【朗報】指名の依頼をされてしまう件・4
わたし、華亥ムラクモ♡ そろそろ意味もなく自分語りがしたくなってきた、夢まっ盛り女の子♡
いきなりですが、はいどーん!
お疲れお疲れー。メスガキロボットくんちゃんのお役目はここまで。じゃあの。……ちなみに気になるフィニッシュ技は……ハイパーエターナル・コスモノヴァ(普通に掴んで千切っただけ)だーっ!
わからせ完了! はい勝ちー(最強は負けないため)。ムラクモちゃんの大勝利です! びくとりー!
ふっ……許せよ。戦いの世界はとてもサツバツ。力無き者はベッコベコにヘコまされちゃう運命にあるのだ……。
なんつってねぇ。
一仕事終えたなーってさぁ、気を抜いてたの。
弱っちいロボットだったけど、珍しいことは珍しいからね。脚の一本でも持って帰って、インテリアにしちゃおうかなって、考えてたのん。
……そしたらさぁ。
何やらお顔真っ赤のれっちんがどっすんどっすんって近づいて来たの。
れっちんねぇ、髪の色が赤いんだよね。鎧も赤い。そのせいで赤ソーセージにめちゃんこ似ちょる。
……お腹減ってきたな。
「終わらせるなら、今から終わらせますよって一声くらい掛けなさいよね!」
なんて考えてたらいきなり、ぺちこーん! だよ。む、謀反じゃ! 乱心じゃあ! やつを成敗いたせ!
おいれっちん! 二度目だぞ! 二度もぶちよったな、ムラクモちゃんヘッドを! この反逆者めが! ゆるぜぬっ! むっきー!
うん。
……まあいいか。
ところで、ムラクモちゃんはヤンキーくんパーティに一つ言わなきゃいけないこと、あるのん。
それが何かっていうと、ヤンキーくんは大丈夫だよってことです。必死の表情で彼のこと治療してるからね、仲間の人。ヒジョーに言いにくい空気なんだけど、ちゃんと伝えましょ。
よいか。今から君達にだけ、世界の真実を伝える。……なんや怪しいなこやつ。詐欺とかマルチ商法に誘おうってんじゃないだろうな? チィッ!見抜かれるとは、不覚! 違法勧誘業者わたし。
「……あげたやつ、あるでしょ。だから大丈夫」
「──は?」
「……冗談なら後にして。今はリーダーが生きるか死ぬかなの」
当たり前だけど、ヤンキーくんのお友達ったら、ピリピリしとる。
……野次馬気分のムラクモなんぞ邪魔だ邪魔だ、あっちいけしっし。がびーん、ハートブレイクわたし。
……お、おっしゃられることは、ごもっともでございますですお客様。
でも、ムラクモちゃんのお話聞いてよね。聞かないと後悔……は、特にすることはない! ……ほな聞かんでええか。キサマ聞いておけ!
「……ちゃーちゃん、あげたやつって、あの木彫りの熊さんのことですの?」
ムラクモちゃんフィギュアですケド。
おじょー様、あれね、アイドルポーズのぷりちームラクモちゃんフィギュアなのん。二度と間違えちゃダメだよ。
「猛り狂うドラゴン像のことでしょ。熊じゃなくってね。
……アシュベリー、悪いこと言わないから、芸術的審美眼、もっと磨いたほうがいいわよ」
……。
ムラクモちゃんフィギュアだって言ってんでしょ、どいつもこいつも! 常識を疑うぜ、まったくよぅ。
……いいけどね! 別に。好きに解釈したらいいよもうっ。
「……あげたやつ。ちっちゃい魔法かけといたの」
「それって……。要するにあれ、魔道具だったってこと?」
「……さぁ?」
「自分でもわかってないの? つくづく雑なやつねぇ」
あ! れっちん達ってば呆れた顔してる! 傷付いちゃったぁ、うえーんしくしく。おじょー様ぁ、慰めてぇ。
……道具の呼び方なんて、しーらない(ぶりっ子)。しいて言うなら、ムラクモちゃんグッズとか? ……いいね! 我ながら素敵な命名だぁ……。
ムラクモちゃんグッズの効果はねぇ、平たく言っちゃえば生命維持の魔法だよ。ほんのちょっぴり体を頑丈にして、ほんのちょっぴり傷の治りをはやくする。まー、なんて便利なんざましょ!
……侵略者相手じゃあ、気休めにもなんない技術だったけどねぇ。みんなドデカいやつに丸かじりされて即死しちゃうから。
でも、あんな感じのレーザーに狙撃されたよ、ってくらいの怪我なら、よほど当たりどころが悪くない限りは効果あるんじゃないかな?
……ちなみにおじょー様にあげたコインにもおんなじ魔法かけてるの。気休めのおまじないに。
「持ってるだけで、身体……丈夫になるし、傷の治りも早くなるよ」
「……じ、地味な効果ね。でも、それが本当なら、すごく有用だわ」
「ホントだよ。……傷がすぐ完治しちゃうとか、そんな便利なもんじゃないけどね」
ヤンキーくんの傷をご覧になられなさいよ。ほんのちょっぴり……そこはかとなく……治りがはやい気がするでしょ。なんとなく。ずばーん! これが証拠だ!
