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全てが新しい異世界にて -fast life-  作者: 鰹節
第二章 英雄大国 ストロガノン
25/132

捜査開始


「本気で言ってるのか?」


「あぁ、全く読めん」


ここにきて衝撃の事実が明らかになり、

予想外の展開にその場にいた全員が次の言葉をつなげないでいる。


「ロウは字が読めたんじゃなかったんですか?」


「朝市に行ったとき書いてある文字がいまいち読めなかったんだ。

 はっきり見たわけじゃなかったからそのせいだろうと思ったんだが・・・。

 ・・・これなんて書いてある?」


話しかけてきたリウに書かれている文字を読んでもらう。


「えーっと、これは5人目に関する話みたいですね」


「コレ5人目の資料なのか。じゃぁ一人目は・・」


近くにあった紙をあさりだし、それっぽいものを調べていると

ロベルトが話し出す。


「・・そこにあるのは祭典関連の資料だから調べたところで意味は無いぞ」


「えっ、違うの?」


「・・・・。分かった。少し待ってろ、ここを整理したら話してやるから」


そう言って紙を片っ端からまとめ始め、近くにあった握りこぶし一つ分くらいの石を持ってきた。


「・・刻印石か?」


「そうだ。ここにこれまでの事件の映像が刻まれている。

 ここに映った映像を見ながら説明するからちゃんと見ておけ。」


「・・・すまん。迷惑かける」


「今に始まったことじゃないさ。始めるぞ」


ロベルトが手を触れると輝きだし、刻印石に映像が映される。


 ◇◇◇ ◇◇◇


映される映像にトール、リウが近づいてきてのぞき込んでくる。


「これが最初の被害者だ」


そう言って順番に映される。


一人目は背中をバッサリと切られている。

二人目、三人目は前から縦に頭からまた下にかけて、

四人目は首が切り落とされている。

五人目からその状況が変わりだした。


五人目は体を三つに均等に切り分けられていた。


六人目、七人目、八人目は首、腕、足とそれぞれで切り落とされ、

パズルのように適当に組まれて座っていた。


本来頭があるはずの場所に足が刺さっている光景はかなり凄惨なものだった。


九人目は体を均等にスライスされている。

きおつけの状態で横になっているその人は傍から見たら寝転がっているようにしか見えないだろう。


十人目、十一人目はバラバラだ。文字通り体を十数個に切られてそれが円形に並べられている。


後ろで見ていたトールは息を、リウはエヅク声が聞こえる。


「・・かなりエグイな。想像以上だ。」


「・・・あと三つこんなのが続くんだ。」


「三つ! ・・ってことはあの後また?」


ロウの質問にロベルトは苦悶の表情で頷く。


「長引かせるものじゃない。さぁ続きを、」


再び刻印石に光が灯る。


十二人目は今までとは違い、右肩から左わき腹にかけて二つに切り分けられている。

十三人目は首を落とされる傷と、背中を ✖ のように切られているだけだった。


「何だこれ? 今までと全然違うじゃないか。」


「そうなんだ。ロウとの一件があってから状況ががらりと変わってな。

 最後の死体に関してはよく分からない落書きもされている」


「落書き?」


その疑問に答えるように刻印石が光りだす。


十四人目は胴体、腕が切り分けられて大きな木に打ち付けられている。


「・・・これは・・」


それを見たロウは口に手をあて、聞くべき言葉を探している。


「またこれは、ひどいな。」


リウは離れたところにある椅子に腰かけている。

どうやらトールが連れて行ったようだ。


「そうなんだ。これを最後に死者は出てきていない。

 この死体の上に書かれている落書きがヒントだとは思うんだが、

 全く分からないんだ。・・ロウは何か分かったのか?」


「・・・聞きたいことがある。」


「 なんだ?」


「・・本来ならば最初に聞くべき質問だった。

 今、この世界に人間はいるのか?」


ロウの言葉にロベルトは、


「いや、いない。あの戦争で全滅が確認されている。

 世界が一つになって人間たちを一か所に集め、そこを極大の魔法で焼き払ったんだ。

 そのあとの調査で生き残りはいないことが結論付けられている。」


「もう一つだけ。ここに書かれてるのはあんたらからして何に見える?」


ロウが聞いてくる意味がいまいち理解できない。

トールとロベルトは顔を見合わせて言葉を発する。


「ただの落書きにしか見えないが・・・。それが?」


「・・・犯人は俺と同じように遺跡から出てきた人間だ」


「「「!?」」」


「そら、今そこの人間が認めやがったぞ!」


「違う! 俺じゃない!」


「今自分で人間だって言っただろうが!」


吠えながら詰め寄ってくるグリムをロベルトは片手で制す。


「・・説明はしてくれるんだろうな?」


「もちろんだ。決定的な要因としてはこの落書きだよ。」


「これが?」


「そうだ。お前たちからしたらこれは落書きだろうが、

 俺からしたらこれは文字なんだ。」


告げられた言葉にロベルトは目を見開く。


「何て書いてあるんだ?」


「『コンドコソ カナラズ ウマレカワル スベテノモノガ』って書いてある。

 何か心あたりはあるか?」


そう言って顔を上げるとロベルトの顔が青くなっている。

