表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
修復ギフト持ちの貴族の息子でしたが追放されました  作者: ヒコしろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/93

第86話 後悔

お屋敷より使者が来て3日後の夕刻にちょっとしたパーティーを準備しているので当日の昼過ぎ頃に迎えに来てくれる事になったのであるが、問題は町の有力者なども集めた気楽なパーティーだからと、ベル達女の子冒険者チームも誘われたので、


「本当に大丈夫?」


と心配しかない僕の前で、ベル達が、


「大丈夫だよお兄ちゃん、メリーさんに習ったから…ほら…」


と、ご挨拶やお食事のマナーをお互いにチェックしているのである。


正直なところ食事のマナーはお下品でなければ問題無いが、挨拶だけはしっかりしていないと初対面での印象が違ってくるのである。


貴族は勿論、町の有力者が感じが良い人ばかりでは無い事ぐらい心得ているし、平民だの冒険者だのと下に見られ易い立場の人間が舐められる隙を見せたら…お山の大将を気取りたい奴らは自分より下の存在をバカにして安心したい生き物だというのを今回の人生の学校生活にて嫌という程に味わったので、


「一発目できっちり挨拶」

「多少ムカついても我慢」

「何か有ればまず相談」


というお約束をカルセルの町でジャンピングキック事件を起こしたベルには特に、


「カサール様みたいな優しいお貴族様ばかりじゃないからね…」


と言い聞かせみたが、彼女達はイデアさんと追加で買いに行った【ちょっとしたパーティー】にも参加出来る程度の普段より上等な服を着てパーティーとやらに行くのが今から楽しみらしく、


「わかってるから…」


と聞いているのか、いないのか…怪しい雰囲気ではある。


そんな僕たちのやり取りを見たテイカーさんに、


「まぁ町の住民も呼ばれる気楽なパーティーらしいので…あんまり言い過ぎて楽しめないのも可哀想ですし…」


と言われたので、


『それもそうだな…』


と、納得してパーティー当日になったのであるが…


『なぜ…ウチのベルがマーチン子爵家の次男坊に華麗なキックを炸裂させているの!』


と固まってしまう光景が目の前に広がっているのである。


パーティーの開始前にマーチン子爵家の方々と軽くご挨拶を交わしてから、僕やテイカーさんは別室で町の有力者さん達と、バルザックさんのお墓を立派な物に整備する話なんかをして、


「さぁ、皆様パーティー会場へ」


と案内された時には、何やら会場の端で子供達がモメていたらしく、僕がそれに気がついた時には既にベルはお気に入りの可愛らしいお洋服のまま空中に飛び上がっており、


「あっ!」


と驚く間もなく次男坊の丸々と太った少年はマーチン名物であるカエル魔物のグラーナの様にビタンと壁に叩きつけられていたのである。


『あっ、これはマズイ事になったか?』


と思うが、ベルが意味もなく人様を蹴り倒す事なんてないのは僕が一番知っているし、彼女もスカートの中が見えない様に軽く裾を手で制御しながら蹴り倒していた事から、


『まずは話を聞かないとな…』


と、我が家の女の子冒険者チームと護衛兼引率のイデアさんの元に向かい、


「何が有った?」


と聞くと、ベルが、


「アイツがバカにしたから…」


とキッパリと答えるが、その声には怒りが見え隠れしており、よく見るとララちゃんとターニャちゃんは涙を堪えており、イデアさんまでも小太りに殺気を放っている状態を見た僕は、ソッとベルの頭を撫でて、


