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修復ギフト持ちの貴族の息子でしたが追放されました  作者: ヒコしろう


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第53話 ソロでボスを

マーチンの町で一泊して翌日の昼過ぎに出る定期馬車に乗り、馬車の中でケント君のママの屋台で購入した丁度シーズンの走りとなるグラーナの唐揚げを広げ、ゴンザさんと、


「マーチンの鍛冶屋の親父さんも弟子と聞きましたが?」


などと、楽しくお喋りしながらタンカランの村へ早朝到着したのだが、どうやらマーチンの鍛冶屋の親父さんがキミーさんの元旦那さんではないらしく、たしか親父さんも、


「キミーの姉さん…」


などと言っていたので、あの親父さんの兄弟子の方が旦那さんだったらしいのであるが、僕が生まれた町にはドワーフ族は住んでおらず、他の種族というのは冒険者として獣人族の方がたまにいるぐらいであり、本でしか知らなかったのである。


たしか資料にはヒト族より寿命はかなり長く300歳近く生きる人もいるらしいのだが、お酒で体を壊し早死にする者も多いが『酒こそ人生』という考え方が根強くそれでも200歳ほど生きる種族らしい…


『という事は、キミーさんの元旦那さんもだが、ご本人もかなり高齢なのでは…』


という答えに辿り着き、


『キミーさんが、年より若く見えるとかより、ほとんどオッサンに見えるのがな…しかし、ドワーフ族かぁ…読んだ本だけでは分からない事が沢山あるんだなぁ~』


と、絶対にキミーさんには聞かせられない事を思いながら、タンカランのギルド宿にチェックインしてから冒険者ギルドの支店長さんに、


「今日は休みますが、明日から本格的に攻略してきますね。 ボスを倒せたらマーチンの冒険者ギルドに報告して欲しいとギルドマスターさんから言伝てを…」


と業務連絡を済ませた翌朝、ゴンザさんからオーダーメイド装備の完成までの繋ぎでもらった魔鉱鉄の装備を身に纏い、マジックバックには食料に生活魔道具などを詰め込んだ僕たちが、タンカランダンジョンへと向かったのだった。


中級ダンジョンならば十階層毎にボスが配置され、それらを倒すとメダルが手に入り、そのメダルを使うと地上の転移陣からメダルを手に入れた階層までひとっ飛びらしいのであるが、初級ダンジョンであるタンカランではボス部屋の奥の扉の先にある転移陣部屋から地上へ帰れるだけであり、ボスに会うには再び一階層から向かうしかないのである。


しかし、装備の為の鉱石の採掘はもう必要なく、途中の敵も邪魔ならば新たに手にした魔鉱鉄の武器でサクッと倒して進んで行く…ちなみにベルはメイスからゴンザさんのアドバイス通りにガードは籠手に任せて大型のナイフ二刀流でスピード重視の戦法と、魔道具の杖での遠距離攻撃を使い分け、リーグさんは魔鉱鉄の投げナイフがメインではあるが、新たに購入した魔鉱鉄のツルハシにダンジョン産の魔鉱鉄のスコップや魔道具の杖など臨機応変に使い分け僕たちのサポートをしてくれる。


そして僕は片手剣がメインではあるが、ゴンザさん曰く、


「どうせ武術の基本がないし、今から合う武器を探すのもありだな…」


というアドバイスとか以前の問題らしく、


「好きなのを使える様に練習しろ」


という指示で、僕のマジックバックにはオマケでもらった槍や弓に斧なども入ってはいるのであるが、


『使いこなせる自信が無い…』


というのが本音である。


鉱石の採掘をしないとなると、タンカランダンジョンは八階層までは楽に進め、八階層ですら冒険者の目がなくなる為に秘密兵器のバーストシリーズのお陰で問題なく進める。


しかし、数に限りのあるバーストショットとバーストライフルの弾丸の修復作業でリペアの魔法を使いながら、


『あぁ、前回はこの弾丸修復の後でゴーレムコアを修復したから魔力切れになりかけたのかも…だったらダンジョンに潜らなかった日なら安全に1個ぐらいなら直せるのでは…』


と、あれ依頼ちょっぴり怖くて修復していなかったゴーレムコアについて、


『イケそうな壊れ方のが二つあるし、この後で下の階層でロックマンを倒せば…フッフッフ…笑いが止まりませんな…』


と、僕は取らぬ狸の皮算用をしながらニヤニヤとダンジョンを進み続けるのであった。


九階層ではノロマなロックマン君を練習相手にベルは二刀流の稽古に励み、リーグさんはロックマンの岩の体にウォーターショットの魔道具の杖にてベルのサポートをしているのを、