振り返ったところにいるトールの顔もあまりよくはない。


「・・どうした?」


「ロウ、ホントにそう書いてあるのか?」


「間違いないよ。確かにそう書いてある。

 生まれ変わるって何がだ?」


そう話を続けようとしたところでロベルトがグリムに声を発する。


「グリム! 急いでソルドール様を呼んで来い!」


事はそれほどなのかグリムは何も言わずに扉を出て行った。

ロウはその場の空気がいまいち分からない。


「おい! 説明してくれ、どうした?」


「この場所で生まれ変わるという言葉とこの残忍性はあいつらしかいない。」


「あいつら?」


「〈サルワートル〉という信仰団体だ」


「・・何それ?」


告げられた言葉の意味が分からない。


「こいつらは、世界で指名手配しているやつらで、素性やその規模も分からないんだ。

 奴らに共通しているのは『生まれ変わる』という言葉を使いながら

 殺しまわっているということだけだ。」


「・・そんな奴らがいるのになぜ俺が犯人だと?」


「理由はいくつかあったが、一番はロウが犯人と接触したことだ。

 これまで、全く姿を見せていなかった犯人がいきなり姿を現したなんてうますぎるからな」


「否定はできないが、それだけでか?」


「理由はみんなそんな感じだ。

 それで、人間が戦争の時に使った兵器を使って殺しまわってるという結論に辿りついたんだ。」


「・・・・。」


ロウは口を閉ざして思考に没する。

ロベルトも椅子に座りなおしてロウに向かい合う。


「しかし、今回の件はなんだか変なことが多くてな

 ロウの裁判の時、帝将の奴らが出てきてな。

 そいつらが一つづつ証拠を上げて行ったんだ。どうすることもできなったさ。」


「そうなのか!こいつを牢から出すときもやたら断られて大変だったんだ。

 クロエ様が来られなければこいつはまだ牢屋にいただろう」


「まじで? 俺あいつのおかげで出られたの?」


予想外のことにロウは少しショックを受けていると

ロベルトが話しかけてきた。


「他に何か分かることはあるか?」


「・・そうだな、ロベルトの言う通り最初は殺すことが目的だったようだ。

 趣味も混ざっているがそれが目的ではないみたいだ。悪かったな。」


「いや、かまわないさ。ロウのいった通り趣味については我々でも盲点だったのだから。

 ・・・だが、そうなると分からないのは目的だな。」


「何故、ここまでする必要があるのか、ということだな。

 祭典が近いんだからそのあたりで何か企んでいるのだろうとは思うが・・・

 その〈サルワートル〉とかいう団体について教えてくれないか?」


ソファーに深く座りなおし、ロウに向き直る。


「我々でも深く知っているわけじゃないから、教えられることは少ないが・・・」


「それでも良いよ。教えてくれ。」


「・・こいつらの存在を知ることになったのが戦争終了間際だ。

 あるひとつの地区で一人の獣人が暴れているとの連絡を受けて駆け付けたら、

『この世界は死んで生まれ変わるべきなのだ』と叫びながら周囲の同族や

 吸血種〈ヴァンパイア〉たちを手当たり次第に殺していたんだ。

 そいつを捕まえたら『サルワートル万歳』なんて言って死んでしまってな。」


「・・・なんて奴らだ。」


「全くだ。でだ、そこからなんだ。世界の各地でその名を叫びながら周りの奴を

 殺しまくる異常者が出てきたのが。事態を重く見たクロエ様は世界にそいつらを

 特級指名手配犯として声を発したんだが、そいつらにつながることは一切出てこなかったんだ。」


ロベルトの説明を聞いてロウは考える。


「なぁ、叫びながら殺している奴ってのは人間じゃないんだよな?」


「そうだな、いろんな種族がおこなっているからこそ、

 実態がつかめていないというのもあるんだ」


「・・そうか。話は変わるが、俺が今回の犯人として捕まった要因に

 戦争の時に使われた兵器が何とか言ってたがそれは一体なんだ?」


「あぁ、それは他者を操る兵器だよ。」


「操る兵器?」


何でもありなのか、なんて心の中で叫ぶ。


「そう、これについて詳しいことは分かってはいない。

 確かにそういった物の存在は確認されているが、見たことは一度もない。

 人間が作った兵器はどれも常軌を逸するものばかりでな、

 戦争終了の際に全て焼き払ったんだ。」


「・・・そうなのか。」


教えられたパズルのピースは間違ってはいなと思う。

けどまだ足りない。あと少しというところでピースがかみ合わないのだ。

そのもどかしさに苦悶していると、扉が叩かれた。


「入れ」


ロベルトが声をかけると扉が開き入ってきたのは一人の兵士だった。

手には何か紙のようなものを持っている。


「これを届けに参りました」


「ご苦労、下がっていいぞ」


一礼して兵士が扉から消える。

ロベルトはその紙を開いてため息を漏らす。


「もしかして、また来たのか?」


「・・あぁ」


ロベルトの微妙な表情を見てトールが質問する。


「何が書いてあるんだ?」


おもむろにロベルトはその紙をロウに見せるが、


「全く分からん」


「そうだったな、読めないんだったな」


ハハハ、と薄い笑い声を発したかと思うとロウの斜め上の内容が告げられた。


「『王女を殺す』と書いてある」

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