EP8.大阪到着
サチ視点
私たちは鳥から逃げたあと山を降りた。山から少し離れたところで休んだ。あんなことがあったあとに眠ることはできなかった。フクはいつも以上に疲れており、すやすやと寝ていた。あの時フクはいつもの数倍速かった。
私が死ぬ恐怖心からの火事場の馬鹿力というやつだろうか。結局いろいろ考え翌日まで寝れなかった。
何日かかけて大阪に着いた。大阪に着くまでも着いたところもガレキだらけだった。
「ここからどうするの?」
「まずはお母さんの実家だった場所に行くわ」
そういって歩いた。そして実家だった場所についた。結局実家も潰れてガレキだらけだった。
「一応何かないか探しましょう」
ごそごそとガレキをさぐっていると大きな柱があった。ここから先は探れないな。
「ひっ」
柱に赤い液体が付いていた。
「こ、これって血」
この家には祖母が一人で住んでいた。
「これ以上はやめておきましょう」
少し離れフクが
「ど、どうする?」
土地勘がないためなにをすればいいかわからない。ただ帰るわけにも行かない。
「…」
「お前ら、そこから動くな」
「っ!」
小さな女の子、中学生くらいだろうか。フードをかぶって口元を隠している。
「フク!動かないで!」
咄嗟にあの子を止めようと動こうとしたフクを制止する。相手は銃を持っていた。
「じ、銃!?」
「そうだ、そこから動けば撃つ。いくつか質問をする。まずどこからきた?」
「東京からだ」
「どうやって生き残った」
「怪物が襲われた時には宇宙にいた」
「ん?よくわからないのだが?」
私は今まであったことを全部話した。
「なるほど、嘘にしてはバカバカしいな。まぁそれはいい。なぜここにきた」
「母を探すため」
その後も何個か質問をされた。
「最後の質問だ。怪物のことをどれだけ知っている?」
「ほぼ何も知らない。一週間以上前に突然現れたことしかしらない」
「なるほどな。信用に足らん、残念だがここで死んでもらう」
「な!?」
「私たちは全ての質問に嘘をついていないわ」
「その嘘をどうやって見破る」
この状況をどう打開するべきか。相手と話し合いをすべきか…いや信じられないと言われるのがオチだ。降伏も同様だろう。結局武力行使しかないのか。彼女は銃を持っている。
こっちは丸腰。前回のフクの状況を出させることに賭けるか?しかしフク次第になってしまう。
私はチラッとフクの方向を見た。フクはこっちを見てコクッと頷いた。フクは私が凄い案を出すことを信じているのか。彼女までの距離は約10m。今も銃を持ちながら少しづつ近づいてきている。弾が当たる距離まで近づくだろう。
フクにジェスチャーを出した。
そして私は彼女に話しかけた。
「そこで立ち止まってくれない?」
「なぜ私がその言葉を聞く必要がある」
彼女は歩みを止めない。私は話し続ける。
「私は怪物について、最も重要なことを知ってるわ。ただあまりにも突飛で信じてもらえないと思ったの」
「…」
「だから今から話すわ。それでも信用できないのであれば何をしてでも抵抗するわ」
「私は銃という武器を持っているが?」
「どうせ、死ぬ運命なら抵抗する方がましよ」
「ふふ、そうだな」
「さて、まず何から話せばいいかしら」
どうやって時間を稼ぐ…フクにジェスチャーはした。しかし伝わるかどうか…いやこれに賭けるしかない。話し合いで済むのならそれが1番いいが。
「まず怪物を調べてわかったことがあるの。それは昔の生物だと言うことよ」
「そのぐらいなら私も知っている」
「ではどうやってその昔の生物が現代に来たか、わかる?」
「そこまでは知らないな」
「どうやって来たのか分かるきっかけを私は聞いたのよ。さっき話した東京にいる人物に」
「で、どうやって来たんだ?」
「時間を飛ぶには光速に近いスピードで動くことが必要。でもそれは不可能でしょ。だから発想を変えたの。それはパラレルワールドから来たのではないかと」
「なるほど、それは確かに突飛だな。理由はらあるんだろうな」
「その怪物が来た時の瞬間どうやって来たかを聞いたのよ。それは白い穴のようなものが突如空に現れてそこから出てきたとね」
「なるほど、もしやホワイトホールとか言うんじゃないだろうな?」
「そのとおりよ、ブラックホールと対となるホワイトホールからあの怪物どもはきたのよ」
「ではなぜブラックホールという強い重力の場所で生きてこちらに来れた?」
「それは…」
「他にもあるぞ、なぜ急に空にホワイトホールが現れたのか、とかな」
「ぐ…」
「最初から見えてたんだよ、お前がメガネを触れてそっちの坊主にジェスチャーするところをな。あらかた私がヘイトを集めるからメガネを触ったら飛びかかれと指示したのか
な」
「ふふ、最初からバレてたのね、ではなぜ話を聞いたの?」
「一考に値すると考えたからだ。お前は頭が良さそうだからな。ただあれは嘘だと私でも分かる。アラが多すぎるからな」
そう返され私はメガネを取った。
「私は殺されるのかしら?」
「不安な因子は消しておくべきだ」
「そう」
私は諦めた
そして銃口がこちらを向く…その前にめがねを投げた。
「な、め、目が!」
メガネのレンズに太陽の光が反射し彼女の目を襲う
この瞬間を待っていた。
「フク!」
「よっしゃ」
フクは彼女にミドルキックをかました。
そして倒れた彼女の上に座り銃を取り上げる
「よし、制圧完了」
「一件落着かしら」