3-2
お気づきの方いるかと思いますが、3話が途中だったため、編集し、3-1とさせていただきました。読んでくださっている方には大変ご迷惑をお掛け致しました。申し訳ありません。少し付け足しましたので、お手数ですが、目を通していただけるとありがたいです。
本当に申し訳ありません(TT)
また、今度教習所へ通うことになりまして…。なので、少し更新が遅くなるかもしれません。
上流階級に属する妃菜が、なぜお金持ちが嫌いで普通科に入学にいたったのだろうか。
それは上流階級の醜い部分を身をもって感じてきたからに他ならない。姉や兄が社交の場ではいつもの心からの笑いではなく、愛想笑いを常にしていることを幼い頃から目の当たりにしてきた妃菜には上流階級は良いところではないという認識が存在した。
父や母も仕事以外に社交の場へ出掛けるために家にいないことが多く、妃菜にとっては寂しい毎日を送らなくてはならないということが更に妃菜の社交の場の印象を悪くした。
また、妃菜のことを知っている親族は妃菜のことを酷く貶めたり、嫌みを言った。妃菜は今は運動も問題なくできるほど健康だが、小さなときは体が弱く、すぐに熱を出したりと病院に泊まることも少なくなかった。そのせいで妃菜は一族にふさわしい人間ではないと言われたり、優秀な他の家族に比べてなんて不出来な娘だと、家を訪れた親族になるべく人のいない場所でけなされ続けていた。そのせいでさらに体調を崩し、精神的も傷ついてしまった。
そのため、妃菜は口数が少なくなり、笑顔を見せることが減っていった。そんな娘の変化に忙しいながらも娘を大事に思っていた両親は何があったのかと訝しんだ。そして娘の監視を強化して知ったのは、親族達の娘に対する心無い言葉の数々だった。これに怒った両親は以後、その親族達に今後一切家族に関わらないように告げ、家への立ち入りを妃菜の両親、そして兄弟3人、そしてお手伝い等の家で働く人間以外に禁止し、家の管理体制を厳しくした。
妃菜の変化を感じていたのは、両親だけではなかった。一番上の妃菜と12歳離れている兄で、当時16歳だった孝之、その妹と弟で当時13歳の双子の百合子と樹の3人は妃菜の様子がおかしいことと家の管理体制が変わり、以前よりも厳しくなったことを両親に問いただし、3人も妃菜と親族達の問題を知ったのだった。
「お父さん、そんなことがあったんですか……」
「許せないわ。妃菜をあんなに傷つけたなんて」
「そうだよ父さん。妃菜は全然笑わなくなった。あんなに小さな妃菜にしたことは許せないことだよ」
「わかっている。だから、もうあいつらには処分を下し、一族の中での集まりにも参加することはないだろう。考えなくてはならないのは、これから妃菜をどう立ち直らせていくかだ」
そう言ったのは子供たちの父親である正孝だ。
「それは僕たちが、妃菜のそばにいて上げることだよ。妃菜が前みたいに笑ってくれるまで絶対諦めるもんか」
樹がそう強く宣言し、ほかの2人の兄姉も一緒になってうなずく。
「あなたたちがそういってくれて、嬉しいわ。きっと妃菜が立ち直るにはあなたたちがそばにいることが一番だもの。私たちも妃菜に接する時間は増やすようにするけれど、それでも忙しくて、あまりそばにいられないだろうから、妃菜のことをお願いするわ」
今までずっと口を閉ざしていた英恵がそう口にした。
「でも、妃菜が元に戻っても、いずれは妃菜も社交界へ本格的に入っていかなきゃいけないだろ?でも、社交界は親族たちと同じようにひどい奴らは多いし、妃菜に対してまた心無いことを口にするんじゃないか?」
そう樹が言うと皆が口を閉ざし、難しい顔をして考え込む。
確かに樹の言う通りで、社交界での人付き合いは甘いものではなく、少しの弱さでも見せるとそこをついていじめてくる人間が大勢いた。
しばらくして、長兄の孝之がこう言った。