「あぁ、リーグさんって、ロックリザードの時もあの魔道具の杖を持って行ってたけど、濡らして土素材の間接やらを脆くしてたのか…」


と、横目で確認して感心しながらも、上の八階層で沢山手に入れたアイアンアントの顎をバーストランチャーに詰め込んでスタンバイさせたまま、弓や斧を軽く使ってみるが、結局は、


『はいはい、無理です』


と諦めて、


『ランチャーでボカンといってみよう!』


という選択肢に辿り着き、ロックマン君を貫いて変形したアイアンアントの顎を、


『これは修復するか…面倒臭いけど地上のギルドカウンターで見せなきゃダメだし、変形した理由を聞かれたら更に面倒だからな…』


と考えながら、


『もう一回ぐらい飛ばせるかな?』


と、バーストランチャーに押し込んで、


『おっ、イケたんじゃない!?』


という作業を三回ほど繰り返すとアイアンアントの顎だった物は丁度良い具合の歪な鉄の塊となり、


「もうこれは提出せずに使おう…これならリペアは要らないモン」


と安心してブッ放せるランチャー用の鉄の弾丸を手に入れ、あとは、


『頼みますからゴーレムコアがひび割れ程度でドロップして下さい!』


と祈りながらバーストランチャーにてロックマン君を倒すだけとなったのだった。


そして九階層のロックマン君を殲滅させた後に十階層に降り、


『結局、2~3個しか直せそうなゴーレムコアは手に入らないな…』


と、ボス部屋前の待機場にて項垂れる僕の隣では、リーグさんに、


「初めは距離を取り首辺りにウォーターショットを何発か当てると、ロックリザードは水を固い皮膚の溝の部分に蓄える習性から溝が失くなったように見えますから、そうなれば膨らんだ溝だった部分が柔らかい弱点になりますから…」


とレクチャーを受けたベルが、


「うん、わかった!」


と、軽いノリでボス部屋へと入って行く、


『僕より確実に強いけど、まだ十歳のギフトを貰う前の女の子だよ…先にお兄ちゃんの勇姿を見せるべきだよな…』


とは思うが、ベルを送り出したリーグさんまで、


「ベルちゃんはあれで大丈夫ですが、あとは旦那様ですね…」


と…


『いや、一応これでもCランク冒険者ですよ…』


とは思う反面、


『ですよねぇ~』


と、冷静に判断して不安しかない自分が居るのも確かであり、リーグさんは、


「旦那様…自分の予想ではウォーターショットの杖で柔らかくした後に、弾を籠める作業を諦めてバーストシリーズを全部を射ち切れば多分倒せるかと…それで倒せなかった場合は相手が弱っているうちにコレを…」


と、魔鉱鉄のツルハシを渡してきて、


「尻尾が一番の武器ですので軽く体を捻ったら回避の準備を…」


と、リーグさんはベルの時より真剣にアドバイスを…


『うん、ありがとう…でもその必死さが僕の弱さを物語っていて、メンタル的に既に貫通ダメージが…』


と思えるアドバイスを受けているとボス部屋の鍵が開き、扉を押し開けたベルから、


「お兄ちゃん、リーグおじちゃん。 宝箱チェックするよぉ~!」


という元気な声が響き、


『ボスのリポップまで数時間あるな…宝箱チェックが終わったら、僕の番が来るまで装備チェックを完璧にしてからイメージトレーニングだな…』


と、変な緊張の中で既にドキドキしながら前回も地上に上がる為に入って通過したボス部屋にて、


『何時間かしたらここで…』


と、今になり


『皆で入らない? ロックリザードって図鑑でも見たことないし…』


弱気になってしまうが、既にクリアしたベルの手前、お兄ちゃんとしてパスは出来ない事を自分に言い聞かせる僕であった。



読んでいただき有り難うございます。


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