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全てが新しい異世界にて -fast life-  作者: 鰹節
第二章 英雄大国 ストロガノン
22/132

リーリア・レヴィという女性


_________。


___________。


またこの記憶。


_________。


スラムを出た後の記憶。

忘れるはずの無いあの男の顔


_____________。


ぼやけてもなお、ハッキリと分かるその顔を・・・・



「・・・危ないじゃないか」


目が覚めるとそこにはロウの拳を受け止めるクロエがいた。


「寝相が悪そうだと思ったが、これは予想以上だな」


相変わらずのイラつく笑顔を向けてくる。

その笑顔に対して露骨に嫌そうな顔を見せる。


「ははっ、相変わらずだね。元気そうで何よりだ。」


「こんな時間に何しに来た?」


周りはまだ暗い。マリアが去ったあと、眠りについてまだそんなに経っていない。


「そう邪険にするなよ。ほんとに様子を見に来ただけなんだから。」


「嘘つけ」


「即答か。まぁ、その信用しない精神は褒めるけどね。

 ・・実を言うとね、ロウにお願いがあってきたんだ。」


さらにいやそうな表情を作って言葉に出さず否定の態度をとる。が、


「お願いってのはね、今回の件の捜査をお願いしたくてね。」


かまわずに話しかけてくる。


「捜査?」


「そう、君が巻き込まれた今回の一件についてだよ」


「嫌だね。俺が関わる義理は無い。」


そういって再び布団にもぐる。


「そういうと思ってたよ。けどね、これは変えられない。

 ロウが自分で調べないと、死ぬ羽目になるよ?」


「はぁ? それはどうゆう・・・」


慌てて布団から起き上がるがそこには誰もいない。


「・・・あいつ、意味深なこと言って消えやがって。

何だってんだ、いったい」


そのまま待っても一向に何も起きない。

結果、ロウは諦めてもう一度眠ることにした。


  ◇◇◇ ◇◇◇


暗闇の中で男は慌てている。


「・・・・・無い・・・・ナい・・・無い」


自分の体のどこを探しても見つからない。

落としてないかと探しにも行ったが見つからない。


「・・すまない、ククリ。俺が、もっと強ければ・・・

 こんなことには。・・・・・・・・うるさい!

 うるさい!うるうるうさい!さい!うるうるうるうる!

 うるうううるうるうるうるうるううさああああああ!」


暗闇の中で男は苦しむ。誰に知られることもなく。


  ◇◇◇ ◇◇◇


マリアがきた次の日はもちろんだが、誰も来なかった。

静かな時間を過ごし、頭をよぎるのはあの飛行艇の中での記憶だ。

思い返す度にロウを悩ませる。

今までの忙しさに助けられていたことを改めて思わされた。


そんな日の夜に、客は訪れた。


コンコン、と扉をノックする音が聞こえる。


「・・空いてるぞ」


そう声を発すると扉が勢いよく開き、


「ロウさああぁああん!無事ですか!」


「うわ!」


突然の大声に驚く。


「リーリア!どうした、こんな時間に!」


「こんな時間しかないんですよ!日中は兵士の方々がおられない間に掃除など終わらせなければいけないんです!」


半分泣きながら声を上げて詰め寄ってくる。

その勢いに負け、頬を搔きながら申し訳なさそうな表情を作る。


「あー、すまん。で、一人できたのか?」


「いえ、それは・・・」


そう言って振り返ると、扉の所にいい思い出の無い人物がそこにいた。


「・・トール・・だったか?」


「・・ちっ」


「もー、、そんな態度とらないの。

 お久しぶりです、ロウさん。体の調子はどうですか?」


舌打ちするトールの隣からひょっこりと猫耳少女が現れる。

相変わらずの白い隊服を着ている。


「リウ、だったな。体はもう大丈夫だ。」


「ホントですか!噓じゃないですよね!

