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修復ギフト持ちの貴族の息子でしたが追放されました  作者: ヒコしろう


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第68話 悩みの先に

季節は冬本番、寒さも気にならないのかイデアさんの送り迎えでやる気も十分なライト兄さんは、毎日嬉しそうに我が家にやって来て、人に対して使える魔力供給魔道具について、ラベル先生と僕という三人で頭をひねっているのである。


三人寄れば文殊の知恵だが、錬金術の書物の全てを記憶しているかのようなライト兄さんと、修復師として国から指導を任されているエリート修復師と、前世の記憶からアイデアを出せる僕となれば、若干僕だけ威力が弱くとも、スーパー文殊の知恵と言っても過言ではない…筈である。


この三人で知恵を出しあった結果として、魔石から魔力の抽出は現行の魔道具にて可能であり、それを所定の位置に流す事も回路の応用で可能であるのだが、しかし、【魔力を人体に吸収させる】という所で足踏みをしているのである。


ライト兄さんは、


「闇魔術を解析した古の賢者が他者から魔力を抜き取り自分の物にするドレインの魔法を解析してくれていればなぁ…魔術回路として何とか出来ただろうけど…」


と軽く飽きてしまったのか次なる一手を考えながら子供達と庭先で雪遊びをしているイデアさんを見つめており、この発明が形にならないと国王陛下の期待にこたえる事が難しいラベル先生が、


「リペアの魔法は光属性の魔法と言われておりますので、ゴーレムコアの魔力充填の様に我輩に魔石から取り出した魔力をゴーレム用の土魔法属性でなく光属性に変えて浴びせてみてくだされ!」


などと焦って、かなりとち狂った提案をしているのを僕が、


「ゴーレムコアには魔力吸収の機能が基本でついているから出来ますが、ラベル先生にはその機能がないから困っているんですよ…」


と彼を一旦落ち着かせ、メリーさんに、


「ゴメンだけどお茶のおかわりと甘いお茶菓子をお願いできますか?」


と、気分転換のティータイムをお願いしたのであった。


メリーさんは、


「坊っちゃまは昔から根を詰めすぎる癖がありますからと、爺やのベックさんが良く気にされておりましたが…なにやら難しいそうなお話をされておりますのでメリーでは何のお力にもなれそうにありませんからね…なので、美味しお茶とお菓子だけはご用意しておりますので…」


と、毎日の様に「う~ん…」と唸っている僕の力に成れない事に、少しいじけている様子なので、僕は、


「メリーさんのお茶があるから助かってるよ…難しい話って言ってるけど、魔道具みたいに人に魔石から魔力ひきだして『魔力が少なくても魔法ギフトがバンバン使える様にならないかな?』って話をしてるだけだよ」


と、メリーさんに分かりやすく説明してあげると、彼女は、


「あぁ、お屋敷の料理人だったダグさんみたいな水魔法ギフトが有っても水を操る基本の魔法しか使えない方用の…」


と納得し、メリーさんはラベル先生のお茶のおかわりを注いだのちに、


「そう言えば、メリーは昔から不思議に思っておりましたが、学生時代の魔法が使える友人は立派な杖の先から魔法を放ち、ダクさんは銀のスプーンなんかを杖代わりにして水を操り皿を洗って、お坊ちゃまは手から魔法を…魔法とは人のどの辺りで作られているのかと…」


と、頬に指をあてて小首を傾げているのを見たラベル先生は、


「うぉっほん、では美味しお茶のお礼に我輩がメリー殿にギフトによる魔法が発動する流れをお教え致しましょう!」


と暗礁に乗り上げていた問題から一旦離れるべく、自信満々の講義を始めてくれたのであるが、


『体内の魔力を使いギフトという魂に刻まれた見えない回路の様な物で魔力から魔法に変える』


というプロセスを説明してもらった、メリーさんは、


「はい、学校でそこまでは習いましたが…私は専門学科が商人などが計算や馬車の運転を習うクラスでしたので、例えば体で作られた火魔法の火の玉が、どの段階から熱いのかと…」


