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全てが新しい異世界にて -fast life-  作者: 鰹節
第二章 英雄大国 ストロガノン
14/132

結果


薄暗い通路を指示された通りに歩いていく。

階段を上り、見た事ない扉まで案内される。


「こん中に王様がいるってのか?

何だって俺なんかに会おうとするんだ?」


「知らぬ!とっとと入れ!」


全身を鎧で着込んでいる兵士に命じられるがままに

扉の中に入っていく。


「・・初めまして、でいいかな?」


椅子の上に座った王が微笑みながら話しかけてくる。


「まぁ、そうですね。・・こうして話すのは初めてですね。」


「...いきなり呼出されて驚いてるだろうが安心していい。

特権を使用してお前を出せと言われたからな。約束は守るさ」


「·····。」


その王様の言葉に訝し気な表情で答える。


「君には聞きたいことがあってね。まずは・・・・・」


  ◇◇◇ ◇◇◇


ロウは石の上に横になっていた。

フェザーがここを出て行ってからかなりの時間が過ぎたように感じる。

ここでの会話はロウにとってかなり有益なものだった。

全く知らなかったこの世界のことを知ることができたのは大きいことで、

人間に関わろうとする協力者がいない状態で知ることはできなかった内容だっただろう。

だからこそ、フェザーの様子が気になってしょうがない。

何度目か分からない寝返りを打った時、扉は開かれた。


「・・・出ろ」


声のするほうに振り向く。

その場所には何度も会ったあの女が相変わらずの表情で立っていた。


「・・・・・・。」


何か言葉を発しようとしたが、まとう雰囲気に押され何も言うことができなかった。

大人しく指示に従い立ち上がる。鎖が外され、扉を出て歩き出す。


薄暗い通路を歩き、豪華な扉の前に辿りつく。

開かれた扉の先にいたのは、あの裁判の場所で出会ったあの男がいた。


「・・・・。」


不機嫌な表情をわざとさらしながら近づいていく。

王の前までたどり着いたところで扉が閉まる。


「・・・見るからに不機嫌そうな顔だな、お前。

 もうちょっと隠すとかしたらどうなんだ?」


「断る」


即答だった。潔いまでのその態度に王は笑う。


「あはははははっ!そこまで行くと気分が良くなるね!

