死んだ者へ
コロックが俺たちの前から逃げた後ソウガが俺に
「イケてる男、コウタ。ザクトはどうだった?あいつはソウガがギルドに入る前、あんまり馴れ合いはしなかったがクマン以外に唯一認めていた男だ。一時期やつをギルドに連れて行こうと思っていたが奴は奴隷街でしたいことがあると言っていた。だからここにしばらく放置していたんだが」
ザクト。確かにあいつは思い込みが激しい奴だったし最初はかなりイラつく男とは思っていたが戦っていてよくわかった。あいつは自分の正義に忠実なだけ。そしてなぐりあいの果てに奴は相手を認めるか殺すかをするわけだ。他のやつからすれば迷惑の塊みたいなやつかもしれないが俺はあまり嫌いにはなれなかった。強いて言うなら嫌いよりじゃない嫌いで普通よりは下の方と言えばいいかな。
「そうだな。確かにザクトは面倒ではあったけど心底悪人だったというわけじゃないと俺は思うよ」
「そう言ってくれるとソウガ的にも嬉しい。あいつはソウガの親友とも言える男だったからね。ソウガはこれからザクトの残した子達の面倒とザクトの墓を作っておく。ここからはまた別行動だ」
ソウガが俺に言った後落ち込みながら俺の前から去っていく。
ソウガが俺たちの前から去った後、マリネットがゆっくりと肩の下からの体がなくなっているスクレンに近づき
「スクレン。あなたは、また、私を、守って」
「......キ、ニスル、ナ」
「コウタさん!スクレンがまだ!」
マリネットは俺に慌てていうと俺はスクレンに近づき
「スクレン!」
「フ、フフ。コンナ、ザマデ、スマナイナ。ドウヤラ、カミサマガ、ワタシニスコシ、ジカンヲ、クレル、ラシイ」
スクレンは俺の方に顔を向けながら言った後一息つき
「コウタ。キミニ、スベテ、マカセルヨウナコト、ニナッテ、スマナイ。ホンライナラ、ワタシモ、キョウリョク、シタカッタ。ダガ、ワタシモ、ブザマニ、スンデシマッ、タ。ヤクニタテナクテ、スマ、ナイ」
スクレンは最後にそれだけ言うとスクレンの体も白い粉へと変わっていく。こいつも異能のせいで体が残らないなんて。最悪じゃないか。
「これじゃ誰を恨めばいいかわからんな。アガベを恨めばいいのかゴヨーテを恨めばいいのやら」
「そう、ですね。誰を恨めばいいかはわかりません。でも私はこれから堂々としようと思います。私を助けてくれたスクレンのためにも私も皆さんを助けられるように尽くします」
マリネット。おまえは十分俺たちの助けになっているからそんなこと言うのは野暮ってもんさ。




