表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/27

第18話

遅くなりましたm(_ _)m

久しぶりの投稿です。



今回は主人公が薄味?



▼outside


「マグナス隊長、全部隊の配置完了しやした。後はただ突入の指示を待つだけですぜ」


私の腹心でもあり、この隊の副隊長でもある男、ガリウスが報告してきた。


「………」


ただ私はその時物思いに耽っており、ガリウスの報告を聞き逃していた。



「あの…、マグナス隊長?」


「……ん?」



報告をしても全く反応しない私を心配したのか、ガリウスが私の顔を覗き込みながら私の名を呼ぶ。


というか、顔が近すぎるわバカモノ。その傷だらけの厳つい顔をあまり近づけるな。


私は無言でガリウスの顔を押し退け、空を見やる。


「なぁガリウスよ、この度の戦い、わざわざ私達が出張る必要があったと思うか?」


そしておもむろにそう呟く。


「またその話ですかぃ隊長。もう5回目ですぜ?」



なに?

私はこの話題を振るのは初めての気がするのだが。


「なに驚いた顔してるんですか。もしかして、今初めて話したとか思ってるんですかぃ?」


どこか呆れた様な顔で言うガリウス。


「コホンッ、そうだな、すまん。5回目だな。

いやなに、ガリウスがわざわざ回数を数えていた事に驚いただけだ」


「そうですかぃ」


やれやれといった風に両手を上げ、そう言うガリウス。


なんだその呆れた顔は。



「しかし隊長、よっぽどこの戦いに乗り気じゃねぇみたいですね。

と言っても、それは俺も同じですが」


そう言って屋敷に目を向けるガリウス。




事の発端は、2日前。


奴隷商アルネオが管理する奴隷達が、奴隷主であるアルネオに逆らい、その屋敷を占拠した。



この知らせを聞いたクルジア王国民は、恐らくみな驚愕した事だろう。

奴隷が奴隷主に逆らうと言う事だけでも珍しいと言うのに、その目論見が成功し、あまつさえ屋敷すら奪ってみせたのだ。


しかも聞いたところによれば、奴隷側には1人の死傷者もいなかったと言う。


全くもって、不可解な話だ。



不可解と言えばもう一つ気になる話がある。どうやらその事件の発起人は遠い異国から来た、世にも珍しい黒髪黒眼の少年らしく、しかもその少年には武器も魔法も効かないと言うのだ。



なんだその御伽噺のような存在は。


まぁしかし、私には関係のない話だ。

そのアルネオとか言う奴隷商には気の毒だが、自力で頑張ってなんとかしてくれ。



とか思っていたのも束の間。

翌日、国家正規騎士団中隊長、誉れ高きマグナス中隊の隊長である私の下に、その奴隷達の討伐命令の書状が届いた。


しかも、王国特務騎士隊の隊長からの特命でだ。

王国特務騎士隊は、このクルジア王国国王直属の騎士。

つまりその隊長からの命令とは、延いては国王からの勅命と言う事になる。



なぜ奴隷の討伐に、わざわざ我ら正規騎士団が動かねばならんのだ。

そんなもの、街の騎士団に任せておけばいいだろうに。


しかもなぜ、百戦錬磨で知られる我がマグナス中隊にその命令を下したのか。


そういえば特務騎士隊の隊長であり、王国天剣四騎士であるあの(・・・)も、事件の発起人である少年と同じ黒髪黒眼だったはず。

何か関係があるのか?


考えれば考えるほど分からなくなってくる。

目の前で暢気に欠伸をしているガリウスが恨めしい。


とりあえず、頭をひっ叩いておく。



「痛っ! いきなり何するんですかぃ隊長!?」


まぁ、いくら考えた所で仕方がない。

戦いこそが我らの本分。

考える事はどこぞの腹黒い文官にでもやらせておけばいいのだ。


「マグナス中隊隊長、マリア・マグナスより全隊員に通達。明日正午、奴隷商アルネオの屋敷を占拠した奴隷共を討伐する!」

「……ぉ?」


ガリウスが頭をさすりながら素っ頓狂な声を上げる。



「仕事だ、バカモノ! とっとと全隊員に知らせてこい!」


「ぉ、おう!」


バタバタと走って行くガリウス。


…まったく。





とまぁこんな事があって、現在ここに至る。



「――む? ガリウス、全隊戦闘準備だ。どうやら向こうも出てくるみたいだぞ」


屋敷の方から闘気が伝わってきたので、ガリウスに命令を出す。


「了解……お? なんか1人門を飛び越えて来やしたぜ」


ガリウスの言葉を聞き、門の方に目を向ける。


すると、黒髪の男(恐らく少年だろう)が3mはある門を軽々と飛び越え、地面に片膝を着くように着地していた。


そしてその伏せていた顔をゆっくりと上げ、漆黒の双眸をこちらに向ける。



「―――ッ!」


そして少年と目が合い、その目に一瞬ゾッとした。



なんだアレは?


