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EP7.フクの大切なもの

フク視点


オレたちは母ちゃんを探すため東京から大阪まで歩いていた、今まで来た場所はどこもかしこもガレキだらけで多分本州は壊滅しているのだろうと姉ちゃんが言ってた、歩くのはとても大変で姉ちゃんによると東京から大阪までは約500キロあるらしい、ただ姉ちゃんいわくそれは直線距離らしい、、それがどのくらいなのか知らないけど遠そうだ、でもオレたちは太平洋側を歩いているからそれより距離は遠いらしい

「海ってきれいだなー」

フクはふと思ったことをサチに言った

「そういや姉ちゃん方角とかって大丈夫なの?」

「これが何かわかる?」

「時計だけど…時間で方角ってわかるの?」

「アナログ時計だとね、やり方聞く?」

「い、一応」

「時計を水平に持って短針を太陽の方向に合わせるの、そうしたら短針と12時の丁度半分が南になるのよ、午前は時計の左側、午後は時計の右側を見るの」

「へぇ」

「方角がわからないんだから覚えときなさいよ」

「3分後までは覚えとくよ」

「まぁいいわ、あなたには運動で手伝ってもらうから」

「うぃー」

話しながらオレたちは歩いていた、途中途中に休憩を挟みながら静岡まできたところだった

突如、地面が揺れた、オレたちは立つのすら困難だった

「まさか、あの植物のやつがまた!?」

「いいえここに植物は見当たらない、だから地震よ、この規模南海トラフかしらなんて間の悪い、フク!速く陸側に走るのよ!

オレたちはすぐに走っていた、そうしたら急に大きな音がした、振り返るとさっきまでいたところに津波が来ていた

姉ちゃんは「さ、さすがに威力が高すぎるわ!?すぐにここまで来る波が出ると思うわ、すぐにもっと高いところへ行くのよ!」

ラクはすぐに走った

「津波は回を重ねるごとに大きくなるわ!しかも怪物がこれを起こしているならその分強くなる」

一回目の波が引いていく

「波が引いたよ!」

「2回目が来るわ、さっきより確実に大きくね」

オレたちはひたすらに走った

2回目が来た

波の音がひどく大きく聞こえた、オレたちは振り返る余裕もなくやがて波の音が小さくなり少し振り返ると数メートルしたまで波が来ていた  

「2回目も引いてった!」

「わ、わたし、も、もう限界かも…」

姉ちゃんは足を止めてはいなかったがさすがにきつそうだ

オレは姉ちゃんを背負いさっきより速く走った

「な、は、速い!さっきまでは私に合わせてたのね」

3回目の津波だ、姉ちゃんが様子を見ている

「明らかにさっきより大きさが段違いだわ、ここから見た限りだけど、ここも呑まれそう」

オレはその言葉を聞き力を振り絞った



「波が引いていくわ」

その言葉を聞きオレも振り返ると確かにさっきいた場所に津波が来ていた

「この山の頂上まで登りましょう」

オレは山の麓にいたがすぐに中腹までは行けたここで姉ちゃんが

「ものすごく速く来れたから津波が来るまで余裕が出来たわね、ここからは私も走るわ」と言い、二人で山を登った、姉ちゃん曰わくこの山は標高800m程、津波がこの山を越えることは不可能に近いらしい

オレが座っていると4回目の津波が来たと姉ちゃんが言った、5回目以降は津波の威力も落ちここまでは来ないらしい

「つかれーたー」

「ごめんなさい、私のせいで疲れさせてしまって」

「いいよいいよ、頭は姉ちゃん、体はオレ、役割があるよ」

「おそらくあれは怪物が津波の威力を高めていたのだと思うわ」

オレたちは疲れたので食事をとっていた

「運動したあとのお肉はおいしいなー!」

「あなたは塩を摂りなさい、汗を流し過ぎている」

「クワァクワァクワァ」

突然何かの鳴き声が聞こえた、上を見ると見たことのない大きさの鳥がいた

どうやら肉の匂いに釣られてここに来たようだ

鳥は興味がオレたちが食っていたものからオレたち自身に移ったようだ

「姉ちゃん!怪物だ」

「えぇ、そうみたいね」

意識がほんの少し姉ちゃんに寄った瞬間オレの視界から鳥は消え、変わりに姉ちゃんの悲鳴が聞こえた

「姉ちゃん!!」

「フク、あなたの足で巣までついてきて!」

「そう遠くない!あって数キロそれ以上はないわ!」

フクは鳥を見失わない様に走った

「くっそ、さっき走ったあとだから倍きつい」

300m程走ったところだろうか、オレはきつさのあまり一瞬下を見て走った、「まずい!」と思ったが既に遅い、鳥は視界から消えた、けどオレは走った見失ったくらいで姉ちゃんを助けるのを諦めるわけにはいかない

数秒後「フクーー!」と聞こえた

声のした方向に走ると鳥と姉ちゃんが見えた

そしてさらに数十秒後、鳥が止まり巣らしきところへ行った、オレはその木を登り上に出ると姉ちゃんは鳥のヒナに食われそうになっていた


心臓の音がバカデカく感じる

この現象は自分にとって1番大事なことをするために起こるものだ、スポーツ選手の場合は集中した状態で入るゾーンのようなもの、それがフクは大事な人を守ること、それがトリガーだった、フクは極度の集中そのことがこの現象を引き起こした、全てが遅く感じ、全て見える様になる


「うぉーー!」

電光石火の早業でオレは姉ちゃんを取り返し、すぐに木を降りた、そしてもといた場所に戻った

「そこにある泥を被るわよ」

オレはえ?となったが姉ちゃんが言ったことに間違いはないと信じ泥を被り姉ちゃんがうつ伏せになっていたのでオレもそうした

鳥はオレたちを見失ったらしく、バサバサと巣の方向へ戻っていった

「た、たすかったー」

オレは心臓の音が普通に戻った、しかし津波から逃げる時よりも疲れがどっと溜まった

「ここにいるのは危ないわ、すぐに逃げましょう、ただ音を立てたりしたらすぐバレそうだわ、遅くていいからこの山を降りましょう」

「ゆっくりか、そりゃいい」


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