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修復ギフト持ちの貴族の息子でしたが追放されました  作者: ヒコしろう


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第80話 魔法の練習方法

まぁ、案の定というか、ライト兄さんはイデアさんがバルディオさんと共に旅立てばライト兄さんの護衛も兼ねて王国から来ている供の騎士さんが我が家の何処で時間を潰そうがお構い無しで、


「そうだな…カイン君の魔力供給魔道具はすぐにでも作れるが、育ち盛りだろ…ラベル殿に作った物と違い少し関節部に遊びを持たせたとしても直ぐに作り直さないとイケないだろうな…」


と、真剣にゼルエルガさんとカイン君の相談に乗ってくれている。


ベルと同じ歳であるカイン君は流石は貴族のお坊っちゃんらしく、お行儀良く難しい話をしているテーブルにて真剣な顔で話を聞いているが、本人は魔力供給魔道具自体を実際に見たことが無いらしく、


『え~っと…何の話だろう…質問して良いのかな?』


みたいな不安そうな顔で師匠であるゼルエルガさんをチラチラと見るカイン君である。


そのゼルエルガさんは、


「では、魔法を発動させる場所をその魔道具に同調させれば儀式魔法の様に他者から送られる魔力を使って魔法が発動出来ると…」


と驚きながらも、


「しかし、カインが成長して魔道具が装着出来なくなる可能性と、成長して腕の長さが変われば魔法を同調させる場所も変わるという事が問題ですか、これはカインの魔力量の問題より魔力操作の練習を如何にするかだな…」


などと、ライト兄さんと真剣に今後の魔道具を使ったカイン君の訓練プランを話しており、僕は困り顔のカイン君に、


「えっとね…カイン君の腕に甲冑みたいな魔道具を装備して背中に背負った魔石タンクから魔力を引き出して魔法を放つって話までは理解した?」


と、噛み砕いた説明を始めると、僕からの説明を受ければ今後の会話についていける事に安心したのか彼はキラキラとした笑顔で、


「はい」


と答えてくれ、カイン君はその後も僕の話を頑張って聞いてくれた。


『スッゴく素直で良い子だな…』


と感心する僕にカイン君は、


「では、私は魔力の総量の心配ではなく、魔法を上手く思った場所で発動させるかの練習をすれば…」


と、なんとか理解出来たようで、練習を頑張れば魔法が使える事に、キラッキラの笑顔を僕に見せてくれた。


しかし実はこの訓練というのが一番の問題であり、カイン君がストーンバレットより簡単な土属性魔法の基本である石生成魔法を使おうとしても、石ではなくて岩程の物を生成してしまうという彼の上位のレアギフトのせいで1回も魔法を使った事すらないのだ。


そんな彼にいきなり魔力供給魔道具を使わせると、彼の魔法が不発だったり不完全だった場合には魔道具側の魔石から引き出したはいいが上手く魔法に使われなかった魔力が空中に霧散しきれずに暴発したりする可能性があるので下手に使用出来ないのである。


なので安全に土属性の魔力を体から離れた位置に集中させる訓練をしたくてもカイン君はギフトを経由した土属性魔法は魔力量の問題から1つも使えず、そんな魔法チェリーな状態で魔力を魔道具で補うと上達の過程で失敗して暴発の危険が高いのである。


『これはどうしたものか…』


と考えていた僕の頭に、


『そうだ土属性だし!』


と、一瞬ゴーレムコアへ魔力を飛ばす訓練も考えたのだが、


『離れた場所に置いたコアに魔力を流す練習をしても、本当に上手く魔力が届いてコアに溜まってるかなんて視覚的に分からないな…』


と気がつき、次は少し離れた位置に発動したら解るマジックアイテムの水撃の杖を置いて、魔力を流す距離の感覚を掴む練習を提案したのであるが、ゼルエルガさんが水撃の杖を手に庭に行って空に向かい一発アクアショットを飛ばしてみた後、


「う~ん…これぐらいの魔力量が必要か…」


と渋い顔をしたかと思うと、魔法と魔力についての説明を僕たちにしてくれたのである。


どうも魔法を体から離れた位置で発動させるには利点と欠点があるらしく、まず利点は、火魔法などを安全に発動出来たり、目で確認しながら集中して魔法を調整できる事が大きいので、使用する魔法の威力も上げやすく杖を使う魔法師が多いのだそうだ。


