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【朗報】友達に昇格させちゃう件

 わたし、華亥ムラクモ♡ とろけるように甘くって……燃え上がるように刺激的なひと時を……。死ねぇい! スウィートパラダイス・滅殺両断クラッシャー! 花より団子系女の子♡



 メガネさんギルドに来てるよぉ。

 さすがにね、街中で喧嘩とかやれないからね、うん。訓練用のお部屋貸してもらったの。メガネさんね、「壊さないでくださいね。……いいですか? くれぐれも言っておきますからね。場所は貸しますけど、くれぐれも……く・れ・ぐ・れ・も! 壊さないでくださいね! ムラクモさん!」だって。……なしてムラクモちゃんだけ怒られとるん? 今回の主犯ゆみ子ですよね? 

 これが日ごろの行いって……やつか……。世知辛いね。


 ところでムラクモちゃんってば重大な事実に気が付いちゃったんですケド。これはもうねえ、世界的新発見ですよ。宇宙の謎を解き明かすに等しい事実ですよ。例えるならねえ……ハエって実は体液で獲物を溶かして食べるんだよ。知ってた? ってくらいの新事実ですよ。……反吐が出るような例えだなあ。

 あのね、これって実は異世界シチュエーションなんじゃないのって。ゆみ子は別にガラ悪くないケド、探索者の先輩でしょ。それとバトルしちゃうってことは……。

 探索者の先輩に絡まれて模擬戦しちゃうやつだよ、これ。──おお! ここにきてようやくそれっぽいイベントがムラクモちゃんにも!

 なんかテンション上がってきたかも。


「……あ、あのっ。……──行きます」

「……! へぇ」


 そんなこんなのそんなに困難。

 ゆみ子ね、武器とか鎧の点検してたんだケド、準備万端ってなったんかな。雰囲気変わったよ。

 なんだろ。おどおどーってのがなくなって……。……強いな。

 ……何かに特化したヤツって感じじゃない。化け物も人間も殺せるヤツの身のこなし方だ。魔力の錬成にもよどみがない。

 なるほどね。死なないバードちゃんでしたっけ? 名前に偽りなしって感じですね。


 得物は二本の剣みたい。刃物使いですよ。

 ムラクモちゃんこう見えてもけっこう戦闘経験って豊富だから、そういう人とも戦ったことってあるよ。おもに悪の組織壊滅ツアーで。一番強かったのはねえ、カブトムシ怪人だよ。でっかい剣ブンブンしてくんの。あとスモウレスラー攻撃もしてくる。

 当時のムラクモちゃんはまだまだヤンチャ盛りの反抗期だったからね。普通に元人間だろうがぶん殴ってたのん。……あ、もちろん殺さないよ。そこはね。さすがにね。

 話逸れちゃった。

 何が言いたいかってーとね、ゆみ子ってば怪人くんのお相撲さん剣術よりもずっとお上手ですねってことです。

 すごいよぉ。ゆみ子が通ったあとってキラキラの赤い羽根が散るのよ。……居場所わかっちゃわない? それ。

 ……まあいいけどね。

 剣がねえ、ビュンビュカーってムラクモちゃんに当たってるよ。びしばしー! あいてっ。……うーん、蚊に刺されたかな? なんつって。

 ……これは流石にゆみ子に失礼かもしんない。すみません。ゆるちて。


 ……しばらくやっとるとねえ。


「……なぜ。攻撃なさらないんです?」

「ん。ヒトは殴んないから」

「……ッ。だとしても。防ぎすらしないのはなぜなんです?」

「言ったよ。遊んだげるって」

「ッッ!! ……そう、ですか。……わかりました。

 ……なにが何でも、そのオッドアイ──私へ釘付けしたくなりました」

 

 ん。

 ゆみ子のお目々がねえ、ピカピカに光っとる。なんかね、炎みたいなオレンジ色だよ。オレンジ色にギラギラ~。

 ムラクモちゃん知ってるけど、あれって、すんごい量の魔力を使ってる時にちょろっち漏れ出ちゃうやつだよ。つーことは、なんか大技くんのかも。

 最終決戦。月まで届くムラクモバベルタワー最上階……。そこには邪知暴虐の“暴君”ムラクモの姿がありました。ムラクモの圧政に耐えかねた勇者ゆみ子が、最強最終無敵奥義をついに放ったのです! ──くらえムラクモ! キラキラフラッシュ・ピカピカウイングスペシャル! どかぴかー! うわー! ぐわー! きえー! ムラクモは死んだ。めでたしめでたし。


 実際、ゆみ子のこれ、けっこうすごい威力出そうな感じするよ。

 オーバーロードした魔力がお部屋をグングン揺らしとるし。しかもその魔力、でっかいバードの羽みたくなっとる。……ところでそのデザイン性って必要なのん? 無駄じゃない? というか、必殺技放つのにこんなに溜めが必要って欠陥じゃない?

 でもかっこいいからムラクモちゃんも今度やってみようかな。──残念! INTのステータスが致命的に足りないので習得できませーん! クソ! やはり実戦に見栄えなど不要! ダサくてもなんでも敵を殺せりゃそれが正義なんじゃー!

 ……負け惜しみじゃないからね! もっかい言うケド、負け惜しみじゃないよ!


