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ストーカー 後編

建物の中に逃げ込んだ。


内部の様子は不気味だった。

俺が逃げ込んでいたのは、光が差し込まず、薄暗い部屋。

得たいの知れない様々な機械が置かれており、それらをつなぐコードが( ところ)(せま)しと張り巡らされている。

機械のほとんどは、コンピュータや何かしらの計測器のように見えた。

随分と大仰な施設だが、いったい何をしているんだろう。


しかし、その不気味さよりも、むしろ、明らかに人の作ったもので溢れかえっていることに安堵した。

これまでに見たものから、ここは何かしらの研究を行なっている施設ではないかと踏んでいる。

きっと、何人かの職員も務めているはず。

誰か人間に会うことさえできれば、どうにかあいつ等から匿ってもらえるかもしれない。

それか、ここが研究所であったとすれば、何らかの試薬を使ったりとかして、あいつ等を追い払うことだって出来るかもしれない。


そして、その(いず)れかの救いがあることを信じて奥の部屋へと入ったとき、俺は絶望した。


奥の部屋にあったもの。

それは巨大なビーカーとでも言えば良いのだろうか。

高さ2mほどのガラス張りの器がいくつもあった。

その中には、液体が入っており、淡く緑色に光を発している。

その液体の中には影があった。

それは、どうも人の形をしているように見えたが、あれは…。


ガラス張りの器から目を離した俺は、辺りを見渡して、凍りついた。


ガラス張りの器の中にあった影、その正体ではないかと想像していたものが、目の前に迫っていた。

雪山で俺を追っていた化物に取り囲まれていた。

恐怖で体が硬直する。

必死に、どうにか逃げ出そうとするも、後ずさりするのが精一杯だった。

壁に突き当たった。

追い込まれた場所は、部屋の角だった。

化物は目前まで詰め寄ってきており、もはや通路に逃げ込む余地もなかった。


ちくしょう、ちくしょう。畜生、怖ぇ…!


息を荒らげて、怯えて、悔しがる。

化物が襲ってきて、俺の意識は途切れた。






朦朧(もうろう)とした意識の中で、目の前には怯えきった自分の姿があった。


不可解なことに、それは、鏡に映った自分の姿ではないらしい。

どうやら、俺は何か別の体を動かして、自分自身を襲おうとしているらしい。

ふと、自分が今動かしている体に目を()る。


あぁ、この体、俺を追いかけてきていた化物のものじゃないか。


不思議と、その事実は自然に受け入れられた。

少しばかりの恐怖は感じたけれども、別にどうでも良く思えた。

それまでに感じていた、意識が飛ぶほどの恐怖のせいで、もはや感覚が麻痺していたのかもしれない。

目の前には、人間の姿をしている俺が、怯えきって後ずさりしている。


朧気(おぼろげ)な意識の中で気がついた。

今、自分自身を追い詰めている場所には見覚えがある。

いくつものガラス張りの器がある部屋。

目の前にいる人間の姿をした自分。

怯えきって、後ずさりして、部屋の角に追い込まれていく。

それは、意識を失う直前の、俺自身の姿だった。


周りには、今の自分と同じ姿をした化物がいた。

こいつらも人間の俺を襲おうとしている。


化物の体を動かし、自分自身を追い詰めながら、俺は恐怖に怯えていた。

意識がはっきりせず、何に怯えているのかがおぼつかない。

ただ一つ、どうしてもやらなくてはならないことがある。


目の前にある、人間の姿を、俺の体を、取り戻さないと。


 本作をお読みいただいてありがとうございます。


 この作品、というか夢で見た情景には、一応続きがありました。


 夢の中で、化け物になってしまった私は、元の姿をした自分を襲う。襲ったと思ったら次の場面に切り替わり、また人間として化物に襲われる。

襲われた後、また化物になって自分を襲う。

 以下繰り返し。


 無限ループって怖いね!


 友人の一人には、「このあとの展開でループしそうだ」みたいな感じで見事言い当てられてしまいましたw いやはや、感服いたしました。その友人は、私には無い才能をいくつも持っているので、とても勉強になっております。この場を借りて感謝!


 それでは最後に、拙い内容ではありますが、本作品の情景をもう少し詳しく掲載しておきます。(制作時のメモ書きを、ほぼそのまま引用しました。本文と重複する内容もあるかと思いますが、どうぞご了承ください。)


概要/メモ

・確か自分のクローンに襲われるような世界だった気がする

・容姿は爛れて化物にしか見えないそれは、最初は自分のクローンだとは知らないまま襲ってきていたように感じた

・雪山で追われて、かなり手ひどく、精神的にも追い立てられた気がする

・その後、研究所のような施設に場面が変わる

・内部には、例の化物を培養していると見られる容器が散在していた

・研究所の中で致命的な追い詰められ方をしたと思う

・おそらく、そこで殺されるか、それに準じる状況になった


・その後、自分の意識が曖昧になっていき、自分だと思っていた意識が例の化物(クローン)と同一化していた?

・意識がクローンの中にあるとき、本能に従うように何者かを追っていたように思う

・追っていた相手は俺自身だった気がする


・俺は追われて、襲われた結果クローンのようなものにされて、

何故か残っている俺の本体?を追い求める。


・俺は襲われることに恐怖して、クローンに成り果てさせられ、それにまた恐怖する


・同一の意識の中で人間として襲われ、クローンとして襲い、記憶を保持したまま自分を襲うこと、自分の体が化物のようになっていくこと、いろいろなことに恐怖を覚える


 記憶が積み重なっていく

 恐怖が積もり積もっていく

そんな感じの夢だった気がする


「な… 何を言っているのか わからねーと思うが 

おれも 何をされたのか わからなかった…」


あ…ありのまま 夢の中で 起こった事を話したぜ!



なんだかまとまっていない気もしますが、以上が概要にございます。

何というか、いつか夢分析とか受けてみたくなりましたё


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