と、ラベル先生の講義を、


『知ってますが…』


と切り捨て、ラベル先生は、


「そ、そうでしたか…」


と少し元気が失くなり、立ち上がり説明していたのを音もなく椅子にゆっくり座り、ズズッとお茶を飲み始めてしまってしまい、


『あっ、マズい…ラベル先生のやる気スイッチが!』


と焦った僕は、


「た、確かに…僕のリペアの魔法は熱いとか寒いは無いから気にしなかっけど、火の魔法なんて手から出したら自分が火傷しそうだしね…ねっ、ラベル先生!?」


と、話を振るとラベル先生は少しいじけながら、


「あれは見えない魔方陣を体や杖の先など離れた場所に出すイメージを繰り返し練習するらしい…リペアの魔法は直したい対象を見つめる事でその場所に魔法が作用するので、幼い頃より無意識に行っているらしいから我輩は訓練をした事が無いが…」


と言った所で、僕は、


『う~ん…何か掴めそうだ…』


と、ぼんやりした光が見えた程度だったが、ライト兄さんその台詞を聞いた瞬間に、


「あっ!」


と、とある事を閃いたらしく、


「発動遅延の魔術回路だ!」


と叫んで飛び上がり、メリーさんがビックリしているのに気づいたライト兄さんは、


「これは失礼しました」


と、彼女にペコリと頭を下げたのちに、まだピンと来ていない僕たちに、


「回路のスタート地点に魔力を充填させようとするから行き詰まってたんだよ!」


とキラッキラの眩しい笑顔で語り始め、


「色んな回路の指令を纏めて発動させる技術は古の賢者が発明した集団魔法や合成魔法という複数人で行う魔法を参考にしているんだ…」


と、歩く図書館的なライト兄さんの知識を聞いた時にようやく、僕もだがラベル先生も行き詰まっていた問題の扉の先がハッキリ見えたらしく、二人して、


「人と魔術回路による合体魔法か!」


と顔を見合せ、ラベル先生は興奮気味に、


「ライト殿…これが完成すれば世界がひっくり返る大発明ですぞ!」


と騒ぎ、ライト兄さんは、


「いやラベルさんの知識と、ジョンのアイデアと…今回はメリーさんからのアシストが有ったからたどり着けた答えです…」


と喜び、メリーさんは事態が掴めず、


「へっ?」


といった感じでキョトンとしているのだが、僕が、


「メリーさん大手柄だよ。 このまま装置が完成したらメリーさんの名前も共同研究者の欄にのせないとな…」


というと、メリーさんはようやくピンと来たのか、


「えっ!」


と驚き、ラベル先生は、


「我輩は既に美味しお茶の提供により研究をサポートして頂いていたので研究助手として記載する予定でしたが…これはメリー殿も並んで研究者の枠に入って頂ける様に完成を目指しますぞ!」


とやる気が戻ったご様子で、四人で居間でキャッキャと騒いでいると、僕たちの邪魔にならない様に庭で子供達と遊んでくれていたイデアさん達が、


「体が冷えちゃったから皆で暖炉で暖まるよぉ~」


と帰って来たのを、ソワソワと目で追っているライト兄さんに、僕は小声で、


「イデアさんの事…気になります?」


と意地の悪い質問をすると、彼は真っ赤になり、


「な、何故それを!」


と驚くが、ライト兄さん以外の研究メンバーは、爺さんと婆さんと人生2周目である。


『いや、バレていないと思ってたのか!?』


という反応であり、ラベル先生は、


「やらぬ後悔よりやる後悔じゃぞ…」


と、目を閉じながら静かに諭し、メリーさんも、


「そうですよ…掴めるか掴めないかより、後になって掴もうとしなかった自分が憎く感じる前に…」


と、過去を振り返りライト兄さんにアドバイスを送っているのであった。


ライト兄さんは二人の言葉で奮い立ったのか、


「この魔道具が完成したら…」


と何やら決意した様子なので、


『これは兄弟子の恋のサポートを僕もしてやるか…』


となり、暖炉の前で子供達と暖まっているイデアさんに、


「ねぇ、イデアさんってどんな男性がタイプ?」


と質問すると、


「えっ、主殿…急に何ですか?」


と彼女は焦るのだが、ベルを含む女の子三人に、


「え~、聞きたい、聞きたい」

「イデアお姉さん綺麗だもん」

「どんな男の人がタイプなの?」


などと言われたイデアさんは、恥ずかしそうに、


「あまり考えた事はありませんでしたが…あえて言うと…父より強い男性ですかね…」


などと言った瞬間に、男の子チームの三人から、


「イデア姉ちゃん…それは…」

「姉ちゃんより強い人でも難しいのに…」

「バルディオさんには…」


と、呆れてしまっていたのであった。


『ゴメンよライト兄さん…この恋はどうやら難しいそうです…』



読んでいただき有り難うございます。


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