第一位 小野 不由美 「月の影 影の海」
【あらすじ】
高校生の陽子は、毎夜悪夢に悩まされていた。化け物に追われる夢。それは日に日に陽子のそばへ近づいてきていた。
ある日、突然それは現実のものとなる。教室内に謎の青年が現れ、ともにこの場を離れるよう告げる。そのすぐ後に、化け物達が陽子を追ってくる。
訳もわからず逃げ惑ううち、陽子はただ一人、見知らぬ場所にいた。中華風の国々を舞台にした、異世界ファンタジー。
「第一位は! これですよ!」
「このシリーズは読みました。面白いですよね」
「そうだよね! メディアの書評なんかでも話題になってたし、アニメ化もした話題作だからね。今更宣伝するまでもないけど、はずせないでしょ」
「これは納得の順位だと思います」
「主人公のかっこよさっていうのは、女性だからってだけじゃなくて、人間的なものだよね。あと、全体を通しての成長ぶりも含めてかっこいい」
「俺は特に幻を通して自分と対するところがすごいと思いました」
「青猿ね! やだよねーしんどすぎ! わかってても目をそらすしかないのに、そこをついてくるんだよね」
「特に上巻はきびしいんですよね」
「そうなんだよー上巻きついんだよ。もしこれから初めて読む人は、上巻でめげないで! 絶対下巻も読んで! でなきゃ後悔するから!」
「下巻はだいぶ雰囲気が変わりますよね。なんと言っても楽俊がいいです。彼の考え方は本当にすごいです」
「いいよね! ただ私は、自分が全然できた人間じゃないから、楽俊みたいな人がいても、『どうせ私とは出来が違うし!』みたいに思いそう。陽子みたいに、かっこ良く自分と向き合えないなー」
「でもそんな陽子も、最初の頃かなり違いますね。周りの人に合わせて自分を押し殺して生きてる感じで」
「ぶっちゃけ暗いよね。でも後半は、口調も違ってなんか凛々しい。男性的」
「本当はこちらが本質なんでしょうね。幼少期の描写で、ジーンズをはきたかったけど、父親に反対されたってところがありました」
「あったあった。陽子んちは親が厳しいな!」
「親に対しても、色々抑えて過ごしてきた感じがします。でも陽子は周りのせいにはしてないですよね。そこがいいです」
「思わず自分を振り返っちゃうね。でもさ、シリアスだけど、エンターテイメントだよね。下巻は笑える場面もあるし」
「そうですね。後半は明るい雰囲気が出てくるので、最後まで読んでほしいですね」
「…雰囲気って言えばさ、なんかこの本に関してはバイト君雰囲気違うよね。口調とかさ」
「そうかもしれませんね。珍しく店長と意見が合ってるので、ちょっと嬉しいんですよ」
「という感じなんだけど、どう?」
「そうですね。企画自体は悪くないんじゃないかと。でも、これ店長が選んだだけあって、女性が読む感じの本ですよね」
「だめ? バイト君あんまり興味ひかれない?」
「俺は店長の暑苦しい説明聞いてるから興味出ましたけど、店頭で見たらどうですかね。男性はあまり手に取らないかと」
「そうかなー。あ、じゃあ男性の意見も入れよう。バイト君、カッコイイ女の人が出てくるっていったら、どんな本?」
「ええ? いきなり…。そうですね…」