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修復ギフト持ちの貴族の息子でしたが追放されました  作者: ヒコしろう


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第74話 陰湿な仕返し

10階層から下でレベル上げに勤しむ事数日…


「そろそろ一回地上に戻りませんか?」


と提案する僕にライト兄さんは、


「アイツらが居ない間しかスケルトンナイトを自由に狩れないだろ!」


と、常連さんが来るまではこの18階層と19階層にてスケルトンナイトを含むスケルトン部隊を倒しながら、常連さんがご出勤すると13階層あたりのスケルトンの群れを狙って移動し、殲滅後に安全地帯の階段で眠り、またスケルトン狩りを始める生活なのである。


なぜこの様な生活をしているかというと、こんな何も娯楽が無い寂れた町に、好きな女性の名を叫びながら敵を自作の魔道具で倒す錬金術師のライト兄さんという面白いキャラクターが現れたものだから酒場の良い話のネタにされ、しかもあの日ライト兄さんが大事そうに抱きしめて帰った【絆の指輪】という古代のエルフが作ったマジックアイテムは、冒険者の中では使用したお互いの心の声を駄々漏れにする為に、ラブラブなら良いが、喧嘩や浮気をしようものならそれも筒抜けとなり、


「パーティー壊しの指輪」



「離婚の指輪」


などと、不吉な名前で呼ばれる特級呪物的なアイテムらしく、


「イデアちゃんとやらと絆の指輪をはめて兄ちゃんが別れるか別れないか賭けようぜ!」


と常連冒険者のオッサンが提案すると、仲間のオッサンが、


「馬鹿か、別れるか別れないかの賭けが成立するかよぉ…何ヵ月もつかの賭けじゃねぇとよぉ~」


などと、酔った勢いで馬鹿にされた為に、ライト兄さんとしての最大級の仕返しとして、


「アイツらが来るのに合わせてここらのスケルトンナイトを殲滅して、復活までの数時間アイツらに無駄に待つだけの時間を過ごさせてやる!」


という小さな嫌がらせの為に地上に帰らずにダンジョンで暮らしつつ、嫌がらせの時間が最大になる様に試行錯誤を繰り返しているのである。


『酒場で絡まれるのを避ける為と、同じ宿屋で寝泊まりしてると気分が悪いのも理解できるが…ここまで真剣に嫌がらせに向き合う人間だったんだ…』


とドン引きしている僕であるが、流石にここ数日、毎日無駄な時間を過ごしてから仕事を始めていた常連冒険者チームも、


『あれ? なんか変だな…』


と気がつき、昨日、


「もしかして、俺たち何かしちまったか?」


とライト兄さんがグッスリ眠るダンジョンの階段にて、起きてゴソゴソと戦利品をチェックしている僕に聞いてきたので、彼らに酒場での件を伝えたのであるが、


「それは…何というか…すまん…」


と、シラフだった為かあの時とは同一人物と思えないぐらい素直に頭を下げてくれたのである。


しかし、ライト兄さんの嫌がらせは、ちゃんとダンジョンや冒険者のルールを守った上で、人としてのマナーだけを犠牲にした嫌がらせの為に、本人が気が済むまで止めさせる法律はなく、冒険者がよくやる、


「1杯奢るから水に流してくれや…」


などといった手段もライト兄さんが彼らを意識的に避けている為に使えず、ジワジワと嫌がらせが効いてきている彼らとしては、


『謝罪して手打ちしたいな…』


と思っているのだろうが、これだけ近場で喋っているのにワザと起きないライト兄さんを見て、


『まだ許す気はないか…』


と理解した彼らはトボトボと階段を上り本日の業務を終えるのであった。


そして本日、正確な時間は分からないが敵のリポップサイクル的に、


『そろそろかな…』


と思っている所に酒場で散々ライト兄さんをからかっていた常連冒険者チームが、


「もう何日も潜ったままなんだろ…酒場の大将に言って新鮮な野菜のサンドイッチを作ってもらってきたんだ…その…あの時は茶化して悪かったな…兄ちゃん…」


とライト兄さんに謝罪してくれたのに、今夜も嫌がらせのスケルトンナイト狩りを朝までする勢いに、


『おいおい…いくら何でも…』


と僕が引いていると、ライト兄さんは、


「よし、これぐらいにしてやるか…」


と満足したらしく僕に、


「俺の装備もスケルトンナイトから出た高そうな鎧になったし、ボロい武器持ちのスケルトンから出た壊れた武器なんかもジョンがリペアで直してくれたのがかなり溜まったから一旦戻って換金しよう…」


と言ってくれたので、


『やっと地上に戻れる…』


と、ウキウキで階段を上り、既に数日前にゾンビオークも倒して転移の為のメダルも持っている為に、


『気が変わらないうちに…』


と、地上へと転移陣を使い戻ったのであった。


地上にて冒険者ギルドの買い取りカウンターにて戦利品のチェックをしてもらったのであるが、壊れかけの武器や防具はスケルトンナイトなどから高確率でドロップ品として手に入り、たまに宝箱から壊れていない装備も手に入ったので、ライト兄さんの寄せ集めの革装備からダンジョン産の防具に変えてもらったり、マジックバックにパンパンに同じタイプの壊れた武器からラベル先生に鍛えてもらったリペア魔法の力により、二つの壊れた武器を使い一つの修復された武器とした戦利品を取り出してチェックしてもらうと、冒険者ギルドの職員さんが、


