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修復ギフト持ちの貴族の息子でしたが追放されました  作者: ヒコしろう


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第105話 あの日のお礼に

夏の終わり頃、僕が国王陛下におねだりした学校を作る為に半月程前に王都から学校関係の方々がカサール子爵家へ到着した。


彼らは近隣の子供達の学力に合わせた平民主体の学校を作り、成績優秀者や将来有望なギフトの若者には学費を国が出して王都の学校に編入させるという計画もあるらしく、早速、カサール子爵領の10歳から15歳の貴族や金持ちな商人の子供なら学校に通っている年齢の子供達の識字率や計算能力を調べに向かい、その報告会に何故か僕までカサール子爵様に、


「ほれ、ジョン殿が陛下にお願いした学校についてだから…」


と、難しい会議に呼び出されてしまっているのである。


『もう…ウチの子供達に学校を卒業したっていう事で人生の選択肢を広げたかっただけだから、良い感じに進学試験と卒業試験の範囲だけ聞けたら、ウチ子供達ならニルバ王国の歴史以外の勉強なら同じ年齢の子供に負けないし、歴史の勉強だけしてチャチャっと試験だけ受けさせてもらえれば…』


なんて気楽に考えていたのであるが、しかし、この会議の席で僕は、カサール子爵領に新しく作る学校の校長に選ばれたローデンさんという立派な髭を生やしオデコ辺りの過疎化が深刻で見ているコッチが心配になりそうな男性に、ガン見されながら、


「会議を始める前に…ジョン殿…」


と、神妙な顔で切り出され、ローデンさんが一緒に来た教師の方の一人に、


「アレを…」


というと、ドンと机の上に凄く見覚えのあるリント王国文字とニルバ王国文字を覚える為にマルダートからカサールまでの道中の村でジル君とチル君兄弟に作った文字カルタ風の物を広げたので、僕はそれを手に取り確かめると、


「あっ、やっぱりそうだ…チル君の絵だ!」


と、あの時のお絵かきクイズ大会の時のチル君の絵のタッチと、あの時のカルタではなく同じ様な新しいこのカルタ作る人物を考えた結果、あの親子の作品だと確信した僕は、そのカルタの絵札を見ながら、


「へぇ~、また絵が上手になったな…ウチの子供達の獣人族とドワーフ族の文字も一緒に覚えれる4種族文字カルタの絵を依頼しちゃおうかな…」


などと感心していると、ローデンさんは少し怖い顔で、


「やはり…これを作っていた少年達からジョンお兄さんなる名前がでておりまして…」


と言ったあとで、ローデンさんは深々と頭を下げて、


「この商品を子供達の為に国で大々的に作る事をお許し願えませんでしょうか!」


と、僕に言ってくるので、


「いや、それはあのジル君親子にプレゼントした物ですから僕に言われましても…」


とジル君達に言って欲しいと伝えたのであるが、ローデンさんと部下の先生達まで、


「いや、少年達が言うのに『これはジョンお兄さんの発明だから…』と…ですので…」


と、続けて頭を下げてくるので、結局凄く久しぶりとなるジル君とチル君のお家を王都から派遣された先生達と一緒に訪ねる事になったのである。


会議から数日後、僕らはカサール子爵家が出してくれた馬車にてカサール子爵様の領地となった際に、大地主として皆が頼っていた果樹園や畑の持ち主であるマークさんを村長として正式に任命し、【マーク村】と呼ばれる様になった戦争中に自然発生的に出来たジル君達の村に向うその道中で、ローデンさんが僕に、


「学校に通う年齢の平民の子供が文字を読み書き出来る事は見習い商人など必要だからであり、入学前の年齢の子供が文字の読み書きが出来るなど…しかし、カサール子爵領ではその様な子供が多く、カサールの新町の子供などは計算まで王都の学生並…いやそれ以上でして…」


