【配信】下層探索しちゃう件+隙自語(ブラックバイト時代)
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「わたし、華亥ムラクモ♡ 生まれは山中、育ちは路地裏、都会派女の子♡」
【いきなり始まって草】
【初見です! ホブゴブリン虐殺切り抜きから来ました!】
【せめて配信予告くらいしろwww】
ちょっと! アンタみたいな山猿が都会派を名乗るなんてどんな了見なの!? 訴えますわよ!? 路地裏ホームレス山猿わたし! 都会育ち偽証罪で死刑ですわ! ええーっ!? そんなことで死刑!?
うん。田舎生まれは総じて、都会に憧れと僻みを持つものさ……。その宿命からは最強ムラクモちゃんも逃れられないのだ!
ということでね。
今日は下層まで一気に下って行きたいと思います。こんなこともあろうかとね、入念な下調べはしてきたんですよ。ムラクモちゃんは有能なので。
あっという間に下まで行きたいのでね……。
なんと! あらかじめ中層探索をしておいたのです! ミニマム緑おじさんの生首も集まってまさに一石二鳥! 飛ぶ鳥を落とす勢い! ……は、違うかな? どうでもいいけど。
前代未聞! かつて誰もなしえなかった天才的発想のおかげで、今日のムラクモちゃんの勢いは誰にも止められないぜ!
「ん。じゃあ行くね」
【ああああ、タイラントお手てだぁ……】
【なになに? いったいこれから何が始まるんです?】
【わからんのかルーキー……。風になるんだよ】
むんずと目ん玉カメラをげっちゅ! そんでもって、ダッシュダッシュ。
なんてスピードだ! 速いぜムラクモ! チクショウ、ヤツは積んでるエンジンが違うのか!? よくぞ見抜いた! これぞ超高密度お肉稼働型パワフルムラクモエンジンだぁーっ! どぉーんっ! ……うん。峠の伝説になるには、まだちょっとハードボイルドとご機嫌なBGMが足りないざますね。
コメント欄くんは前回と一緒でなんか阿鼻叫喚になってる。……ん? お前字が読めないんじゃなかったのかって? ふっ。読めませんが何か? 向けられてる感情だけ受信できれば十分なのだーっ!
ほら、ボディランゲージとかってあるでしょ。……未開の蛮族仕草なんですがそれは……。言うな! それ以上は! 蛮族仕草文明人わたし。
「……到着」
【──あれ? 壁の色が紫色……? 下層にたどり着いとるやんけ!】
【中層ボスのワームはどうしたんだよ! ダンジョンワームは!】
【俺はもう察したぞ。オークキングと同じ末路を辿ったんだ】
【つまり……ナレ死ってこと?】
ワームくんのことは残念だが……諦めてくれ。
ムラクモちゃんにはこの世で嫌いなモノが三つある! ミミズと! ガキ扱いと! 節足動物だ!
なのでドデカソーセージミミズくんには跡形もなく消滅していただきました。あばよ、さらば!
下層探索。
入り組み具合は上の階とそんなに変わんなそう。ちょっぴり刺激的なアトラクションが配置されるようになったけれど……落ちろ! ムラクモ! きゃあっ落とし穴!? わははっ、ざまあみろ! 酸の池だっ、これで貴様の快進撃も終わりだな! 残念! ムラクモちゃんボディに酸は通じなかった!
【バーバリアンロリがまたバーバリアンしてる……】
【いやいやいや……】
【漢解除草】
【強酸の池に落っこちて、普通に這い上がってくるのはホラーなのよ】
【片手間みたいに下層モンスターが千切り飛ばされてくの、現実感なさ過ぎて笑えるんですけど……】
【フィーナ@公式アカ:ムラクモさん! 素材! ちゃんと素材の回収してくださいね! わかってると思いますけど!】
ん。この感じはメガネさんだな。ムラクモちゃんわかっちゃう。……冷静に考えてこの技能、けっこうキモいわね。ストーカーみたい。
──はいっ、やめやめ! この話はここまで! 終わりっ、閉廷! 以上っ、これまで!
こんな時は現実逃避のアカシッククラッシャー(手加減チョップ)だぁ。
はいどーんっ。
なんか逃げまどってたドデカカエルくんや二足歩行トカゲおじさん達をやっつけちゃう。かわいそうに、キミたちのことは忘れないよ。……コインに変えるまでは。……まー! ムラクモちゃんってば冷酷非道! 人面獣心の守銭奴だわ! うっさいやい!
【モンスターたちを苦しまずに倒せてえらい!】
【ムラクモちゃんバカみたいに強いけど、配信者の前って何してたんだろ。猛烈に気になるんだが……】
【↑ お前、そういう詮索はマナー違反だぞ……】
むむっ! 自分語りを求められているような気配を感じる!
いいよいいよ大歓迎! なんたってわたし、自分語りすんごい好きなの! 大好き!
