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【悲報】王都騒乱に巻き込まれてしまう件・4

 わたし、華亥ムラクモ♡ いきなりだけど、歌います! ふんふふーん。ボエ~っ、ボエボエ〜! ……世紀の歌姫天才アイドル女の子♡



 教会っていうからにはさぁ、王都なんかの郊外とか中心とか、なんか一等地に建ってそうじゃない?

 そんでさぁ、女神像の下に通路とかあって、古代の遺跡なんかに繋がってるんでしょ。そこで司祭とか司教が怪しげな陰謀を張り巡らせるんだぁ。知ってる知ってる。

 ……って思ってたんだけど、目的の教会はね、オンボロ路地裏街にあったのん。パッと見、小汚い廃墟って感じ。……その割に、内側の方に結構な人の気配を感じるけど……。教会ってそんなものなのかしら。ちょっとよくわかんにゃい。


 メガ子の一歩後ろに張り付いて、たのもーたのもー! なぁんて出来たボディガードなんざましょ。ムラクモちゃんと一緒なら、たとえゲボヘドロ虫野郎の巣穴でも安心安全ね! はいはい、ナルシーナルシー。

 「メガ子ちゃんが来たよ! 教祖様に会わせて! お願い!」って感じのやり取りを眺めつつ、眺めつつ。なんとなく有能そうな顔を作って立ち尽くしとく。な、なんてオーラだ! 同行者ムラクモ……侮れん知性の持ち主かもしれぬ……。ちなみにお話理解してますか? してませ~ん! 無能! 張り子の虎系ホームレスわたし。


 十分くらいかしら。

 ぺちゃこんお話に、決着が着いたみたい。ついてきなさいよって感じに白ローブの人が頭をぺっこりん。神妙な顔つきで後を追うメガ子の後を、わたしもすかさずストーキング。三重の追跡……これがトリプルチェイスってやつでごわすか? お顔が三つでトリプルフェイス! ……なんか違うような?

 まあいいや。


 んでね、礼拝堂に通されたの。

 思ったよりもきれいな場所って感じ。一番奥のところにはねえ、いかにも勇者って感じの像が立っとる。で、それに祈ってる女の人が──ご立派! ……違った。教祖さまみたい。

 うん。

 それにしても……と、とんでもなくご立派なモノをお持ちですわね。ムラクモちゃんとしたことが、ちょろっち動揺しちゃった。


「お、お初にお目にかかりますわ、教祖様! わたくし、フローゼ・バーム・ブランシュバインと申します! こちらは、協力者のハナイ・ムラクモさんですわ!」

「これはご丁寧にありがとう。ゼルヴィナ教祖リアンナです」


 そして場面は急展開を迎える──! かは知らないけど、自己紹介もそこそこに、ごちゃらこ、ごちゃらこって難しいお話が始まっちゃった。

 長ったらしいそのお話をどうにかしてみるとね、「愛と平等をうたうゼルヴィナ教は行き場のない人を受け入れてるけど、別にキッカーとおおっぴらに喧嘩する気ないよ。でも、彼に恨みを持つ人達が思ったよりも集まっちゃって、なし崩しにそんな空気感になってる。このまま行くと内戦が起きかねないけど、“簒奪王”の動きを見るに、その内戦が起きちゃった場合、連鎖的にもっと大きな侵略戦争おきちゃうかも。だから、ほんまにマジで不本意だけど、そもそも戦争を起きないように、キッカー相国の排除には協力しますよ」ってことみたい。……長いまんまやんけ!


 口先のマジック! ってやつですわね。

 そんであれよあれよという間に、どういうわけか、ご立派教祖に協力を求めに来たはずのメガ子はうまいこと言い包められちゃって、協力を“する”ことになっちゃったの。……ど、どういうことだ? いったい何が起きたってんだ……! ふっ。ムラクモちゃんの知能じゃ把握しきれなかった──とだけ言っておこう。キャッ、カッコいい! ホントぉ?

 けっきょく、わたしというかわたしが何をすることになったかって言うと、「人目に付くところで、あくまでも合法的に、ド派手に暴れて来てよね」って。具体的にはねえ……闘技場。

 はい。

 なんだか色々と腑に落ちてないけど……。一つだけ思うのはねぇ。


「わたし、あなたの手先になった覚え……ないんだけど。あれこれ指図するのはやめてほしいかも」


 ということであります。ごめんねえ。

 ムラクモちゃんが闘技場で暴れ散らかすことに何の意味があるかは知らないけど、勘違いしてもらっちゃ困るのん。メガ子には手を貸してあげてもいいかなって思ったけど、別にご立派教祖にはその理由がないもの。顎でムラクモちゃんを使えると思ったら大間違いなんだからねっ! めっ!