「えっ、光属性の魔合金の武器や、完全なベーレ騎士の剣に、こちらは聖騎士の鎧ですか…」


などと慌てている…


『あれ…ヤバい…かな?』


と考えているが、宝箱から出た小さな杖を見た瞬間に職員さんは、


「これって、水撃の杖じゃないですか!」


と慌て散らかしているのをライト兄さんは、


「あぁ、それが水撃の杖っていうやつか…名前しか資料になかったし、このダンジョンの宝箱からは何種類も杖が出るって書いてあったから…」


と、あまり驚いていない様子であった。


するとライト兄さんは、


「その鎧は今、俺の装備だから売らないし、その杖は約束でジョンのだから買い取りからは一旦外して…あと、光属性の武器って20階層から先で必要なんでしょ…2つばかりは売らずに残したいかな…」


などと言い出し、


「えっ、踏破するの?」


と驚く僕にライト兄さんは、


「えっ、しないの?」


と聞き返し、ギルド職員さんに、


「別に踏破しても良いんでしょ?」


と質問するのであるが、ギルド職員さんはその言葉を聞いて、


「是非お願いします!」


と真剣な顔でお願いしてくるのであった。


このベーレダンジョンは昔のリント王国の町だった為に、魔力至上主義の金持ち貴族などが各地から買い集めた古のエルフが作ったマジックアイテムが、昔にダンジョンにトライしてヘマをしたリント王国側の貴族やその護衛のおかげで結構宝箱としてドロップするらしいのである。


しかし、20階層から下で本格的にドロップするマジックアイテムを狙うには、光属性の魔法や武器が必要となり、20階層までに出る宝箱からは光属性の武器はレア中のレアらしく、


「この水撃の杖も、回復魔法師などの使い手であれば光属性の力を帯びた水が噴射出来て20階層から有力な攻略アイテムとなりますが、これほどまでに光属性の魔合金の武器がドロップするなど聞いた事もありません…これはダンジョンが踏破を望んでいる証拠!」


などと、興奮しているのである。


どうやら魔法のギフト持ちであれば、この水撃の杖は水属性と追加でギフトの魔法の属性の攻撃になるらしく、運良く僕のリペアの魔法も光属性である為に、魔力が続く限り聖水を噴射できるのと同じ効果なのだそうで、


「う~ん…踏破かぁ~」


と悩んでいる所に、例の常連冒険者チームがご出勤して来て、


「ようやく帰ってきたか…」


と、嫌がらせからの解放と、自分達がやっと許された事に安堵したらしく、そしてカウンターに並ぶ武器を見た瞬間に、


「二人で下の階層に行ったのか!」


と驚かれたのであった。


聞けば彼らは20階層から下でお目当てのマジックアイテムを狙う為に頑張っているのであるが、20階層までの宝箱やドロップ品では光属性の武器が手に入らず、下の階層を狩り場にして光属性武器を数多くドロップさせて所持しているであろう教会もマジックアイテム狙いなのか光属性の武器を絶対にギルドに売らないので壁にぶち当たっていたらしく、


「俺たちにその光属性の武器を売ってくれないか!」


と深々と頭を下げるのである。


冒険者チームのリーダーは、ライト兄さんに、


「酷い事を言って馬鹿にした俺たちが、『何虫の良いお願いを…』って思われているのも十分承知している…しかし、この通りだ…」


と頭を下げ続けるリーダーさんにライト兄さんは、


「職員さんは教会関係者以外の踏破人数を上げたいし、俺たちはダンジョン踏破をしたい…皆さんの狙いのマジックアイテムは何か知りませんが、兎に角こちらの武器を欲しいと…」


と、言いながら悩むふりをして、僕に、


「リペアした分の武器って…」


と小声で聞くので、僕も小声で、


「魔力さえあればいくらでもスケルトンナイトから回収出来ますよ」


と伝えると、ライト兄さんは、


「では、こちらの武器で好きな物を皆さんに差し上げますので、一緒にダンジョンを踏破しましょう…そうしたら冒険者ギルドも踏破人数が増えて嬉しいし、僕たちも踏破出来て嬉しい…皆さんは狙ったマジックアイテムが出るかどうかは分かりませんが、出せるチャンスは手に入りますもんね」


という提案をしたのであった。


「それでは俺たちが得し過ぎる…」


と恐縮する冒険者チームの方々にライト兄さんは、


「野菜のサンドイッチのお礼ですよ…」


と、リーダーさんの肩をポンと叩いて、


「今日は休みますから、明日またこの時間に…」


と、冒険者ギルドのカウンターから宿屋へと向かって行く…


『いや、土手で殴り合って夕陽見て友情コースみたいになってるけど、冷やかされて陰湿な仕返しして、利害一致で仲間って…そんな格好良くないよ…』


と思いながらも、


「皆さんが選んで残った分の武器は買い取りでお願いしますね」


と冒険者ギルド職員さんに告げてからライト兄さんの背中を追ったのであった。



読んでいただき有り難うございます。


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