「よくギリギリで我慢したね」


と、彼女の本気の蹴りならば壁に叩きつけられてピクピクするだけで済むはずがない為に、ここまで怒る何かが有っても手加減をした事を褒めたのであるが、


「でも、何かあれば相談する約束だよね…」


と彼女に行動を起こす前に相談して欲しかった事を告げると、ベルは、


「うん、イデアお姉ちゃんが良いって言ったよ…」


と報告してくれ、イデアさんを見ると、彼女はようやく大変な事になっているのに気がついたらしく、


「あっ、私…」


と、確実に怒りで傭兵としての血が騒ぎ、神経反射的にベルに攻撃の許可を出した様で、


『これは全面戦争か、はたまた僕だけ捕縛されて罪を償うかの二択か?』


と覚悟を決めようとした時に、ララちゃんとターニャちゃんが、


「お兄ちゃん、ベルちゃんとイデアお姉ちゃんを叱らないで…私たちがパーティーに来ちゃったから…」


と、僕に訴えるのであるが、


「来ちゃったからって…ララちゃんとターニャちゃんはちゃんと招待されてパーティーに来たんだから…」


という僕に二人は我慢していた涙を堪えられなくなり、泣きながら、


「あの人が、なんで奴隷がパーティーに来ているって…」


「相応しくないから出ていけって…」


と床でメイドに介抱されている小太りな少年を指差しているのである。


ようやく話が見えてきた僕は、マーチン子爵様の方を向いて、


「どうやら我々は歓迎されてないらしいので本日はこれにて失礼させて頂きます」


とだけ伝えると、リーグさんとバルディオさんに泣いている二人をエスコートしてもらう様に頼み、


「皆、帰るよ!」


と言って出口を目指す。


「いや、ジョン殿…」


と僕たちを止めようとする子爵様に、


「貴族のご子息に暴力をふるった件での罪はワタクシが受けます…しかし、ワタクシの家族が怒りを我慢出来なくなる事態になった件はそちらのご家族が原因と思われますので、確りとご家族で話し合って頂きたく願います」


と、ピシャリと言い切りその場を後にしたのであった。


そして現在、宿屋にて僕は、


『どうしよう…カサールに逃げてもすぐ見つかるよね…悪いとは思ってないけど貴族の息子を蹴ったからな…これでベルを罰するとか言い出したら全面戦争ルートしかないけど…』


などと心の中で焦り散らかしながらも、


「皆は帰る支度をして、最悪僕が捕まっただけでマーチン子爵家が納得しなかったらベルまで捕まる心配があるからカサール子爵様に保護してもらえる様に急いで馬車を走らせて…」


などと、町の門が開く翌朝一番には出発出来る様に支度を進めていると、部屋の窓辺の鳥かごのガーが突然騒ぎだし、リーグさんが、


「ガチャガチャと鉄の音が複数聞こえてガーが警戒しています」


と教えてくれるので窓の下を見ると、どうやら宿屋の周りには騎士団の馬車が並び装備が擦れる音がガーを苛立たせているらしく、


『抵抗しても宿屋に迷惑がかかるな…』


と観念した僕は、


「朝が来たら僕を待たずに出発して…」


と告げて部屋を出ようとすると、ベルが


「お兄ちゃんが捕まるなら私も!」


と僕にしがみつく、


『私かぁ…同年代の女の子と暮らす様になって、昔みたいにボクとは言わなくなったんだな…』


なんて、ベルと出会った時の頃を思いだし、


『なんだかんだで後はカサール様達が何とかしてくれるか…』


と腹を括った僕は、ベルの頭を優しく撫でて、


「ベルはもう家族を守って戦ったんだから、次はお兄ちゃんの番だよ」


と告げると、バルディオさんが、


「主殿、お供致します!」


と名乗り出てくれたのだが、僕が、


「駄目」


とだけ伝えると、バルディオさんは、


「しかし…」


と食い下がるのであるが、彼の耳元で、


「帰りの道中に追手が来たら困るでしょ…それにライト兄さんとの約束だって…」


と、何が有っても子供達とイデアさんをカサールまで送り届けて欲しい事を伝えると、バルディオさんは唇を噛みしめながら頷いてくれたのであった。


部屋の隅で歯を食いしばりながら、何も出来ない事に堪えているリーグさんにも、


「もしもの時はメリーさんをヨロシクね…」


と伝えてから宿屋の外の騎士団に出頭する為に部屋を出る。


背後で、


「イデア、主殿にこれ以上迷惑をかけるでない!」


というバルディオさんの声が聞こえたので、外の騎士団と戦おうとでもしたのかもしれない…そして、不安からかララちゃんとターニャちゃんは再び泣き始めてしまい、


『来るべきじゃ無かったな…貴族とのコネでも作れたら魔力供給間道具の材料確保の足しになるかと思ったけど…』


と、今になり調子に乗っていた自分が嫌になったのであった。



読んでいただき有り難うございます。


よろしけれはブックマークをポチりとして頂けたり〈評価〉や〈感想〉なんかをして頂けると嬉しいです。


頑張って書きますので応援よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