【配信】空き地ホームレス配信者わたし、デビューしちゃう件
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「わたし、華亥ムラクモ♡ 脱・ブラックバイトしたばっかの、新人配信者♡」
【銀髪ロリやんけ! クソかわ】
【いきなり媚びっ媚びで草】
【おい、ダンジョンなんだぞ。 そんなフリフリで来るとか自殺志願か?】
【いきなり闇深発言してて泣いた】
【火竜ワンパン暴虐ロリなんだよなぁ……】
【↑ 何それ?】
【銀髪タイラントロリで検索しろ!】
うんうん。カメラくんからもらったドローンカメラは調子いいみたい。丸っこい目ん玉カメラがひらひら飛んでる。
思わず引っ掴んで握り潰したくなっちゃうけど、我慢我慢。わたしは蛮族じゃなくて文明人だからね!
それはさておき、余は満足じゃ! さらばカメラくん! もう二度と会うことはないだろう!
草葉の陰からわたしを見守っていてね……別に彼、死んでないけど。
「ん。ということで、ムシケラ駆除してくよ」
【!?】
【え?】
【え?】
【なるほど……お口わるわる系ロリですか】
よいしょっとかるーくダッシュ。
今回はダンジョンを壊し過ぎないようにって、気を付けなきゃなんない。
よっしゃ配信するぜ! ってダンジョンに入ろうと思った時にメガネさんに捕まっちゃったんだよね。
そんで、「てめえ、中々やるみたいだから特例でダンジョンに潜るのを許してやるが──また素敵なポケットを増やしやがったら、わかってるな?」って感じのお説教もらっちゃって。やんっ、こわい。
……ウソ、盛りました。言い方はもっと優しかったです。
【いやはっや】
【速い速い速い!】
【ムラクモちゃん! カメラ追えてないって!】
「ええ? ……んー」
見ろ! これが俺の一足飛び走法だぜ! やり方は簡単! そんなこと言って、お高いんでしょう? いいえ、足を速く動かすだけ! まあお得!
なんて気持ちよくなってたのに、コメント欄が水を差してくるんだもんね。
ちょっぴり気分下がっちゃったケド……まあ、お客さんは大切にしないとね。サービス精神、だいじ。
「……わかった。歩いてく」
【やさしい】
【やさしい】
【聖母かな?】
【聖母(暴君)】
でっしょー。もっと褒めていいよ。ムラクモちゃんは褒められてのびるタイプなので。
ちなみに最重要情報だけど、言われて嬉しい言葉ランキングは、五位から、すごい! えらい! やさしい! 頭いい! 強い! です。ここ、テストに出ますよ! ……世界一役に立たないテストだあ。
「……ん」
【どうした?】
【どしたん? 話聞こか?】
【敵か?】
【今いるの上層っぽいし、大したの出ねえだろ】
【本当にそんな装備で大丈夫なのか?】
どうってことないですわ! 何といっても、ムラクモちゃんボディはミサイルの直撃を受けても無傷なので。
ところで、コメント欄くんの言うことは正しい。わたしの周囲をうろちょろと小賢しく囲んでるムシケラの気配を感じる。……うーん、弱っちい!
そのよわよわモンスターくん達は、力の差ってのをきちんとわかってるのか、警戒をしてくるだけで襲ってくる気はなさそう。
うーん賢いモンスターだなぁ。もしかすると、わたしより頭いいんじゃない? ……そんな、まさか!? なんつって。そんなわけないよね。
……ふむん。
「ね。ここのモンスターをやっつけるとお金もらえるってほんとう?」
【常識だぞwww】
【草。なんで知らないんだよw】
【ダンジョンに入る前に『英名の剣』から説明されるだろwww】
【ちなみに、上層で出るモンスターの換金額は安いぞ】
そっかぁ。じゃあ、ここでモンスターくんをプチプチ潰してもあんまり意味ないんだ。
……なら、潰さなくってもいっか。
「うん。ね、先急いでもいい?」
【え?】
【ちゃんと聞けてえらい!】
【いきなりどうしたの?】
「いい?」
【圧かけてきてて草】
【いいよー】
【好きにしろw】
サンキュー博士! くれぐれも悪用するんじゃないぞー。
そうと決まれば、目ん玉ドローンを引っ掴んだる。
【えっ】
【ぷにぷにおててだあああ】
そんでもって、とうっとかっこよくジャンプ。特に意味はない。……人生って、無意味を探求するくらいがちょうどいいのさ。ふっ(髪ファサァ)。なんつって。
おう、おめえさん達行くべ、下へよう。下に行くほど強い奴いるんでしょ? そんで強い奴ほどお肉が高く売れるんだ。知ってる知ってる。
なら、こんな詰まんないとこでまごまごしてらんないよね。ムラクモちゃんは飽きっぽいのだ。
【ちょっ】
【おいやめろばか!】
【け、景色がせわしなく回ってますね。とても風情があります】
はい、ダッシュダッシュ。
正直、床をぶち抜いて行けば早いけど、ダンジョン壊すなよって怒られちゃったし……。なんて面倒くさいんだ。俺は先に部屋へ戻るぜ! 面倒なんかと一緒の部屋にいられるか! 残念! ムラクモちゃんは死んでしまった! 何が悪かったのか、明日までに考えてきてください。 A 時代が悪かった。 大正解!
