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修復ギフト持ちの貴族の息子でしたが追放されました  作者: ヒコしろう


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第71話 レベル上げへ向かう馬車

僕としては、


『イデアさんに告白してからでも良いのでは…』


とは思うが、ライト兄さん的には、


「まだバルディオさんに挑むための武装を揃える前段階だから…」


という理由から、バラッドさんが我が家で用意した鍛冶カマドの具合に慣れるまでの練習も兼ねて、僕とライト兄さんとバラッドさんの三人で急遽作った特別なゴーレムフレーム…というか小型のゴーレム本体は、修復したコアをクリスト様に調整してもらい、


【背負えるゴーレム】


となったのである。


ゴーレムコアが周囲の土などで体を作らずとも鉄で全身をあらかじめ用意し、ゴーレムコアが魔力を使い取り込む体を極小サイズにとどめた事により立っているだけの待機状態で数日もつゴーレムとなり、追加の魔力供給を乗り込んで行わなくて良い分、胴体にコックピットなどは無く空洞のボディーはすべて魔石タンクとなり、本体の重さを軽減する魔道具の回路と、腕と足に仕込んだ魔道具に魔力を回せる仕様である。


我が家の幼子達をオンブしている姿から発明された通称オンブゴーレムに指示を出す魔道具のボタンとしては、左足に各種のボタンが配置されており、【スタンバイボタン】で両手を前にならえのようにして待機し、重さを軽減の魔道具を発動させてからゴーレムを背負い、ゴーレムの体から伸びる革製のベルトで使用者の体と固定して【バトルモードボタン】を押すと、ゴーレムの両足が使用者の胴体に巻き付く様に曲げられ、左足のボタンが押しやすい位置に来る。


あとはストーンバレットのキャノンの改良型扱いであり、前にならえのままのゴーレムの腕がそのまま魔道具の杖の機能として、魔石タンクになっている胴体からの魔力で魔法を放つ仕組みである。


しかも、前回は前方に闇雲に射ち続けたストーンバレットの魔法も左足に配置されたゴーレムの指示とは別の魔道具としての発射ボタンにより好きなタイミングで自由に射ち出せるだけではなく、もちろんオートで連射も可能であり、しかもゴーレム君の【ロックオンボタン】により精度はいまひとつで、軽くではあるがオンブゴーレム君が腕を動かして照準をサポートしてくれ、


『走り回りながらでも常に攻撃、撤退中でも背後に攻撃…』


などという人間離れの行動も出来るのである。


あと、オンブされながら前方を確認する為に少しだけ顔を傾けてチラリと首の辺りから覗く適当に作ったゴーレム君の頭パーツのつぶらな瞳が可愛いのは予定外であったが一番気に入っているポイントであったりする。


そして4つ目の指示ボタンは、胴体に巻き付けていた右足をピンと前に伸ばす【足ぴんボタン】であり、ゴーレム君の右足にはバーストランチャーが仕込んであり、打ち出す物次第で単体攻撃も複数への攻撃も可能となる。


最後にの残された五つ目の指示ボタンは【お疲れボタン】でありゴーレムマスターならばコアに魔力が残った状態でもゴーレムを解除できるが、それ以外の人間は、このお疲れボタンがないと、


『一旦休憩して、ゴーレムコアに魔力を充填するか…』


となった時にアクティブ状態のゴーレム君からコアを引き抜くという大変可哀想な事になり、体のサイズの設定は勿論のこと、ボタンでの指示に対応した動きなどを記憶し、敵を倒して経験を重ねるとレベルアップまでするという1つの人格があるゴーレム君に、


『生きたままコアという内臓をむしり取られる』


という要らぬトラウマを植え付ける事になるのである。


とまぁ、この装備がゴーレムである必要性については微妙であるが、


『ゴーレムコアのレベルを上げて合体ゴーレムを作る!』


という僕の野望と、


『自分も強くなるが、それでも無理なら新型ゴーレムでバルディオパパに挑む!』


というライト兄さんの回りくどくも一途なイデアさんに向けた愛の為に必要なステップなのである。


オンブゴーレムの作成にも協力して頂いたカサール子爵様の息子であるクリスト様から、


「夏か、遅くても秋にはカサールで本格的に新型ゴーレムを作れる様にするからそれまでには帰って来てくれるよね?」


と念を押された為に、カサールのご近所にある中級ダンジョンで、オンブゴーレムによるライト兄さんの強化合宿を行う事に決まったのだった。


僕はCランク冒険者であり、ライト兄さんは成り立てホヤホヤのFランクであるが、僕とライト兄さんを冒険者パーティーとして登録する事によりパーティーの最低ランクの2つ上かつパーティーの最高ランクの1つ下までのダンジョンになら挑戦出来るので、Dランク対応の中級ダンジョンになら僕とライト兄さんのパーティーで挑戦が可能となり、冒険者ギルドで手頃なダンジョンを聞いた結果、


