表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まとろい  作者: 囘囘靑
5/5

5.

 ただ、一つだけ書いておきたいことがある。

 そんな不可解な目に遭った翌週末、ズボンを洗濯し終えた私は、水が薄く赤いことに気づいた。ぎょっとしてズボンを調べてみると、ポケットから何かが転げ落ちてきた。しっかりと広げて見てみれば、それは男の保持していただろう運転免許証だった。


 男からカードを手渡されたとき、私は無意識の内にそれをズボンへと忍ばせていたらしい。自分がどうしてそんな行動をしたのかは分からないが、この運転免許証は手についた血以上に、私に怪奇の存在を思い知らせるものだった。


 そして、読者の皆様におねがいがある。期限が切れていたとはいえ、私はこの運転免許証を、警察に提出し忘れたのだ。ものぐさな私は、それを机の引き出しに入れたままにしていたのである。


 男の名字は特殊なものだった。漢字だけ見ても、読み方をずばり当てることはできないだろう。私は何度か図書館などに通い、名字便覧でその名字を調べたことがあるが、結局当該人物(あるいはその親族)の情報を得ることはできなかった。


 だから、

 だからもし纏冑まとろいという人を、

 纏冑周平という人のことを、

 このテキストを読んでいる皆様が少しでもご存知ならば、私に教えてほしい。色あせて真っ白になったその人の免許証は、未だにまだ私の机の引き出しにあるのだから。


終わりです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