 まったく、お前は見ていて飽きないな。」


「・・・で?今さら何の用だ。終わった後、また牢屋に入れてくれた王様が」


「くっくっく・・。そう怒るなよ、裁判が終わってからすぐに出せるわけじゃない。

 こちらもいろいろ準備があったんだ。お前は、少々特殊だからな。」


「・・・・。」


ロウは露骨に嫌そうな顔を見せて話を先に促す。


「分かったって。そんな顔すんなよ。まずは、勝利おめでとう。

 見事にこの監獄から出ていくことに成功したわけだ。

 特権をまさかあんな使い方するなんて思わなかったけれど、人それぞれだからね」


特権、というその言葉を聞いて思い出す。


「・・・フェザーは?どうした?」


背もたれに寄りかかりながら答えを告げる。


「安心しなよ。彼は無事にここを出て行ったさ。

 特権だからね、約束は守るよ。信じるかどうかは任せるけどさ。」


こいつの言葉は全く信用できない。さっきの経験がもの語っている。

が、ある程度きりをつけなければ話が先に進まないのでここはこらえる。


「・・・・そうか。で、俺はどうなるんだ?」


「安心しなよ、お前もここから出て行ってもいい。とは、言えないね」


「・・・やっぱりか」


正直考えなかったことじゃない。フェザーから話を聞いたとき、

ロウがここから無事に出て行くことはかなり難しいんじゃないかと予想していた。

フェザーの話によれば阿保みたいな長い年月戦争していた人間を、

あんな簡単に外に出そうとは考えるハズがないのだ。故に、


「俺は一生牢獄暮らしか?」


その結論に至るのは当然だった。あそこで勝利を収めたため、死刑は免れたと考えた結果だ。

だがもし、あの裁判があまり意味のないものの場合死刑のリスクはまだ乗っていることになる。

そのどちらかを告げられるものだと身構えるつ。が、


「・・・牢獄で暮らしたいのか?」


「なに?」


告げられた言葉は予想外のものだった。


「確かに、その案は出ていたさ。人間を外に出すなんてあり得ないってね。

 けれど、お前があの場所で勝利したのも、彼を助けたのも事実だ。

 そこが響いたのか、全員が一応は納得してくれた。」


「・・・・。」


伝えられる言葉にロウは何も言えない。


「だから、安心しなよ。お前は無事外に出られる。」


「じゃぁ、」


「けれどね、話はまだ続くんだ。」


聞きたいことを聞こうとするが、さえぎられる。


「悪いんだけれど、お前は人間だ。ここから出して、さよならって訳にはいかない」


「・・・どうするんだ?」


「簡単だよ。お前、ロウ・ガーウェンを我々の監視下に置かせてもらう。」


「監視下だと?」


告げられた言葉を聞き返す、全身に冷汗を流しながら。


「そう身構えるなって。何も、閉じ込めようとかじゃない。

 要は、我々の目が届く範囲にいてもらうだけさ。」


「・・目が、届く範囲・・・。」


「そう、詳しいことは彼女が説明してくれる。

 ・・・入ってこい」



声のトーンが変わる。今までのこいつとは別人の印象を受けた。

ロウが入ってきた扉とは別の扉で、

王に向かって左側にある扉から、はっ、と返事が聞こえて扉が開く。

そこにいたのは、何度もロウを迎えに来たあの女がいたのだ。

扉が開くと、真っ直ぐに入ってきてロウの隣で立ち止まり王の方へと向き直る。


「トール・シンヴェール、ただいま到着しました。」


「ご苦労。今聞いたと思うが彼女、

トール・シンヴェールが今からお前の監視者だ」


その言葉を告げられて、女...トールの方を一瞥した後、再び王の方に向き直る。


「本気か?」


「ふざけてると思うか?」


トールの方に視線を向ける。

(何でこいつなんだ?他にも誰かいるだろう)

と内心でつぶやくが、


「クロエ様、一つ確認したいことがあるのですが」


「何だ?」


「なぜ、私なのですか?他に誰かおりますでしょう。」


「・・・不満か?」


座っている王...クロエの鋭い視線がトールを貫く。


「いえ、不満というより私はこの人間を殺さない自信が無いのです」


恐れずに言葉を返してくるトールに、

クロエはその言葉を聞いて静かに目をつむり、返答する。


「ならば、堪えればいいだけだろう。話は終わりだ。出て行け、私は忙しい」


「ですが!」 


「くどいぞ!」


トールは、歯を食いしばりロウをにらんでくる。

そして、クロエの方に向き直り、一礼をする。


「・・・失礼しました」


そのあとロウに向き直り、


「・・・付いてこい」


そういって歩いて始める。

その後ろ姿を眺め、クロエの方を一瞥してトールの後についていく。


「・・・・がんばれよ」


そう呟かれた声が聞こえた気がしたが、気のせいかと結論付けて再びついていく。

扉を出た後の小さな部屋で複数の兵士に囲まれて、

何事かと思ったが、兵士たちが離れていくと手と足にはめられていた拘束具が外されていた。

(やっぱり、ついてないほうがいいな)

手錠が付いていた場所を軽くなでながら、そう思った。


「・・・これから、どこ行くの?」


「黙れ。・・・静かについて来い。説明はそれからだ」


綺麗な明るい通路を歩いていくが、流れる雰囲気にたまらず質問するも冷たく返される。

(・・・あの雰囲気の理由はこれだったか)

迎えに来た時、やたらと不機嫌そうだったのは

どうやらこの仕事を案内されたからだろう。


明らかな人選ミスじゃないかとも考えたが、

むしろこんな奴だからこそ監視者として機能するんじゃないか?

と考え方を切り替えることにした。


しばらく歩いていると、前に少し大きな扉が見える。

その扉をくぐると、外に出たようで、

熱く降り注いでくる日差し。涼しい風が肌をなでる。


(何か、すごく懐かしい感じがする)

周囲の様子を見てると不意に声が聞こえた。


「ロウ!」


振り返った先にいたのは、


「フェザー!無事だッ・・・」


「お前も無事出れたんだなぁ~!よかったぞ」


そう言って抱き着いてくる。ロウのことを考えてくれることはうれしいのだが、


「痛たただだだ!力!...力が、おかしいって!痛い痛い痛い!」


ギリギリと締め付けてくる力が異常に強い。

このままへし折られるんじゃないかと思ったが、


「おお!すまんな、加減ができなくてよ!」


ガハハハハ!と豪快に笑い飛ばしてくる。

その元気な姿にロウは胸をなでおろす。


「ったく。・・・無事でよかった。なんでここに?

 俺よりも早く出てったのに。」


「いや、お前に礼が言いたくてな。

 ここで待ってたんだ」


そういって頭を下げる。


「ありがとう!ロウのおかげで、また家族に会いに行ける!

 この借りは必ず返すから待っててくれ!」


「・・・別にいいよ。貸したなんて思って無いから。」


「そこを何とか!頼む!頼むよ!」


ウオオオォォ!とロウより背が高いフェザーが縋ってくる。

その迫力に押し負けてロウは諦める。


「分かった!分かったから、離れろ!

 ・・・・じゃぁ、期待して待ってるから」


「おうよ!」


そういって背中を叩いてくる。


「俺はいったん家族に会いに行ってくるから、待っててくれよ!」


じゃぁな!と言って、走っていく。

叩かれた背中がヒリヒリと痛むが、嫌な痛みじゃなかった。


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