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EP9.避難所


サチ視点


「どこからがお前の策だったんだ?」

「考え始めたのはあなたが話しかけて来た時だったけど、策を始めたのはフクにジェスチャーした時よ。あの時私はわざとメガネを触るところを見せた。そうすればあなたがフクに何か指示をしている。それはメガネを触ったときもしくは取ったときだ、と思ってくれる時思ったから。実際はフクだけに投げるジェスチャーをしてメガネを投げたら動けと指示をしたの。メガネを投げて太陽光を反射させあなたの視界を奪う。計算が間に合って良かったわ。もちろん、私が話したことは全部はったりよ」

「なるほどな、私はお前の策に騙されたのか」 

「あなたも極限状態だったし気づかないと思ったのよ。あなた、人を殺したことないでしょ。震えてたもの」

「震えか…。でお前たちは私に何を望むんだ?」

「情報と寝床よ」

「…いいだろう」

「いつ裏切られてもいいように銃は突きつけるわよ」

「承知の上だ」

「え、姉ちゃん、オレ、人なんか撃てないよ」

「大丈夫よ、彼女は裏切れないわ」

「気づいていたか」

「え、え?何が?」

「彼女、足を怪我しているのよ」

「え!?」

「怪物と一戦交えたときに少しへまをしたよ」

「少し離れたところで銃を保管すればいいわ。それよりあなたは今までどうやって過ごして来たの?」

「近くに避難所のようなものがある」

「避難所!?」

「そこには何人ほどいるのかしら」

「16人だ。もともとは30人ほどいたのだがな。怪物に襲われたり、ここを出てったりして少なくなった」

「そこにお母さんがいるかも!」

「そこに連れて行って。そしてそこで住ませて欲しいわ」

「拒否権は私にはない」

そう言ってゆっくり歩いていった。私たちはその後ろを歩く形だったがフクがじれったくなり銃を私に渡し彼女をかついだ。

「そういえばあなた名前は?」

「ハルだ」

「オレはフクだよ!」

「私はサチ、とりあえずはよろしくね。ハル」

「次の角を右だ」

何度かハルが指示を出し10分ほど歩きそれらしきものが見えた。門番もいるようだ。

「衛兵!私がどうなっても構わん!こいつらを捕らえろ!」

「あなた!一体何を!」

「言っただろう。信用に足らないと。信用がないものをここに入れるわけにはいかんのだよ」

衛兵と呼ばれた男がこちらに話しかける

「しかし、リーダーに何があったら私たちは」

これはチャンスだ

「取引だ!こいつをそちらに受けわたす!そのかわりにお前らは私と私の弟を避難所に入れろ!軟禁でもいい」

避難所がざわついた。おそらく武力を使わないならその方がいいと考えている人も多いだろう。しかも人質がこちらにもいる。そしてその人質がリーダーとあらば…

「リーダー!?」

「そうだが?」

フクが聞く

「いや、お前何歳だよ!?」

「女性に年齢を聞くのは失礼では?」

「撃ち殺されるか年齢をいうか選べ!」

「そこまで言うのか。私は42だ」

「「よ、42!?」」

「てっきり、小学生かと…」

「なんだお前ら!そんなに小さく見えるか」

「小さいというか…」

「これってロリババアってやつ?」

「お前ら…私をなんだと…」

そんな緊張感のないやりとりをしていると向こうから声がかかった。

「えーと、楽しそうだな?」

「はぁ、もういい。こいつらを入れてやれ」

「え、いいので?」

「いいから」

「わ、わかりました。ゲートを開けろ!」

衛兵と呼ばれた男がそういうと目の前の門が開いた。

「いいのかしら?」

「殺された時は殺された時だ」

ふと疑問に思ったことを聞いてみる

「ここは怪物に襲われないのかしら?」

「襲われないことはないだろう。今までも何回か襲われた。ただその度に大人が全員で食い止めていたよ。その度に何人も死んだがな。そういえばお前たちの年齢と名前は?随分と若そうに見えるが…」

「私はサチ、そっちはフクどちらも中学3年よ」

「友達か?」

「姉弟よ」

「双子ということか?」

「いや私が4月生まれでフクが3月生まれだわ」

「なるほど…中学3年で母を探しに東京から大阪まで来るか…」

「お前たちの母の名は?」

「『アイ』よ」

「アイ…その名前どこかで…」

「知ってるの!?」

「分からないが聞いたことはあるかもしれない。その名前心に留めておこう」

ハルが私たちに協力してくれたため、私たちは避難所に入れた。

私たちはそこで何日か過ごした。働かざる者食うべからずと言われ、私たちは食糧調達や子どもたちの世話をした。子どもたちと言っても16人中3人。それでもこの環境で3人いるのはすごいことだ。安全管理が徹底されていることが窺える。ちなみに16人の内8人が男性、5人が女性そのうち1人がおばあちゃん、そして後の3人が小学生6年生の子どもである。何人か会っていない人はいるが大体の人の顔と名前は覚えた。ちなみに子ども3人の名前は「ケン」、「ショウ」、「ハナ」だ。

ケンは走ることが好きらしくよくフクと運動をしている。逆にショウとハナはよく私に分からないことを聞きにくる。

「お前ら、仲良くやってるか?」

「ハルさん。はい、おかげさまで。なんか会うのが久しぶりに感じます」

「そうか?確かに最初にあった日からはあってないが…一週間たっていないぞ?」

「たしかにそうですけどーーーー」 

「あ、リーダー、リーダー!あいつ足めっちゃ速い!」

「そうか。ケンも負けないように頑張れよ」

「うん!いつかボッコボコにしてやるんだ!」

ここだけ見ると子どもたちが仲良く話しているように見えるな。人を見かけで判断してはいけないな。

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