第26話
とりあえず、全部の能力の詳細を見てみた。
っていうか発火能力だけど、あれはダリオの魔法の能力版らしい。(能力詳細に書いてあった)
超新星に迫る温度の炎を出せるとか、やり過ぎだろ。
星を破壊させる気かよ。
「で、決まったの?」
イオがさっき言ってた装置片手に聞いてくる。
「ああ、決まったぜ。流石の俺も、どっちにしようか迷ったけどな」
「ふ~ん、二択で迷ってたんだ。で? 何にするの?」
ふふん、何にするかだって?
そりゃあお前、男なら当然アレにするべきだろ。
あ、でもコイツ何か言うだろうなぁ
そうだ、コイツは紙の裏面をちゃんと見てないから、記号で言えば…
よし、それでいこう。
「当然Bのに「蹴られたい?」何故だ!?」
どうしてバレた透視能力!?
「わたし、あなたの、こころ、読めるんですけど」
忘れてたぁあああ!
「っていうかキミねぇ、部長だって(多分)冗談で書いたような能力を本気で手に入れようとしてどうするの?この生きるか死ぬかの世界で。バカなの?死ぬの?」
うぅ、イオが虫けらを見る様な目で俺を…
「だああってさぁああ!男の夢だよ? ロマンだよ? みんな一度は憧れるんだよ? 目の前にあるなら欲しいじゃん! 夢見たいじゃん!
っていうか、くれる気無いんだったら始めっから選択肢に入れるなよぉおお! うわあああん!」
「え?あれ?何でマジで泣いてるの? ちょっと引くんですけど…」
「ちくしょー! こうなったら、お前をひん剥いて透視した気分になってやるぅー!」
「え? ちょっ、待っ、キャーッ!」
数十分後…
「スミマセンデシタ…」
ザ☆DOGEZA!
「次やったら魂ごと消滅させるからね」
顔が怖いですイオさん。
え? 結局イオの服は脱がせたのかって?
もちろん瞬殺でしたとも。
オレが。
「全くもう。私だって暇じゃないんだから、早く決めてよね」
ええ分かっていますとも。
見たいんでしょ?ドラマが。
「なんか棘のある言い方ね…」
「言ってない、思っただけ」
つってもなー、この中から決めろって言われてもどうすればいいんだか。
まぁ無難に攻めるとすれば、Aのどれかなんだけどなぁ。
どれか一つと言われると何か選び難いって言うか…
「2つじゃダメ?」
「却下」
あ、イオがイライラしてきてる。
「イラッ…」
って言うともっと怒るんだよね、普通。
思っただけだけど。
睨むなよ。
うーん、迷うならいっそA以外の能力にするか。
予知とか念動とか。
でも元々ある俺の能力がどうも化学チックな能力だから、こういう非科学的なのはなんと言うか…
ん? 化学?
んでもって念動…
「えっと、確か…」
俺は紙の裏面にある能力詳細を見て、もう一度念動の能力説明を見てみる。
『物質を動かしたり止めたりできます。
これさえあれば、お部屋の模様替えもラックラク♪
大きな物から小さな物まで、上限も下限も無く動かせちゃいます!
遠くて最高1Km先の物を、最高20m移動できマスマス☆
あ、あんまり使うとお腹が空くかも?』
説明はウザいが、うむ、これなら。
俺はこの能力の最高の使い方を思い付き、イオの顔を見る。
「ふーん、面白い事思い付くねキミ」
俺の心を読んでいたイオは、そう言ってニヤリと笑った。
「天才だろ?俺って」
「否定はするけど…」
「するのかよ」
「まぁ、今までだれも思い付かなかった使い方ではあるよね」
ふふん!まぁこんな事思い付くのは、世界多しと言っても俺だけだろう。
「それじゃあ、それで決定ね?」
「ああ、たのむよ」
「りょーかい♪」
イオはあのライトみたいな装置を弄り、取っ手部分にある小さなボタンでB―1と入力した。
…番号いっこ間違えててくれないかな。
「キミはまだそういう事を…」
呆れられてしまった。
「じゃあいくよ?」
「おうっ、…ってあれ?なんでサングラスしてるのイオさん?」
そしてなんでちっさいライト構えてるだけなのに踏ん張ってるの?
