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4 夜明け
結局朝まで寝ることもできず、
温泉を出たり入ったりして過ごした。
辺りが白みだすと私は乾いた服を着て、足湯をしながら夜明けを待った。
月と入れ替わるように朝日が昇る。
私がいるところは、山の中腹のようだ。
とりあえず男達が来た南に向かう。人が来たなら、もしかしたら道があるかもしれない。
鬱蒼とした森の中で、同じところを回らないように、
太陽を左手に、木々の枝振りを見ながら進む。日当たりのよい南側の枝の方がよく茂るので、例え太陽が見えなくても方角がわかる。
子どもの頃、家族で登山に行き、父から教わった知識だった。
しばらく進むと、切り株を見かけるようになり、木々がまばらになり、種類も針葉樹から広葉樹に変わってきた。
よし!人の手が入ったエリアに来たみたいだ!