そして欠点であるが、魔力はイメージとして体の中心から腕までは体という殻に守られているが、体外に魔力が出た瞬間に多少なりとも霧散して魔力をロスしてしまうそうで、それを補うのが杖という魔力の通り道であるのだが、それでも多少はロスしてしまう。


水撃の杖はカイン君が握った状態でギリギリ一発放てる程度の普通の魔道具のアクアショットより遥かに強いアクアショットなので、離れた位置にある水撃の杖に向かってカイン君が素手で魔力を流して発動させるには魔力が全く足りない。


それを聞いた僕が、


「ならば!」


と閃いた、魔法師の杖を使ってマジックアイテムの杖に魔力を飛ばすという見た目がシュールな訓練方法もギリギリ魔力が足りない為に完全にゼルエルガさんに却下され詰んだ状態なのである。


このやりとりにカイン君も事の深刻さを理解したらしく、


「師匠…私が魔力量が少ないばかりに…こんな事ならば他のギフトが良かった…」


と、魔法が使えると喜んでいたのに、今はションボリしてしまって、見ているこっちの胸が締め付けられてしまう。


そんなカイン君に師匠であるゼルエルガさんは、


「カイン、お前に与えられたギフトは並みのギフトでは無い」


と優しく諭すと、彼の頭を撫でながら、


「今は上手く使えないだけで、きっと神がカインにこのギフトを授けた意味があるはず。 決して諦めないで欲しいし、私はカインに期待しているのだから…」


と弟子であるカイン君を慰めている。


その光景を見た僕は頭の中で、


『何か良い解決方法はないのか…こんな時の為の前世の知恵だろ。 2周目の底力だ、なんとか搾り出せぇぇ!』


と、前世の記憶から今世の記憶を全て、この居間の一面に引っ張り出して散らかす勢いで考えた結果、


『超能力開発機関…』


という、幼い時に怪しげなテレビ番組で見た、どこぞの共産国の秘密機関がやっていたというガラスで密閉された箱の中のアルミ箔の風車を念力で回すというお盆あたりに流れたオカルト系番組の映像が頭に過り、


「これならば!」


と閃いたのは、中退したこちらの世界の学校の図書館で見た魔法を再現する魔道具の回路の初期の物である。


今の魔道具の回路が複雑な機械の中の基盤だとすると、それは理科の時間に組み立てた実験工作の様な今は誰も使っていない魔道具の元祖ともいうべき、魔力を流すと魔力の流れた向きに回転する丸が書いてあるだけの回路…


【魔道サーキット回路】


とでもいったら良いのか、兎に角、魔力の有無ぐらいしか分からない回路を使った練習道具…名付けて、


『魔力が本当に届いているかテスター』


の誕生の瞬間であった。


まぁ、壊れて捨てられていた魔石ランプの水晶ガラスとガワ部分だけをサクッと修復して使い、中に例のオカルト番組で見たアルミ箔の位置に魔道サーキット回路をライト兄さんに作ってもらい配置しただけの簡単な練習器具であるが、ゼルエルガさんも、


「このような方法が…確かにこれならば極めて少ない魔力で練習できます…それに魔力が完全に枯渇する前に止めれて、気絶して丸1日以上眠る心配もなく効率良く魔力量を上げる訓練も…」


と驚いてくれていたので、どうやらカイン君の訓練は上手くいきそうである。


そうなれば後は、見本機体となる最新型ゴーレムが完成したバラッドさんを巻き込んで、カイン君の魔力供給魔道具を作るだけであるが、カイン君のサイズを測ったバラッドさんは、


「そっちの魔族の師匠さんのも作っておくか…こっちの弟子君が成長した時に師匠のを借りれば師匠さんは無くても魔法は使えるだろうし、借りてる間に新しいのを作れば良いんじゃないかな?」


と、急に使えなくなる心配が無いように提案してくれたのだったが…


『えっ…魔族とは…』


と驚く僕を他所に、ゼルエルガさんは、バラッドさんに、


「あら、そんな古い呼び名を知っているなんて…」


と喜んでいる様に見える。


『あの…どういう事だろう…質問して良いのかな?』


とソワソワしている僕を見つけたカイン君が、


「今回は私が説明して差し上げれそうですね…」


とニッコリと僕に微笑んでくれていたのであった。



読んでいただき有り難うございます。


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