこと、

 さらには今回の事件の裁判では異常尽くしだったって言うじゃないか。」


「・・・・・。」


「結論から言ってこの謎について納得のいく理由をつけるなら、

 この城の中に裏切り者がいるってのがしっくりくる。」


トールはロウをにらめつけたままで動かない。


「・・何か言えよ。間違ってたらスゲー恥ずかしいだろ。」


視線を本からトールに変える。


「・・お前、何者だ?」


「ただの人間だよ。お前も知ってるだろ?」


トールは深呼吸しながら椅子に座りなおす。


「・・・さっき言った要因について詳しく聞かせろ」


「・・まぁ、いいだろう。

 二つ目と三つめはその通りだから省くが問題は無いな?」


手にした本を閉じながらトールに質問する。

ロウの質問に対しトールは頷いて返す。


「連続殺人の目撃者の件だ。正直、これは異常だ。

 行われた場所と時間、それから回数と目撃者の数が合わなすぎる。

 最悪場所と時間は仕方ないと考えてもだ。

 十三回もあんな大胆に殺しをしてたらふつうは何かしらバレるはずだ。」


「けれど、それがお前の時を除いて一度もない。」


「そうだ。ロベルトたちも馬鹿じゃない。

警備の数を増やすとか特別な能力使うとかしたはずだ。

 にもかかわらず、何一つとして上がっていない。なぜか?」


「・・・兵士の動きを観察していた仲間がいた?」


「あぁ。もし仮に外部の奴ら。つまり兵士たちと敵対する奴らが監視してたら

 見回りをしている兵士に見つかる可能性が増えちまう。」


「じゃぁ、」


「兵士たちの動きを監視しても疑われない。かつ、夜に歩いていてもおかしくない者。」


「まさか・・・」


ロウが話す予想にトールの顔は青ざめる


「そうだ。多分、この事件の本当の犯人はこの城の中にいる兵士。もしくはそれに近い奴だ。」


告げられた予想に反論しようとするも反論する言葉が全く出てこない。

それどころか妙に納得している自分がいることに、トールは遅れながら気が付いたのだ。


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