レア異能
「それは我の能力がお前の中にあるからだ」
俺は声のする方を見たがそこには誰もいない。一体誰が俺に
「我だ我。魔王スペルタクス。我は貴様の中に入ったのだ」
......は?
「戸惑うのも無理はなかろう。普通の人間なら我という存在が体に入れば、人間如きなら消滅する。だが貴様の異能で我はこうして貴様の中にいることができる」
どういうつもりだ?俺の中に入って。まさかアルカナ同様復活するためのエネルギー源にする的な?
「我はアルカナとは違い消滅時に貴様の中に入った。ゆえに復活することはない。そして我の自我もじきに消えよう。今ある自我はもはや燃えかすといったところだ」
俺に能力を託して消えていたと思った魔王が俺に言う。
「今貴様に語りかけているのは貴様の異能のこと。そして我の能力について説明するためだ」
魔王が俺に語りかけ、一旦咳き込むと
「まず貴様は一見無能に思われるが無能ではない。貴様の本当の異能はどんな異能、能力にでも適応する異能だ」
俺の異能が適応する異能?だが
「俺がこの世界に転移してきた際鑑定してもらったが異能はないと言われたんだぞ?」
「それに関してはその鑑定をした奴の異能が弱いのもあると思うがまず貴様の異能は適応などではわからん。それが貴様の異能。鑑定をも拒否するまさにレア異能」
......それはレア異能と言っていいんだろうか?
「そんな異能だからこそアルカナは貴様に目をつけたんだろうな。協力をするふりをしてな」
俺があいつの異能、呪い喰いをうけるにはちょうどよかったわけだ。ある意味器としてよかったんだな。
「だがならなぜ俺の肉体を器にしなかったんだ?」
「しなかったんじゃない。できなかったのさ。正確に言うと呪い喰いは異能じゃない。言うなればあれもレア異能に入るがアルカナの能力ではないんだ。やつの能力は強奪とコピーだ」
アルカナの能力が強奪とコピー?何じゃそりゃ。
「やつが貴様の体にいた理由はそれもあるんだ。呪い喰いは前の勇者がもっていたもの。アルカナは前の勇者を殺している」
アルカナが前の勇者を?ちょっとまて。情報量が凄すぎて頭が
「すまないが悠長に話している暇はないんだ。ただこのことを我はコロックという人間に伝えてある。後我が魔族に近づけさせた人間の面倒も見ているからそいつも合流するだろう。今はとりあえず我の能力について喋る。我の能力、万能はあらゆることに対応し、その敵に応じた攻撃もできるまさに万能だ」
「万能ならなんでアルカナの能力で体に穴が空いて死んだんだ?お前は」
俺が魔王に聞くと魔王は少し間を置いてからまた喋りだした。




