表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

言葉を話せる魔物は平和を祈る

掲載日:2025/10/19

魔物と人、仲良くできたらいいのになあ。


考えることが好きな異端者狩り(召喚された元高校生)と、『人の言葉』を話せる魔物の少女の話です。

今朝も、聖女は聖堂で祈る。

亡くなった人たちの、安らかな眠り。

生きている人たちの、楽しい生活。

そして、それらは、『魔物』たちにも。


『魔物の聖女』

俺の前で祈る、あの聖女は、『魔物』の少女で、『唯一ヒトの言葉を話せる』魔物なのだ。




「終わったか?」

立ち上がった彼女に、俺は聞く。

「はい、終わりました。ありがとうございました」

聖女は微笑む。

…ヒトの顔をし、ヒトの姿をしている。それが、正直、よかった、と思う。角があるだけ、あとは俺たちと同じ。

「魔物とヒトが仲良くなることは不可能だと思うんだが」

なんとなく、聞いてみる。


暇だったのだ。


高校生だったのに、召喚され、「異端者狩りをしろ」と、王様に言われ。

本もなしに数日経ち。

活字中毒の俺には、暇すぎて仕方ないのだ。


『異端者狩り』


『異端者狩り』と聞いて、「チート能力もなしに」と思ったが、俺の場合、違うらしい。


この少女、『唯一ヒトの言葉を話せる魔物』が暴れださないか見張れ、ということらしい。

チートもなしにか? 魔法も使えないのに?

渡されたのは剣だけ。

この少女は力は少し強いだけ。

いや、知らんし。安全をくれ。


てか、そんなことで召喚するなよ、とも思った。読みかけの本があったのに。

『魔物側じゃなくヒト側でもない』、中立的なヒトが必要だったらしい。


皆、この少女の扱いに困っているらしい。


「俺の世界では、魔物と人類が戦うのが当たり前だったんだ。ああ、作品な、作品。現実にはいなかったが」

「それは、理解がなかったからです」

「理解、理解ときたか。哲学は好きだぞ」

本が好きなのも考えるのが好きだからだし。いいよな、無知の知、ソクラテス。カントは、経験論だったか? 孟子や孔子も哲学者に含めるのは、どうかと思うが。

「人間は、魔物のことを理解することができません。言葉が通じないからです」

牛や犬を理解できないのと同じか。

「そして、襲ってくる人間を、魔物は理解することができません。なぜ、ただ生きてるだけなのに襲ってくるのか。わかりません」

そりゃ、できないな。いきなり歩いていたら襲われて、理解できないし、理解したくもない。

やり返せ、だ。

「戦争と同じだな」

「魔物と人類の戦争です」

「なるほど。

じゃあ、理解は無理だろ。どっちかが支配しないと」

スペインとアステカ、だったか? どうだったかな?どちらかが優しくしても、支配がないと、平和にはならない。支配か、仲直りか、か。

「けど、私は、ヒトの言葉を話せます。

魔物の心を理解する私が、ヒトと同じ言葉を話せるのです」

「ふむ」

「本当は、魔物は戦いをしたくありません。ただ、生きてるだけで、平和に生きたいだけなのです。

それをヒト側がわかれば、この世界から戦いはなくなるのです」

強い目。

確かに、理解はできる。

困る訳だ。前例もなさそうだし。




「俺が異端者狩りじゃなければな」

呟く。

狩ってないのに、狩り?

異端者狩人の方が、まあ、いっか。

「ありがとうございます。

でも、そんなこと言ったら危ないですよ?」

「はあ。

2人でよかった。いや、1人と1体か」

俺らは笑いあった。

平和に。




世界から事件や戦争がなくればいいのになぁ。


読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