ソウガ
ソウガは自分の本当の名は知らない。ソウガはものごころついた頃には奴隷街で住んでいた。というか捨てられていた。最初の頃は捨てられたとは思っていなかった。ソウガは母親らしき人に名前は呼ばれたことはない。ただ必要とはされていたが捨てられることはないと確信していた。
なぜなら母親らしき人はソウガに食料を何度も求めていたから。母親らしき人は捨てられる前は家にこもりただ死んだように過ごしていた。だが急に暴れてソウガのことを殴る日もあった。ソウガはそれに対しても求められていると感じ何も思うことはなかった。これがきっと愛なんだ、と。そう本気で思っていた。だがソウガは捨てられた。それを自覚した瞬間、愛というものがわからなくなったし他人を信用することもできなくなった。
奴隷街に捨てられた日、やたらと綺麗な服を着た嫌味の塊みたいな男の人がソウガに話しかけてきた。
「君が彼女の言っていた子か。さぁ。今日からおじさんが君の親だ。君は殴られたり何をされたりしても嫌がらないんだろう?君の母親からきいてるよ。君みたいな子が欲しかったんだよ。君が欲しくて金を沢山やったら君のことを好きにしていいっていわれたんだ。さぁ。だからいこう?」
は?何言ってるんだこのおっさん。殴られても嫌がらない?嫌がるに決まってるだろ?愛があるから耐えてたんだよ。なんでお前にそんなこと言われないといけないんだ?それに私はお前みたいなやつから暴力は受けたくない。
「おかえりください。私は一人で生きます。ですから」
「はぁ?何言ってんだクソガキ」
当時の奴隷街は今の奴隷街より治安が悪く、城下町の治安もかなり悪かった。貴族も変な貴族がやたら多く人攫いもかなり横行していた。今になってあるラウンズや軍などもない。
「お前は私に買われたんだよ!だから黙ってついてこいや!」
嫌味な貴族に言われた瞬間私は貴族の顔面を殴り奴隷街の中を逃走した。幼少の私は小柄だから身軽ににげることができた。貴族はしばらく私を探していたが数時間私が見つからないことで痺れをきらし
「もういい。あのクソガキは諦める。ほかの奴隷を買った方が早い。ハズレを引いてしまったよほんと。まぁあの女にやった金ははした金。あの程度私の財産に比べれば大したことはない」
私は意外とやつの近くにいたのだがやつは私に気づかずに帰っていった。
私はこの時から一人で強く生きようと思った。そして自分に名前をつけた我が道を走るという感じにかっこいい名前をそう、今日から私は
「ソウガ。ソウガの名前は今日からソウガだ」