などと熱く語ってくれたのであるが、会議の結果やその後の調査の結果をまとめた資料を馬車の中で広げて、僕に説明してくれるものだから、


『こんな事ならクリスト様とゼルエルガさんの乗る馬車に乗せてもらうべきだったかな?』


などと馬車の中で細かい文字を見せられて既に乗り物酔い気味の僕は、


『でも、アッチのラブラブ馬車は違うモノにあてられて酔いそうだからな…』


と、結局逃げ場のない乗り物酔い地獄に、


『ウチも幌馬車を出すって言ったらクリスト様が、騎士団の箱馬車を出してくれてローデンさん達と相乗りになったから自家用の箱馬車でも作れば良かったのか…これは…』


などと今さらながらに乗り物酔いから気を散らす為に、様々な事を考えているうちに、騎士団の方々に護衛された馬車の列は目的地のマーク村に到着し、


『思いの外早く着いて良かった…あと一時間しないうちにローデンさんの資料を僕が美味しくいただいたご飯達の変わり果てた姿で台無しにする自信があったから…』


と、少し青白い顔で馬車を降りた僕であったのだが、次の瞬間、


「本当にジョンさんだ!」

「元気だった!?」


と、以前より成長してはいたが忘れもしない追放されて困っていた時の一宿一飯の恩人であるジル君とチル君の兄弟が僕に駆け寄り、そして、ヒシッと元気よく抱きついて来てくれたのである。


しかし、感動の再会であるが彼らが抱きついた時の衝撃と、懐かしさから力の籠るジル君の締め付けにより乗り物酔い中の僕は、


『ゴメン…胃の辺りを圧迫しないで…お願い…』


と、何かとは言わないが感動よりももっと強い何かがこみ上げ、危うく一宿一飯の恩人に一食分を返還するところであったのだ。


溢れ出すナニかをグッと堪えて、少し涙を流す僕は、ジル君達に、


「大きくなったね…」


とだけ伝えると、ジル君は、


「お兄さんのおかげで父さんの書いた狩りの極意を全部覚えたんだ…今では昔マルダートの町に居た頃の父さんみたいに狩った獲物の肉で母さんに楽をさせれる様に…」


と涙を流し、弟のチル君も、


「ボクもホーンラビットを狩れる様になったんだよ…凄いでしょ」


と、前はお兄ちゃんの狩りについて行く事すら出来なかったが、自分一人で罠を仕掛けて獲物を狩れた事をニコニコ笑顔で報告してくれ、何とか感動の再会を無事に果たす事が出来たのであった。


その後、村長さんであるマークさんの家にて文字カルタについての話し合いを行ったのであるが、ジル君ご一家は、


「あれはジョン君の発明ですので…」


と言って、僕が、


「いや、プレゼントした物だから…」


と言っても聞き入れてくれずで、ローデンさん達教師陣は文字カルタを低学年の教材や知育玩具として広めたいのだが、文字カルタの権利が宙ぶらりんな為に話が進まないのである。


結局はクリスト様にお願いする形となり、ジル君一家は文字カルタの権利をカサール子爵家に献上し、そして、僕からは文字カルタをマーク村の特産品として暫くは独占的に生産して稼いだお金を村の発展に役立ててもらう様にカサール子爵家にお願いし、カサール子爵家は、大事な領内の産業を守る為にマーク村を愛しのゼルエルガさんの土魔法と土木作業用ゴーレムにて魔物や盗賊の被害から守る為の壁を作るという事で話がつき、ジル君ママが文字カルタの作成アドバイザーとしてカサール子爵家に雇われる形で方々丸く収まったのであった。


『これで、力も必要ない文字カルタ作りで村の女性陣の冬場の手仕事は完璧だし、ジル君ママもアドバイザーとして給料がカサール子爵家から出る…チル君も専属デザイナーとしてカルタに使う原画を描いたらお小遣いが貰えるな…』


となれば頑張って猟師を継いだジル君だけが可哀想なので、


『良かった…追放されてお金は勿論、食べる事も難しかったあの時に罠の事を教えてくれたお礼に色々持って来ておいて…』


と、ダンジョン産のマジックバックが手に入った為に魔道具のマジックバックの出番が無くなっていたので、


『狩りに使えるだろうからジル君にあげよう』


と持ってきており、


『カバンだけだとなぁ…』


と、中にはあのお婆さんの店で購入して修復したプレゼントも忍ばせてある。


たとえば、リーグさんの気配消しが付与された魔合金の鎧の上位互換である【エルフ族の帽子】なる古代エルフ族の技術で作られた気配を消して獲物に気付かれ難くするマジックアイテムや、【豪腕の腕輪】という腕力を上げる古代ドワーフ族の魔合金製の腕輪など我が家の倉庫にあるダブっていた便利アイテムを修復し、あの時にグロースの町のゴミ置き場から大量に回収した壊れかけの武器の中でも良さそうな物を何点か、解体用ナイフや罠にかかった獲物のトドメ用の槍など見繕って修復した物をジル君に、


「狩りに使って」


と渡す事が出来たのであった。


『やっと恩返しが出来たかな…』


 

読んでいただき有り難うございます。


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