……いや、長いよ!
【お、終わった……?】
【なんか俺、気持ち悪い】
【……うん? 壁の色が変わってるぞ。まさか、ここ中層か?】
【つか上層ボスのオークキングどうしたん? まさかナレ死したってわけじゃないでしょ?】
ちょっと広い部屋のところに佇んでる薄ピンクおじさんのコトなら……うん。あいつはいい奴だったケド……運がなかったんだ。
はい! やって来たるは懐かしのリスポーン地点中層。本当は下層まで一気に行きたかったけど、道がわかんないからねぇ。
慎重派文明人わたしはまず、行き方を探るために中層へ向かった。……驚き桃の木。もう来ちゃってましたわ。
つーわけで。
「この辺りのお肉は高く売れるの?」
【肉www 換金部位じゃなくて肉丸ごと持って帰る気なの草】
【高く売れるぞ。そもそも中層まで潜れる探索者が多くないからな】
【こん! どういう状況ですか?】
【非常識ロリが非常識を見せつけてるところ】
ほー。ふーん。いいね! たっかいお肉を売りさばいて、これでわたしも大金持ちだ!
目指せFIRE! ……あ、わたしもう無職だった。空き地ホームレス配信者わたし。
「じゃあ、本格的にムシケラ駆除はじめるね」
【中層だぞ。引き返した方がいい。行くにしても最低限装備は整えろ】
【宣言できてえらい!】
【モンスターくん達のムシケラ扱いがゆるぎないの草】
【お前……死ぬのか……?】
はい、よーいすたーと。
ばーんっ。
【うおっまぶしっ】
【照明魔法か? ダンジョン内で、しかもこんな出力で使うなんて正気じゃないぞ!】
【↑ なしてなの?】
【そりゃお前、モンスターが光に釣られて集まってくるからだよ!】
【それでも……それでも、タイラントロリなら……!】
ん、誘蛾灯めがけてわらわら寄ってくる気配アリ。
ほほほ。来よるわ、来よるわ、宝の群れ達。……今の言い回し、“協命機関”の油ギットリおじさんみたいで胸糞悪くなったから、なかったことにしよ。忘れよキュイーン。
【まずいぞ! ホブゴブリンの群れだ!】
というわけで、ミニマム緑おじさんに……チョップ!
あっ、力加減ミスって十人くらい消し飛ばしちゃった。もうっ、あなたっていつもそうね! なんでもっとちゃんと手加減しないのよ!
ごめんよハニー。ムラクモちゃんの美しさに見とれちゃうからさ。君の瞳に乾杯。……いや、完敗だわこれ。
【逃げ……は?】
【……バーバリアンかな?】
【なんか、同接がすごい勢いで増えてるぞ……。お前ら、古参面するなら今だぞ】
【タイラントロリかわいいよ。いや、かわいいかな? かわいい……よな?】
よし、今度はもっと力加減して……チョップ! いいね! まー! ムラクモちゃんったら首チョンパがお上手! ……これちょっと不謹慎かしら?
【ホブゴブリン阿鼻叫喚で草】
【……地獄絵図かな?】
【見た目は妖精さんみたいにかわいいのに……中身は生粋の蛮族でウケる】
【ゴブリン達我先に逃げ出してるぞ……いや、そりゃそうだわ】
【ロリ(蛮族)】
「はい」
【いや、はいじゃないが】
【ホブゴブリンくん、結局許されずに一匹残らず処されちゃったのかわいそう】
【あっという間だったな……】
うーん、終わってから気が付いちゃったけど……。
ミニマム緑おじさん、けっこうたくさんいるわね……。これ、持って帰れるかな?
「どうしたらいいかな?」
【いや、主語! なにが?】
【俺は段々わかってきたぞ……。次の得物の居場所だろ】
【蛮族過ぎて草】
「ちがう。ムシケラ肉……狩りすぎて持ちきれない」
【まさかダンジョン配信でそんな原始人みたいなセリフ聞くことになるとは思わなかったぞ】
【丸ごと持ってこうとするから駄目なんだよ。換金部位を切り取りゃいいの】
か、換金部位とは? 監禁Vってこと? 随分と倒錯した趣味ですことね……。
さすがのムラクモちゃんもドン引きしちゃう性癖なんですケド……。なんつって。
知って……ない。まあびっくり! ムシケラ級知能の天才派にも、知らないことってあったのね! そりゃあるでしょ。
【お金に換えられる、価値の高い部分のことだぞ。なんでこんな説明してんだ俺は。……ちな、ホブゴブリンは舌だ】
【大丈夫? ムラクモちゃん、解体できる?】
自信を持ってできるとは言い切れませんわね。自慢じゃないけど、わたしぶきっちょなので。
……なんかもうめんどくさくなってきちゃった。
犠牲になったミニマム緑おじさんには申し訳ないけれど、持てるだけを持って帰ることにしよ。
悪いな緑おじ。ムラクモちゃんの積載量は有限なんだ。
人生上手くいかないもんね。ふっ、そのほろ苦さが大人のアジってヤツになるのさ。なんつって。
キリがいいし、配信終わろ。
「じゃあね、ばいばい」
【は?】
【え?】
【いやいや──】
配信は終了しました
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