ライトだよね?
「失敗したら、私じゃなくて部長を恨んでね!」
「おいちょっとおまっ、今更だけどそれどういう仕組みなの!?」
「さーん、にーい…」
「ごめんやっぱキャンセル!
能力なんていらn…」
「…ゼロ♪」
――ピカッ!!
あ、オワタ。
「うきゃああ~~~~ !!!」
「なにごと!?」
・・・
「あれ? ディアスさん?」
なんでディアスさんが俺の夢的空間に?
…ここってもしかして
「屋敷のなか?」
「どうしたルイ。脳に支障でもきたしたか?」
なんか隣のベッドで上半身だけ起こしたディアスさんが、本気で心配した顔で聞いてきた。
失礼な人だな。
「いや、別に頭はなんとも無いけど…、なんか体の節々が痛いかも」
どうしてだ?
あ、そっか。フィーナさんにおもっくそ地面に叩き付けられたからだ。
「大丈夫かルイ? あまり無理に体を動かすな」
「ああ、大丈夫ですよ。これくらいなら…」
俺は自分の体に還元の能力を使い、元の無傷の体に戻す。
「ほら、元通り」
「………」
「ん?」
なんかディアスさんが呆れた顔してる。
「お前は常識破りと言うかなんと言うか…」
失礼な。俺は常識人だ。
「さっきの叫び声はなんだ!?」
「うわぉ!?ビックリ!」
俺が心の中でディアスさんに空中ぺ■字拳を喰らわせていると、突然部屋のドアが開いて誰かが飛び込んできた。
うん、誰かって言うか…
「マリアさん? どうしてここに?」
「ルイ!? 良かった目を覚ましたんだな!フィーナ殿のあの凄まじい一撃を喰らったのを見た時は正直もうダメかと思ったが無事でいてくれて本当に良かった体はもう大丈夫なのか?どこか痛い所はないか?ああもう心配をさせおって!」
言いながら徐々に俺に詰め寄ってくるマリアさん。
あの…、近いです。顔が。
「ルイさん!先ほどの悲鳴は……っ!?」
「うぇ?」
「む?」
「おお、リーシャ!お兄ちゃんのお見舞いに来てくれたか!」
今度はリーシャさんが部屋に飛び込んで来た。
「………」
部屋に入って俺の方を見た途端、ピタリと固まったリーシャさん。
あれ? なんか背後に獰猛な白い熊のオーラが見える。
「…何をしているのですか?マリアさん」
「おおっ、君か。いやなに、ルイが目覚めたのでどこか痛い所はないかと聞いていたのだ」
いやいやいや、それ以前になんでマリアさんがここに?
だれか説明プリーズ。
「それはそれは、ご苦労様です。でもルイさんの事は(・・・・・・・)私が見て差し上げるので、マリアさんはお疲れなのですから別室でゆっくりなさっていて下さい」
にっこりスマイルのリーシャさん。
うん、なんか知らないけど怖い。
あと、なんか今一部言葉が強調されてたせいで、ディアスさんが泣き崩れているのですが、それはスルーですか?
そして俺への説明も無しですか?そうですか。
「大丈夫だ、心配には及ばない。ルイ(の身体)は、この私がしっかり(隈無く)見ておくから、君こそ別室で体を休めているといい」
今なんか心の声が…
うん、気のせいだ。
身の危険を感じた気がするが、気のせいだ。
そして何かマリアさんの背後に、獰猛な獅子のオーラが見える気がする。
「いえいえ。ここはやはりルイさんの事を一番理解している私が…」
「いやいや。ここは年上の私に任せて、君は兄の方を見てやったらどうだ?」
「あれは唾でもつけておけば治ります。それに年上と言うのならば、マリアさんの身体も労らなければ。ここはやはり私が」
「ハハハ、面白い事を言うな君は。私はまだ労って貰うほど年をとってはおらんよ。まぁまだまだ若く経験も浅い君からすれば、そう見えてしまうのかもなぁ」
誰かこの2人を止めて…。
っていうか、今ディアスさんが泣きながら部屋を飛び出していったけど、やはりスルーですか?ですよね。
ディアスさんの明日は、どっちだ。
グダグダですみません…
次回から真面目にやります(多分)