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修復ギフト持ちの貴族の息子でしたが追放されました  作者: ヒコしろう


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第146話 反撃準備

コーチャーより届けられたポーションと治癒師のシスターさんの頑張りにより怪我人達は命に関わる状態の者はいなくなったのであるが、前線に復帰するにはまだまだ掛かる状態の者が多く、中には傷が完璧に癒えたとしても手や足を失った狩人達の復帰は絶望的であり、それは狩った魔物の素材で稼ぐ森の民としては死を宣告されたにも等しい…しかしサイ顔のダダンさんは片腕になりながらも、


「オレの右腕を食いちぎった地竜のヤツに一撃を入れないと森の民の男として死んでも死にきれない…」


と闘志を燃やしているのであった。


さて、この森の民のメイン集落には今、近隣の集落から戦える者達を集めたガルバさん率いる森の民の狩人達、そしてコーチャー騎士団という戦いの専門家と、クリスト様率いるカサール建設のメンバーというパッと見は一般の建設業者であるが、彼らはゴーレムマスターであるクリスト様と建設用とはいえ軍用であるパンチャーゴーレムの技術を流用した建設用ゴーレム乗りと、国一番の土魔法師の師弟コンビであるゼルエルガさんとカイン様という下手な騎士団なんか蹴散らしてしまう戦力を持っているのである。


それとコーチャー騎士団の方々はこの戦いに参加するもう一つの理由として、ロイド君がニルバ王国に居るパパから、


「惚れた女性の住む町の隣で暴れる魔物を友であるジョン殿がなんとかしようとしているなら近くで知恵を出すだけでもするべきだから…」


と、通信魔道具にて言われたそうで、国王陛下から任命された騎士団数名と、


【ニルバ王国とコーチャー王国の騎士団の合同作戦】


という側面があるからである。


森の民の長としてのガルバさんは、


「森の民のプライドとしてこの戦いは我々が…」


という願いがある為に、森の民の方々が地竜のボスを倒す為に、ダダンさん達の集落をコーチャー騎士団とカサール建設メンバーが中心となり奪還してから、そこを拠点に敵の様子を探りカサール建設が集落を建て直した後に、魔鉱鉄の装備を配った森の民の皆さんと共に僕たちも参戦するという作戦となった。


森の民としては壊されたその集落を一旦放棄する案も有ったのであるが、地竜の集まる温泉地帯の近くという事もあり、ロイド君やコーチャー騎士団の意見として、


「地竜の生息地域となればスタンピードの発生地となる可能性が高い場所であるからキッチリ整備して今後協力して時折間引く様にして行きたいので…」


という事で、翌日の早朝より作戦が開始したのであった。


片腕のダダンさんや傷が癒えて戦える様になった数名の方々が案内役となり自分達が住んでいた地竜の群れに荒らされた集落を目指しながら森を進み、気配察知ギフトや聴覚強化ギフトなど感知系ギフトのメンバーの協力で全員無事に集落まで到着したのであるが、予想以上に集落はこの2日程で完全に壊されており、家畜に冬の為に蓄えていた食料、そしてあの時まだ戦う力の無い子供達を逃がす為に散った戦士達の亡骸すら跡形もなくなっており、自分の右腕を失くしても涙を流さなかったダダンさんは、


「畜生…これじゃあ地竜の奴らを倒してハラワタを引きずり出さないと仲間を弔ってやれもしない…」


と涙で地面を濡らしている。


しかし、ガルバさんは涙を流すダダンさんの肩にポンと手を置き、


「ならば地竜の奴らを倒して皆を弔ってやるだけだろ…」


というと、森の民の狩人達に、


「ここは奴らの餌さ場になっているはずだ! 辺りの警戒を怠るな」


と指示を出し、続いてカサール建設のメンバーに、


「では、お願いします」


と集落の守りを固める作業をお願いすると、クリスト様は、


「任されよ」


とガルバさんの願いに応えて、カサールの町から来てくれている仲間に、


「さぁ、やりますよ!」


と合図を出すと、マジックバッグを構えた親方さん達の前に建設用ゴーレム達が現れて、驚く森の民の皆さんに、


「少し道を空けてくんなよぉ~」


とコックピットに乗り込み拡声魔道具を使い道を空けてもうと工事作業を開始し、コーチャー騎士団はモリブ騎士団長さんの指示で、


「では、拠点となるテント設営は我々コーチャー騎士団が行う!」


と、それぞれの作業を開始してくれたのであった。


ちなみにこの集落奪還作戦において僕たちはゼルエルガさんとカイン様のストーンウォール班の警護と二人が使う魔石の運搬役がメインであり、ロイド君とルベールさんはこの作戦のニルバ王国サイドの責任者として王都との連絡を担っている。