「……妃菜を隠すことにしてはいけないだろうか。まだ妃菜のことを知っているのは親族ばかりで、社交界では噂ぐらいにしかなってない。だから、妃菜のことはこれからは名前も明かさず、聞かれても体が弱くて家で療養してるといえばいい。幸い、4番目の子供だから妃菜に注目をする人間は少ない。お父さん、妃菜のことを守るためにも上流社会には入れないでまっすぐに育ってほしいんだ」
「………………それはいいかもしれない。英恵、お前はどう思う?」
「そうね、上流階級にいないせいで一族の人間なのに、って寂しい思いはいずれするかもしれないけれど、あの子にとってはそれが一番いいのかもしれないわね……。私も賛成するわ」
そうやって話し合った結果、妃菜が社交の場や上流階級の人と付き合わないで生活することが決定し、高校生となった今まで妃菜は大事に隠され、存在はほとんど知られていない。また、上流階級の子供が多く通う私立の小学校と中学校への入学もなくなり、近くの市立小学校と中学校を卒業し、今に至る。
家族ができるだけそばにいて、根気よく接したことで妃菜は少しずつ笑うようになり、元気にもなっていった。そして小学校入学を果たし、今の親友である沙紀と拓也と出会うなど楽しい毎日を過ごしたことで小学校入学してしばらくした頃に妃菜は以前の笑顔を取り戻し明るくなったのだった。そして、心が回復するとともに弱かった体も少しずつ強くなったのか熱を出して寝込むこともほとんどなくなり、健康状態も良くなった。
そうして平穏に育ってきた妃菜が、どうして藤成学院へ入学することになったかというと、母親である英恵と姉である百合子のお願いがあったからに他ならない。実は高校も自宅から電車で40分ほどの場所にあり、県内でも優秀な学校だと有名な公立の高校への進学を考えていた妃菜だった。しかし、進路を家族に話した時に英恵と百合子は反対した。
「そんな離れたところに毎日電車で通うなんて心配だわ。藤成学院なら近いから安心して送り出せるのに……。妃菜、電車では痴漢をされることもあるのよ?それにいくらいい高校だといっても何か問題が出てくるかもしれないし……。ママを心配させないために藤成へ通ってくれないかしら?」
「妃菜、ダメよ!私、妃菜に音楽を教えてあげられると思って楽しみにしていたんだから!妃菜が他の高校へ行ってしまうなんて耐えられないわ!!ねぇ、藤成へ来てくれないの、妃菜?」
そんなことを言う2人に負けてしまい、結局妃菜は藤成学院へ入学することになった。しかし、通うことを了承したものの、妃菜は普通科に入学することだけは譲らず普通科に所属することになった。
藤成へ通うことになり、不安に思っていたが、そのことを沙紀と拓也に言うと2人は一緒に同じ高校へ進学すると言ってくれた。もともと、沙紀と拓也は幼馴染で、そこに妃菜も仲良くなり3人組として一緒にいた。そして高校も同じ高校へ3人で通うことを約束していたため、妃菜が藤成高校への進学を話すとあっさりと2人もいいよ、と返事を返したのだった。
そして無事に3人で藤成高校の普通科へと入学した。もちろん3人の実力でだ。妃菜を溺愛している姉であっても、そこは入試問題を教えるなんて甘いことはなく、勉強を教えるときにはスパルタで、できない問題も3人ともできるまでやらされた。3人で合格するためにずっと一緒に妃菜の家で塾へも通わず、妃菜の兄と姉の樹と百合子に勉強を教わった。樹も百合子も藤成の教養科の卒業生で非常に優秀なため、塾で集団の中へ入って教わるよりもはるかに勉強は身につき、結果的に妃菜と沙紀は特待生として合格することができた。3人の中で唯一部活をやっており、勉強時間が2人に比べて少なかった拓也も特待生ではないものの合格を手にすることができ、高校でも3人でいられることになったのだ。
あと何時間かで終わってしまいますが、今日は節分ですね。
私も豆を夕食後に年の数だけ食べました。豆があまり好きではない私にとっては何十個も食べるのに躊躇しましたが(笑)
どうか私にも皆様にも福が来ますように!