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妃菜の代表のことばで多少ざわつきはしたものの、入学式も無事に終わり、教室へ向かっていた。クラスは特殊教養科と音楽科は1クラスずつで、普通科は2クラス存在する。そのため、クラス替えはなく、どのクラスも三年生まで持ち上がりとなっている。
教室は音楽科のみ学年関係なく隣同士で位置しており、他の2つの科は学年ごとに同じ階に置かれている。
妃菜は一年一組だった。その教室まで戻る際、教養科の生徒から睨まれたり、直接非難を言われるということが早速あった。
(あー、もう本当に嫌。普通科だからって何でこんなに馬鹿にされなきゃならないの。卒業までに学校を変えてやるわ)
「お疲れさま、妃菜」
そう言って近づいてきたのは小学生からの親友の沙紀と拓也だった。
「それにしても、お前も堂々と宣言したな」
そう笑いながら言ったのは拓也だ。
「だって本当にこの学校の雰囲気嫌なんだもの。庶民だからって馬鹿にしすぎよね。庶民の何がいけないの」
「だからって最初から教養科の非難を買うことないのに。早速敵を作って。明日から気を付けなさいよ。あんたのこと目の敵にしてくるだろうから」
「大丈夫。絶対負けないんだから!!」
「……そういうことを心配してるんじゃないんだけど」
「まぁ、いいじゃんか。俺たちが力になるんだからさ」
「まぁ、そうね」
そのとき鐘が鳴り、担任が入ってきたため席に着く。
「はじめまして。一年一組の担任の山本裕二だ。一年間よろしく頼む」
そう言ったのは40代前半ぐらいの男の先生で、少し顔が焼けていて強面の先生だが、笑うとえくぼが見え、優しそうな顔になる。どんな先生か不安だったが、今のところ良さそうな印象の先生だった。
そうして山本先生のHRが始まり、その日は教科書やプリント、学校の校則を説明され、クラスで簡単に自己紹介をしてHRは終了した。