そして、皆さんの頑張りによりその日の夕暮れまでに突貫工事だが四方を掘と石壁に囲まれ、土運搬用のゴーレムが門がわりに出入口を塞ぐ要塞のような集落が出来上がり、地竜の生息地に攻め込む為の前線基地となった。


しかし、やはり人や家畜が群れていた【良い餌さ場】として知恵が回る地竜のボスはこの集落を認識しているらしく、再び人が帰ってきたこの集落にその日の夜に部下を数頭差し向けてきたのである。


地竜サイドのあまりの行動の早さに、


『作業で疲れて休む所を狙って来たのか?』


と、相手のボスの知能の高さが垣間見えて少し、


『本当に魔物か…』


などと不安になるが、此方には地竜の腹をかっさばきたくてウズウズしている森の民の狩人達が手ぐすねをひいて待っており、石壁の上からの弓矢による攻撃と石壁と掘により地竜達が集落に攻め込めずにもたついている隙に、建設用ゴーレムチームの魔石ライトによる目眩ましの光で、怯んだ地竜はショベルゴーレムからの重たい一撃を食らいふらつくと、サポートのコーチャー騎士団の出番を待つ暇もなく左手一本で槍を構えて突撃するダダンさん達の怒りの一撃を受けて一頭が大地に沈み、


「昼間はあまり見せ場がなかったからな…」


と言いながら、前線にてクリスト様がゴーレムコアを使い産み出したノーマルゴーレムに、


「いけ!」


と指示を出すと、ゴーレムはクリスト様のイメージ通りに動き地竜の一頭を押さえ込むと、暴れ足りないガルバさん達が身動きが取れない地竜を取り囲み攻撃を加えて撃破すると、他の地竜達は夜の闇の中に消えて行ったのであった。


「う~ん…僕の出番なんて無かったな…」


などと呟きながら完全に出遅れた僕の隣でアル君が暗視ギフトを全開にして逃げ帰る地竜の足取りを追い、


「真っ直ぐこっちの方角に向かった後に、右手の山の方に入って行きました」


と、おおよその寝ぐらを壁の上から確認するとダダンさん達は、


「左手の山の奥にある温泉地帯ではなくて右手の沼地にか!?」


と、驚きながらもアル君に、


「ありがとう、普通なら冬の寒さを嫌がり温泉地帯の地熱で体を暖めていると踏んで左手の山に向かい背後を取られるか、裏をかかれて分断させられる所だったぜ…」


と感謝していたのであるが、これで敵のボスは確実に戦略を練るタイプというのがハッキリと理解できた僕たちは、


「裏をかかれてメイン集落が襲われてもバカらしいから、こちらから仕掛けるか…」


と、倒した地竜を回収した後に、ニルバ王国側の大将であるロイド君に、


「ロイド君が敵の大将なら何をされるのが一番嫌だと思う?」


と尋ねるとロイド君はピュアピュアだった昔の彼からは考えられない程に、守るべき者を守る為には鬼にでもなれるようで、


「ワグナの町でジョン君がしたみたいにリーダーだけを狙ってタコ殴りにしたら私が敵の大将なら勘弁して欲しいと思うね…あの時みたいに大将だけを陰湿に殴り続けたら他の手下が泣いて謝るんじゃないかな?」


と言ったのであった。


『いや、陰湿にって…』


とは思うが、確かに普通の地竜の群れならばこんなにも統率された動きはしないのだろう…そして、ボスのみを狙うと決めた悪い笑顔のロイド君は王都から派遣された騎士の一人を呼び出して、


「実は彼、新型ゴーレム騎士団の一人でジョン君がジェロニモ号をマジックバッグに入れて持ち歩いている報告をしたら新たにマジックバッグで王都で作った新型ゴーレムを所持して各地に派遣される特殊部隊が創設されて、その部隊のリーダーに抜擢されたのがこのローエン部隊長さんなんだよ」


と紹介してくれるとその騎士団のローエンさんとやらは僕に、


「ジョン殿のおかげでゴーレム騎士団に配属となり、ゴーレム遊撃遊撃部隊長の任まで賜れました」


と何だかヤル気に満ち溢れており、


「いやいや、僕のおかげではないでしょ…」


と少し引いている僕など無視で、


「騎士団の中で出世も出来ずに燻っておりましたが、ジョン殿が設計に携わったパンチャーゴーレムに始まり、改良型やカサールタイプなど次々と…ゴーレムに乗る才能だけは有ったらしい自分はようやく花形のゴーレム騎士団に配属となり、今は部隊長として…」


などと、涙を流しながら語り続けているので、僕はロイド君に、


「ねぇ、ローエン部隊長さんにその話って後にして貰えないか聞いてくれる?」


とコッソリお願いしたのであった。



読んでいただき有り難うございます。


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