「……私、取り柄なんかありません。やれることなんか、目の前のことにムキになって……それだけ。

 衝撃だったんです。本当に。あなたを配信で見て、王都で見て。──だから」


 オレンジのメラメラ魔力が金ぴかになりよった。

 ……これ、強化の魔法だ。それも、ただの強化って感じじゃないな。破れかぶれ系のやつだよ。

 往生際の悪い奴が死に際に使うタイプのやつ。……よくないな。


 模擬戦なんかで自分の身体壊してどうすんでおじゃるの? って思うんだケドねぇ。

 ゆみ子ってば、


「“暴君”様……いいえ。ムラクモさん。あなたを参考にしたこの魔法──受けていただきます」

「……遊びじゃ済まないよ」

「あなたが悪いんですよ……とは言いません。こんなのエゴです。勝手にひがんでるだけです。……でもごめんなさい。私、一度これやるぞって決めたら……止まれないんです」


 だって。


 ……。

 そっかぁ。


 まあ、そうまで言うんであれば好きにすればいいよ。受けたげる。

 心配しなくっていいよぉ。ムラクモちゃんとて回復魔法の心得はあるからねえ。もどきだからすんごく痛いと思うケド。

 あんな強化使った後って、ぜったい筋肉ズタズタになるよ。ゆえに、ムラクモちゃんヒールはメタクソに痛い痛いになるでしょう。


 ……ん。来る。


「『気まぐれな“暴君”《タイラント・カラミティ》』!!!」

 

 参るぞ! カウント5の後にムラクモへ最終奥義を放つ! シュピキラピカーン! うおっ、まぶし!

 ゆみ子ね。

 こう……黄金魔力オーラを剣の先っちょへ集めてる。雰囲気だけなら大爆発とか起こしそう。

 んで、でっかいウイングバッサバッサやりつつやりつつ。きりもみしながら突っ込んできてさぁ。トゥリャー! って感じに突き刺してきやがるのん。

 思わず迎え撃っちゃいそうになったケド……いけませんよ、ムラクモちゃん。人は殴っちゃいけません。へいへーい! ……ってことでね、ぷすー。無防備なムラクモちゃんボディに剣が突き刺さる! いってぇ!

 ……ふっ。この最強・ムラクモちゃんにかすり傷をつけるとはよ。やるもんだね、ゆみ子も。

 それとして。

 ……え? それだけ? って気持ち。

 これもう遠回しにムラクモちゃんのことディスってるでしょ。こぉーんな派手な演出しといて、中身は脳筋って……や、わかってたけどね。オーラの正体強化魔法なわけだし。

 ……でもさ、思うじゃん。最後に大爆発するとかさぁ。隕石降ってくるとか、次元が崩壊するとか、惑星が重力崩壊しちゃうとかぁ。

 え? めっちゃ自己強化して突っつくだけなの? それってつまり……ムラクモちゃんが脳筋野郎って……こと? ……ムカムカァ!

 なんてね。うん。

 ……まぁ。コメントにはちょっと困るけど、カッコよかったと思うよ。派手だったし。きゃんっ! ゆみ子さんすごーい! 年収おいくら万円なんですかぁ? 散れい! 有象無象!


「はぁ……はぁ……。こんなの……全然……ッッ」

「ん。回復するよ」

「あ、え? あ、は、はい。ありが……にゃ、にゃああああああああああ!!!!」


 なんだかおみ足プルプルさせながら立ち上がらんとしていた勇者・ゆみ子へ、白衣の天使・ムラクモちゃんからいたわりといつくしみのキラキラ・フラッシュ!

 じったかばったん、どったんばったん。

 うん。……すまんなゆみ子。しかしお主を救うすべは……ムラクモちゃんにはない。ゆるせよ!

 だがその痛みは明日のキミを強くする! 涙と痛みの数だけ進化する……ふっ。それが主人公の特権って……やつか……。眩しいね、しばしば。


 んで、傷が治ったらねえ。ムラクモちゃんからさらなる特別措置があるよ。……それってなあに?

 それはねえ、プレゼントだよぉ。今回のアトラクション・デートでムラクモちゃんってば、ゆみ子のことけっこう見直しちゃったからね。とくに、ムラクモちゃんを参考にした必殺技持ってるところとかよかった(ムシケラ知能並みの感想)。

 なのでぇ、


「ん。あげるよ」

「……う、うぅ。……あ、こ、こここれ?」

「友達にあげるの。思ったより楽しかったから、お礼」

「とも……だち……?。……え? ……あ、あの」

「ん?」


 おどおどーに戻ったゆみ子ね、なんかとっても深刻そうなお顔。もしかして、ムラクモちゃんフィギュアのあまりの神聖さに受け取るのが恐ろしくなってしまってる? それとも、最強必殺技が通用せんかったから気にしとるのん? いや、けっこう痛かったよあれ。まあ、ムラクモちゃんは最強だからどうってことないけどね!

 落ち込むでないぞ、ゆみ子よ! 最強への道は高く遠く……険しいもの! 精進するがよい! ……ムラクモちゃんは生まれつき最強だったから努力とかしたことないケド。

 って思ってたらね、ボソボソーってちっちゃい声で言ったの。


「……あ、と、届きませんでした。さ、最後までムラクモさんに構えすら……」

「……。楽しかったって言ったよ。遊びじゃ済まないとも言った。……不服?」

「……え? ……そ、その。それってどういう……?」

「それ。誰にでもあげる奴じゃない。……そういうこと」

「あ。……こ、これ……。あ、愛し、慈しむお猫様の像……大切にします」

「ちがう」


 これ、スタイリッシュポーズ・ムラクモちゃんフィギュアなんですケド。プリティ路線だけでなく、カッチョいい路線を新たに開拓しようと思って生み出したる、ムラクモちゃん・ばぶりっくいめーじ拡張の尖兵なんですケド。どっからどう見ても猫になんか見えないでしょ! ゆみ子ってば視力大丈夫? ……でも鳥って暗いところだとお目々悪くなるっていうよね……今明るいケド。

 ……ま、まあいいよ。好きに解釈したらね。それムラクモちゃんフィギュアだけどね。ムラクモちゃんは他人の芸術的審美眼を強制しないからね。……それ、ムラクモちゃんフィギュアだけどね。

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