 そんなこと言ってほんとは体中が痛いとかないですか!」


ぐいぐい来るリーリアの顔を押し返し、近くの椅子に座らせる。


「来なくたって、明後日には会えるだろ。

 マリアからそう聞いてないか?」


「・・ですけど、」


「ロウさん。あんまり女の子にそうゆう風に

言うものじゃないですよ」


そう言いながら、ロウのベットに近付いてくる。


「・・どっかで聞いたことあるセリフだな、それ」


「?」


そう返す言葉にリウは首をかしげる。


「しかし、珍しい組み合わせだな、マリアに頼まれたのか?」


「はい。借りがありまして、その代わりにってことです。

 私としては、非常にありがたい申し出なので、

 こうして誠心誠意込めて護衛をさせてもらってます。」


「・・・あぁ、そう」


リウのとてもうれしそうな顔を初めて見た気がするし、

気のせいか、リウの頭の上から光が差しているようにも感じる。


不意に、静かになったほうのリーリアを見ると、


「・・おい、大丈夫か?」


大粒の涙をこぼして泣ていた。

慣れないその光景にロウは狼狽える。


「・・えっと、その・・・」


近くに何か拭くものが無いかと探すが何も見当たらない。

当然ながら、持ち物など持ってはいないのでそんなものなどあるわけがない。

その様子を見ていたリウがため息をつきポケットからハンカチを出して、

リーリアの涙を拭いてあげていた。


「しっかりしてくださいよ。そんなんじゃ女の子にモテませんよ」


「・・余計なお世話だ」


言い返すもその通りなので、いまいち力がこもらない。

よし、と拭き終わったのか

ハンカチをリーリアに渡して立ち上がる。

その様子を見てロウも話しかける。


「えっと、大丈夫か?どうしたんだ、急に。」


「・・んです。」


「ん?」


「・・怖かったんです。

 ・・・また目の前から消えてしまうんじゃないかって。」


「う゛。」


その言葉がロウに刺さる。

近くにいたはずのリウはトールと共に扉を出たところだった。


「・・・・ロウさんは、マリアさんから聞いたんですよね。

 私たちがどうやってマリアさんと出会ったのか。」


「・・・あぁ、聞いた。リーリアたちが話してくれたことが、

 どれだけ大事なことなのかも、その時理解したよ。」


「・・本当に怖かったんです。

・・今でもあの幼かったころの光景を夢に見ます。

友達、お母さんやお父さんが私を庇って消えていくあの光景が、消えてくれないんです。」


手を強く握り、顔を俯ける。落ちる涙は手に当たり、伝い落ちていく。

その言葉を聞いてロウはリーリアという女性のことを理解する。


「だから、それが消えてくれるように一生懸命に今を楽しもうとしてるんです!

 それなのに、それなのに・・・・。

 あの光が、あの匂いが、あの音が、私をあの時間に引き戻すんです。」


「・・・・・。」


「最初、ロウさんに会ったときは内心怖くて倒れそうでした。

 けれど、ロウさんも一人であの牢屋か出てきたばかりで

つらいだろうと、一人でいる寂しさが分かるから。

その思いだけで接してきました。」


「・・・・・。」


「・・・ですけど、その恐怖心もいつの間にか消えていて。

それとおんなじ時に、昔の夢を見ることが無くなりました。

 それがどれだけうれしかったか。」


話す顔は明るくなる。しかし、それは一瞬のことで、


「・・・ですが、こうして襲われて怪我をしたということを聞いたとき、頭をよぎったのはあの光景でした。

それが・・・それがどれだけ!」


声が大きくなる直前に、ロウはリーリアの頭に手を乗せる。

泣きはらした瞳に見つめられてロウは、


「・・ごめん。それと、ありがとう」


そういって、優しく頭をなでる。


「・・ふっ、ぐぅぅ、ううぅ、ああああああああああ!」


ロウのベットに頭を突っ伏して泣き崩れる。


リーリアも苦しんでいたのだ、自らの過去に潰されないように。

必死に自分を励ましながら、仲間が倒れないようにと手を差し伸べて。

互いが互いを支えあうようにしてギリギリの状態で立っていたのだ。


(・・・俺もいつの間にかその中に入ってたのか)


仲間に不安にさせないようにとため込んできた思いがあふれ出る。


しばらくロウのベットで泣き続けた。


 ◇◇◇ ◇◇◇


「・・・落ち着いたか?」


リーリアの泣き声が収まったあたりで声をかける。


「・・・はい。ずみませんでした」


鼻をすすりながら、真っ赤な目でロウに謝る。


「いや、謝ることは無いよ。むしろ謝るなら俺の方だ。

 心配かけたことと、リーリアのこと何も知らなかったから」


「いえ、そんな事無いですよ」


そう言いながら顔を背ける。


「言ってることとやってることが違うんだが・・・」


「ほ、ホントに大丈夫ですかりゃ!」


明らかにおかしい様子を心配がるロウを横目にリーリアは、

(ど、どうしよう・・・。恥ずかしくて顔が見れない!)

あわわわ、と一人で慌てふためいている。

互いに別々の理由で相手をうかがい、沈黙が訪れる。

気まずい雰囲気の中、その静寂を破ったのは扉を開ける音だった。


「終わりました?」


そういって扉を開けたリウの声に機敏に反応を示したのはリーリアだった。


「ひゃい!大丈夫です!終わりました!帰りましょう!」


「・・あっ、え?」


「ロウさんの無事も確認できましたし、これで大丈夫ですね!はい、大丈夫です!」


自分で質問して自分で答えるという

新しいスタイルを確立した瞬間だった。

明らかにテンションがおかしいリーリアを見て、


「・・・ロウさん、やり過ぎじゃないですか?」


「・・いや、特に何も」


困った顔を互いに向けあい、首をかしげる。


「さぁ!行きましょう!」


そういって一人でそそくさと歩いて行ってしまった。

トールはその後に続き、リウも慌てて後を追う。


「それじゃぁ失礼しますね」


嵐のように現れて去っていった。

この部屋にはロウしかいない。先ほどまでの騒音が無くなると

一気に静かになる。


「何だってんだ、いったい」


そう呟いて横になり目をつむり、

胸のなかでざわめいている不安から

目をそらすように夢に落ちる。


  ◇◇◇ ◇◇◇


「では、そうゆうことで良いですね?」


「・・・納得できないけど仕方ないネ。

 その言葉に反論できないシ。」


「・・・・・。」


「かまわん。」


「私はそれで良いわよ。」


「では明日。通り魔の容疑者として、

 人間 ロウ・ガーウェンを捕らえるということで。

 詳細は追って連絡するので、

 ネルの部下には人間の監視を引き続き続けるように伝えてくれ」


「・・・・」


「返事が聞こえないが?」


「わーったよ。二人にはそう伝えとく。」


「では、これにて終了します」


神将の会議が終わった。


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