治療中のお仲間さんやれっちんは確認するみたいにヤンキーくんをのぞき込んだけど……微妙な顔になった。……え? 疑うというのかい? このムラクモちゃんの証言を……。ワタシウソ言わないヨー。メッチャ誠実な商人さんネ。信じて信じてー。シャチョさんいっぱい買ってってネー。
「うーん……言われてみれば、いつもよりも回復魔法の効きがいい気がしないでもないけど……?」
「いや、普通に危篤だろ! こんなとこで油売ってる場合じゃねえ! さっさと脱出しようぜ!」
ヤンキーくんパーティ魔法職さんが首を傾げて、盾持ちさんがガオーっ。
うん。ごもっともー。
───
ああ~ん? おめえみてえなもやしが探索者になりてえだぁ? ゲラゲラゲラウェイ! ちゃんちゃらおかしいぜ! おいお前ら、世間知らずのお坊ちゃんに身の程を教えてやん──ぐああーっ! ばたんきゅー。 ……ありがとう! かませ犬ムラクモちゃん! 君の献身が今日もまた誰かを高みへと羽ばたかせたのだ!
ちゃっちゃちゃー。『仕事人』~踏み台の流儀~。
ギルドでねぇ、報告を済ませたの。
なんだっけ? 『命中の歯石』だっけ? なんかばっちいわね。あとメスガキロボットくんちゃんの生足とか、宇宙戦争ロボくんの破片とか。そんなの買い取ってもらったんだよね。
たまげた話なんだけど、ピカピカ石が一番安く売れて、宇宙戦争ロボが一番高く売れたの。なんか肩のキャノン砲が需要あるんだって。
城壁なんかにくっつけて、モンスター相手にぶっ放すらしいよ。……モンスターが都市を襲うことなんかそうあるもんじゃないらしいけどねぇ。備えは必要なんだって。怖い世の中だなぁ。
で、売るものを売ったら現地解散。
ヤンキーくんパーティはね、もうちょい遺跡タウンに残るって。リーダーがケガしてるもんね。お見舞いにってザイオンロールを持ってったのん。弱った時はスタミナが大事だからね。油にはたくさんスタミナの元が入ってるらしいよ。ヒゲモジャスキンヘッドが言ってた。
れっちんはねぇ、直帰するって。別れ際にね、
「あたしの目が節穴だったわ。悪かったわね」
って。
……いや、なんのこと? 謀反人れっちんの目にも涙ってこと? 謎多き女だ……。
まあいいよ。なんかよくわかんないけど、許したるでよ。ムラクモちゃんは故郷じゃ、随一の懐の深さを持つ女として有名だったからね。つるりーん。ぺたぺた。
超猛烈に感謝感激して、ムラクモちゃんプリティ教団に入信してよね。なんつって。
そんでね。わたしはねぇ、どうしよっかなって。
せっかく別の街に来たんだし、もうちょい観光旅行しちゃおうかなぁ、なんて思ったの。
いいや! 止めてくれるな、止めてくれるな! 俺は……自分探しの旅に出る。そしてビッグなムラクモちゃんとなって戻り、ゴールデンゴージャス・ムラクモビッグタワーを建設できる人間になるんだ!
……うーん。ゴールデンゴージャスって、なんか成金趣味で腹立つから、ゴッドプリティーに差し替えちゃお。ゴッドプリティー・ムラクモビッグタワー。……いいね!
行先はどうしましょ。風の向くまま、気の向くまま。風来坊……渡世人ムラクモ。きゃっ、かっこいい! それでいきましょって考えてたのん。
そしたらねえ。
「ちゃーちゃん、ちゃーちゃん。わたくし、一緒に王都観光したいですわっ」
「……ん?」
「王都はね、すごいですわよ! お空がね、宝石箱みたいで綺麗ですのよ!」
マイ・ソウルフレンドおじょー様からのお誘いがありましたの。
うむむぅ……。誘ってもらえたのは嬉しいけどぉ。
でもねぇ……。王都。王都かあ。
あれでしょ。城壁とかすんごい立ってて、おっきい宮殿とかあって、貴族が日夜陰謀張り巡らせてるんでしょ? 知ってる知ってる。……なんだかドロドロしてそう。偏見なんだけどねえ。
「それにね、ちゃーちゃんのチャンネル、登録者一万人超えましたでしょ。王都でね、記念のコラボ配信もしましょ!」
「……んー。王都ダンジョン、潜るの?」
「いいえ。王都にダンジョンはありませんのよ」
んえ?
じゃあ何するの? 盗賊狩り? それとも……お金持ち狩り?
も、申し訳ないけどぉ。いくらおじょー様のお願いでも、ムラクモちゃんは人間を殴ったりしないからね! 何故なら魔法少女だから!
「ちゃーちゃん、あんまり自分のことお話しませんでしょ。だから……雑談配信なんてどうかしら? 及ばずながら、わたくしもお手伝いしますわ!」
……。
つまり、最強ムラクモちゃん、異世界インタビュー配信しますよってコト?