 ……おっといけない。つい最強オーラが漏れちゃったわ。

 

「教祖様を守れ!!」

「傷一つ付けさせるな!」


 そしたらね、いきり立った信者の人が集まってきちゃった。

 おっ! 喧嘩でおじゃるか? 言っておくけど、今日のムラクモちゃんは約束破り魔わたしとして開き直ってるので、いつもより危険だよ。その覚悟アリというならば……仕方あるまい。ワシャワシャしちゃるぞ!


「双方、気をお静めに」


 一触即発、今にも白フードの彼らがムラクモちゃんがぶつかり、ワシャワシャによって泣き笑いしかできなくなっちゃうってところにね、ご立派教祖が割り込んだの。

 ここは危険だぞい! おぬしはすっこんどれい! 誰のせいでこうなったの? ……すいません。


「あなた達、おやめなさい。……ムラクモさんも、申し訳ありませんでしたね。この者達も近頃の王都の状況に、気が立っているのです」


 だって。

 そしたら、いきり立った白フード達、借りてきた猫みたいに大人しくなっちゃった。

 そんでわたしはメガ子に怒られました。うえーんしくしく(白々しい嘘泣き)。


 しかも闘技場の件、なんかよくわかんない内に引き受けることになっちゃったのよね。……なんでこうなったの? それはねえ、ムラクモちゃんとご立派教祖とじゃ知能とご立派様に格差があるからだよ。事実陳列罪。




 ───




 そんなこんなのこんなのどんな? コラ! 話の腰を折っちゃいけません!

 受付に向かう道すがら、一人ぼっちのわたし。なんてミステリアスな美少女なのかしら。美しい……。


 闘技場はね、大きいよ。

 めちゃんこデカい。どんくらいデカいかって言うとねえ……マジデカい。……語彙力お亡くなりになっちゃいましたねえ。


 事前に話を聞いた限りだとね、闘技場で戦うのはね、モンスターらしいよ。

 わざわざダンジョンに潜って捕まえてきたやつを飼育してんだって。物好きだねえ。……ん? ってことはそいつらって、ペットみたいなもんなのかしら。それじゃ、モンスターを殺すのってご法度になっちゃうのかな? そうだとしたら面倒だなあ。


 一度気にかかっちゃったらね、もうそれしか考えられないことあるでしょ。

 もうモヤモヤしちゃってぇ。んだもんだから、ご立派教祖の話も全然頭に入ってこなかったのん。……え? いつもお前話聞いてないだろって? それは……そう。

 なんか、作戦目標とか合図についてとか色々言われた気がするけど、全然覚えてない。……ま、なんとかなるよね。なぜなら私は最強だから! 最強……それは理屈を超えて因果を手繰り寄せる者……。ところで因果ってなぁに? インガ帝国? 


 脳内高次元に接続されつつ、されつつ。受付のおじさんに「出てくるモンスターってペットなの?」って聞いたら、度し難いバカを見る目されちゃった。というか、「んなわけねえだろ馬鹿め」って実際に言われちゃった。……失敬な受付おじさんだなあ。

 ちょっとのアクシデントがありつつ、受付を済ませて選手控室に行くと、ちょっと前に顔を見た気がしないでもない……誰だっけ? やっぱ初対面かも。なんだか、めっちゃ裏切ってきそうなお兄さんとエンカウントしちゃったの。

 なんか「こんにちは、かわいいね」って声掛けしてくるけど、ムラクモちゃんは見逃さなかったぞ。お前今、さりげなくムラクモちゃんの腰に手を回そうとしたろう! いけないんだー! 言っとくけどねえ、たとえ同姓でも気安く手を触れるのはコンプライアンス違反なんだからね! ムラクモちゃんはコンプライアンスにうるさい系魔法少女なのだ!(ただし自分には甘いものとする)。

 まあいいや。裏切りお兄さん(仮)には適当に相槌を打っとこ。

 

 とりあえず、モンスターを引き千切っても怒られないんなら気楽にやればいいし……。文字読めないからわからんちんだけど、出番来るまでにお弁当でも買ってこようかな。

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