「昔、まだこの地域がリント王国の土地だった頃の中心の町で、今は廃墟のベーレにあるダンジョンとかどうですか?」


とオススメされたのだった。


ベーレダンジョンは、通称【聖者のダンジョン】と呼ばれており、スケルトンなど光属性の武器や魔法で攻撃すると案外容易に倒せる敵が多く、教会関係者がレベルを上げる目的で使われる事が多いという特殊なダンジョンであり、光属性攻撃の無い一般の冒険者は、攻撃をして崩れた骨の山にもう一撃加えてトドメを刺さないと完全に倒せない事から、


『二度手間ダンジョン』


と冒険者達から嫌われてはいるが、光属性であるライトの魔法を解析して作られた魔石ランプの明かりでスケルトンなどの動きが少し鈍くなる為に安全にレベルを上げるには持ってこいのダンジョンなのだそうで、ライト兄さんとも、


「オンブゴーレムのオデコには魔石ランプを強化した魔石ライトも有りますし手数だってオンブゴーレムのストーンバレットでスケルトンから魔石が出るまで射てば良いだけだから…」


という事で、近隣の町を巡っている我が家の商人のテイカーさんの馬車にて僕とライト兄さんは、カサールから3日ほどかかる廃墟の町ベーレに送ってもらったのである。


もちろん、この馬車の護衛にはバルディオさんとイデアさん親子が乗っており、バルディオさんが、


「主殿もライト殿もレベル上げとは…本当に我々がお供しなくても…」


と心配してくれるのだが、


『ライト兄さんがバルディオさんに勝てる様にする為ですから…バルディオさんまでレベル上げに最適なダンジョンに潜ると、もう…勝てなくなるので…』


という理由から、僕は、


「我が家の稼ぎはテイカーさんにかかっていますからね…バルディオさん達はテイカーさんの護衛をしてもらわないと…」


などと上手くはぐらかしているのである。


しかし、走行中のこの馬車の後方では、馬車の後方の見張りをしているイデアさんと、彼女の近くでガチガチに緊張しているライト兄さんが、気まずい雰囲気で、


「ライトさんは主殿とは長いんですか?」


と聞くイデアさんに、ライト兄さんは、


「は、ひゃい!」


と普通に返事すら出来ない為に続かない会話を繰り返しているのを見たバルディオさんが、


「娘は傭兵として男臭い戦場で育ったようなものでして…学が無いのでライト殿の様に博識な方ともっと触れあって欲しいのですが…」


と後方の二人の続かない会話を馬車の前方を警戒しつつチラチラと気にしているのを見た僕は、


『ライト兄さんチャンスだ。 親も公認かもしれないよ!』


と叫びたい気持ちをグッと押さえ付け、馬車の手綱を握るテイカーさんに言っている風を装いつつ、バルディオさんに向けて、


「イデアさんとライト兄さんは歳も近いし話も合うんじゃないかな…ねぇ、テイカーさん!」


などと外堀から埋める作戦に出たのであるが、ライト兄さんのイデアさんへの気持ちを知らないテイカーさんは、笑いながら、


「旦那様、確かにライトさんとイデアさんは歳も近いしお似合いですが、イデアさんのタイプがバルディオさんより強い殿方ですからねぇ…どこぞの騎士団団長クラスでないと…」


と教えてくれ、


『そんは情報は知ってるよ、テイカーさん!』


と思いつつも、僕は、


「まぁ、ライト兄さんは腕っぷしは弱いけど、知力も実力のうちとすれば、なかなかの強者だと…」


と苦しいアシストをしていたのであるが、バルディオさんは、


「う~ん、イデアの相手には腕っぷしより中身がしっかりした人が良いのですがね…まぁ、あんなガサツな娘を好いてくれて大事にしてくれるのならば、親としては誰でも…しかし…アレを旦那様に押し付けるには少々娘は歳を食い過ぎておりますが、テイカー殿はどうですかな?」


などと、テイカーさんにイデアさんを勧めてくるのである。


『おいっ、バルディオさん!』


と焦る僕であったが、テイカーさんは、プルプルと首をふり、


「滅相もない、イデアさんと私ではイデアさんが可哀想ですし、妻はもう懲り懲りですよ…」


などと、バルディオさんに自分が商いに失敗して借金まみれになった瞬間に数少ない金目の物と共に消えた元妻の話をしていたのであった。



読んでいただき有り難うございます。


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