あんなものが人に出せる闘気なのか?


そして少年が一瞬見せたあの表情、あれは歓喜か?

たった1人の少年が、この数の騎士を目の前にして歓喜するだと?






あれは……マズい。




黒髪黒眼といい、あの闘気といい、あの少年はどこか特務騎士隊の隊長に似ている。


もしあの少年が、あの男と同じ人種だとしたら…




「ガリウス! 先頭の兵を下がらせろ!」

「え? ……っ!」


呆けた返事を返すガリウス。


その直後、少年が全身に光を纏ったかと思ったら、全身重装備の鎧を着けていた。

そして少年が…いや、暴力と言う名の鉄の塊が、先頭の兵に向け突進して来た。





▼sideルイ



門と土壁を飛び越え、膝を曲げた体勢で地面に危なげなく着地する。

そして顔を上げて前を見た瞬間、隊の後ろで馬に乗っている、なにやら偉そうな女の人と目が合った。

その人は、肩甲骨くらいの長さの黄色の強い金髪と、澄んだエメラルドの様な目をしていて、くっきりとした目鼻立ちのものっそい美人だった。



「うわっ、チョー美人…って、イカンイカン!」



そんな美人と目が合ったことで、一瞬気分が浮かれそうになるが、これは戦いだ、しっかりと気を引き締めなければ。



美人は忘れろ美人は忘れろ美人は忘れろ美人は忘れろ美人は忘れろ。


とりあえず、頭の中で出来るだけ憎いやつの顔を思い浮かべる。



……アルネオが出てきた。

しかも全裸の体付きで。



何故かやたらムカついた。

(地面に着地してからこの間約3秒)


「まぁ、やる気は出たからいいかな」


そう呟き、俺は千刃の指輪を例の鎧に変えると、敵陣へと向け走り出した。


なにやら例の女の人が叫んでいたが、気にせず敵の中央に突っ込む。




▼outside



なんだあれは?


「中央の隊は引けぇ! 両翼っ、前に出て敵を包み込め! 相手は1人だ!」


目の前で我が精鋭の騎士達が、強馬にでも跳ねられた様にポンポン宙を舞っている。


「なんですかぃ、ありゃあ……」


隣でガリウスが頬に汗を垂らしながら、あきれ気味にそう言った。


こちらが聞きだいくらいだ。



「なんだコイツ! 剣が効かないぞ!」

「クソッ、俺の剣が折れやがった!」

「剣が駄目なら取り押さえろ!」

「無理です! 鎧に強力な雷系の魔術を付与しています!」



何とか敵を囲みはしたものの、部下達の四苦八苦する声が聞こえてくる。



「クソッ、止まれっ、とまれぇーー!」

「ぎゃぁああ!」

「畜生っ、俺の剣が!」

「馬鹿、前を見ろ!」

「ぐっ、がぁあああ!」



しかし、それでも敵は止まらない。

止められない。


まるで雑草を薙ぎ倒すかの様に突き進み、敵は我が隊を蹂躙していく。


まるで相手にならない。

あんな化け物が、アイツ(・・・・)以外にまだこの世にいたとは。



「隊長、こりゃ部下共には無理ですぜ。ここは俺が行きます」


目の前の惨状を見かねてか、ガリウスが自信なさげながらも出て行こうとする。


「いや…」


しかし私はそれを手で制し、ガリウスを止める。


「私が行く。…槍を持って来い!」



あんな化け物、ガリウスでも無理だろう。

ならば、ここは私が自ら行くしかあるまい。


私は部下に自分愛用の武器――鍛冶屋に特注で造らせた、3m近くある馬上用ランス――を持って来させる。


「隊長、どうぞ」


頑丈な体躯の部下が、両腕で抱えながらそれを差し出す。


「うむ、ありがとう」


私はそれを片手で持ち上げ、軽く回してから構える。


「ひぇえ、相変わらず馬鹿力で…」

「何か言ったかガリウス?」


ガリウスが何か呟いたので、槍を鼻先に突き付けて聞いてみる。


「いえ、なにも」

「そうか、ならよし」


うむ、私のそら耳だったか。



では、行くか。

正直、あんな化け物に勝てる気はしないが…

まぁ、一矢報いるくらいは出来るだろう。



「マリア・マグナス、出るぞ! 道をあけろ!」





またまた新キャラ登場です。

マリアさんと、ガリウス兄さん。

さてさて、これからどんな風に物語に絡んでいくのか。

作者も知らない!(こら



近いうちキャラ設定等をUPしようと思います。




あ、先日アキバでパソコン買いました。

GW前にはネットを繋ぐ予定ですので、これでようやく章編成とかできそうです。

まぁ、まだ章分けするほど話が無いですけどね…




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