アガベ・ソウカ 2
アガベは選ばれた存在。三人しか持っていないというレア異能、トリニティ異能の一つ、トリニティブックの異能使い。自分の持つ本の中に三つ異能をとりこむことができる。逆に三つ以上とりこめば取り込んだ異能が暴走するとトリニティブックに記載されていた。
アガベはこの異能がゆえに幼少期は優遇されていた。両親からも「この子は神様からの使いよ!」と喜ばれるくらいに讃えられていた。
だけどそれも幼少期の話。最初の頃はレア異能と言ってもトリニティブックには何の異能も取り込んでいないただの異能。成長していくにつれいい感じの歳の子供になると他の子は異能を使いこなせているのにアガベだけはただ本を持っているだけ。それだけだった。そのせいでアガベはいじめられ「レアの無能!」とまで呼ばれた。
幼少期は喜んでくれていた両親もわかりやすいくらいにアガベがトリニティブックを使えていないことにいらだちをおぼえはじめ、しまいには「なんでこんなハズレのレア異能を引いたの?」とまで言われた。そんなことアガベに言われたって知らない。異能は生まれてきた時からほぼ決まっているのだから。
そしてアガベはトリニティに入る前に住んでいた村の人間に襲われ
「おい。ゴミレア異能。お前を見ているとイラつくからお前殺すわ」
は?イラつく?そんなのアガベの方がイラついてるに決まってる。
「アガベの方がイラついてるに決まってるだろ。みんなしてちやほやしたかと思えばアガベがトリニティブックを使わなかったらゴミレア異能とかいいやがって。勘違いしているのはお前たちだぞ?お前たちの異能がゴミすぎるからアガベはいつまでたっても異能を使えないんだ。学のない雑魚どもは黙ってろ」
「雑魚、だと?このクソアマァ!ぶち殺す!」
村の男はアガベに対し持っていた斧を振りあげるとアガベに振りおろすがアガベは村の人の攻撃を避け横腹に回し蹴りをくらわす。
「な!」
「どうした?ゴミレア異能?俺の異能は接着。お前が腹部に蹴りを入れた際にくっつけた。さぁ。タコ殴りにしてやんよ」
村の男は好きなだけアガベを殴った後接着を解除し
「はー。やっぱ馬鹿馬鹿しくなってきたしいいや。もうかーえろ」
村の男は帰っていくとアガベは数時間後にふらふらになりながらも立ち上がり
「アガベは、こんなところで、終わる女じゃない。こんな学がなく無知の集まりの村出て行ってやる。アガベは力を手に入れる。そしていつかは」
アガベはこうして故郷の村を出て数ヶ月後にクナンと出会い、トリニティのこうせいいんになった。