……
「……ん。前ね……液体肥料兼、害虫駆除してた」
【ちょっと何言ってるかわからない】
【タイラントロリはさぁ……もっとちゃんと人に伝わるような話し方を勉強して?】
【いきなり何を言ってるのこの子はww】
……魔法少女になったばっかの頃だっけ。空からでっかい卵降ってきてさぁ。街が丸ごと宇宙ドデカアリンコの巣になっちゃって。
右も左もわからない、なり立てほやほや魔法少女わたしに「あいつらどうにかしろ」ってんだもん。“協命機関”のおじさん達には、参っちゃうよね。まずはポテト揚げるくらいの軽いところからゆっくりやらせてってワケ。
まあ、アリンコ達ってば思ったよりだいぶよわっちかったから、あっという間にやっつけちゃったけどね。……いや、違うな。俺が強すぎたんだ……。なんつって。
一仕事終えたなって思ったら、間髪入れず今度は「アレを討伐してこい」ってんだよ。……そんで、ムラクモちゃんをスカウトしてくれたヒゲモジャスキンヘッドの指差す先にはお月さま。え? 宇宙ロケット? お星様になってこいって?
んーで、なんかでっかい射出台に乗っけられて、撃ち出されたんだよね、月に向かってさぁ。
──え? マジ? そこはロケットとか出してくんないの? って。流石のムラクモちゃんも真顔だよね。わたしはミサイルですか? くらえ! 今だ! 鼻紙ロケットミサイル! ばーんっ。アリンコは滅んだ。
全力で拒否したいとこだったけどねぇ、命令に対して拒否権がないのがフリーターの悲しいところ。ひどいブラックアルバイトだよ。まったくね。
……まあ嘆いててもしょうがないよね、ポジティブポジティブって思って受け入れたの、その無茶ぶり。まあ、ムラクモちゃんったら太っ腹! でっしょー。器の大きさなら負けないよ! ん? その器、そこが抜けてない? ……誰がザルだ!
で、せっかくの月面旅行なんだし、月の石でも拾って帰ろうかしらって思ってたら、なんとなんと、アリンコ天国だったのよ、月。
や、ちょっと考えたらわかることだったんだけどね。でもかなりショッキングでしたわね。もうウッジャウッジャなんだもん。きもっ。……こいつら繁殖力ばっかり優れてるもんだからさぁ、根絶するまでにまあ、時間かかっちゃったんだよね。
おかげさまで、ゲボヘドロ宇宙アリンコ鍋が毎日の食事だったんだよね。
……思い出したら、なんか腹立ってきたな。 え? ムラクモちゃんおこなの? そうだぞー! ぷんぷんっ。ぶりっ子はやめたまえ! いいでしょ! わたしだってたまには頭空っぽあざとい系女子わたしを演出したいんだから! ……ん? お前の頭からは常にシャカシャカ音がするって? 頭マラカス空き地ホームレスわたし。
「んー……」
アリンコ鍋を思い出したら、屋台おじさんの串焼きが食べたくなってきたな。
はよ終わらせよ。
【ひえっ。モンスターくんを無表情で引き千切るのこわい】
【雑に袋に詰め込んでて草】
【お、俺はそんなタイラントロリも愛せるけどな(震え声)】
【思案してるムラクモちゃんもかわいいねぇ】
もっかい目ん玉を掴んでダッシュ再開。風になったムラクモちゃんはどっか広いお部屋さがしてゴー・ゴゴー!
……。
ムラクモちゃんのせいじゃないけど……。まあまあ時間かかりつつ到着しましたボス部屋! 着いたわっ、ここがあのムシケラのハウスね! クソっ、見つかったか! 出会え出会え! 不届き者を成敗いたせ! カキーンコキーン! ばーんっ。見ろ! あれが俺達が目指した神話だぜ……がっくし。
はい。……いや、はいじゃないが。
【地竜だ。おれはじめてみた】
【死ぬぞ。……地竜くんが】
【ちょ、ばかにコメント流れが速くなってる!】
【なんかポンスタでトレンドにのったみたいだぞ】
気付いちゃったんだけど、わたし配信者じゃん。つまり、視聴者がいるってことじゃん。ならもっと、ギリギリの戦いを演出して手に汗握る展開を作らなくっちゃいけないのでは?
……そこに気が付くとは……。やはりムラクモちゃんの知能指数はムシケラ級の中でも天才クラス……侮れんわい。
……。
はいどーんっ。
【おお……地竜の頭部が爆散した……】
【レイラたんの切り抜きで見たけど、火竜ワンパンだったもんな。……リアルタイムで見ると頭おかしくなりそうだが】
【初見です。すごいパンチをする女の子ですね。何のアニメのキャラですか?】
【↑ 現実を受け入れろ】
今日は大事な予定があるからね、うん。串焼き食べに行くっていう外せない用事あるから。
次から本気出すことにしよ。
「ん。今日はここまで。じゃあね」
【唐突ぅ!】
【乙かれー】
【次も楽しみにしてるよー】
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