不思議な町
今日も夢の話です。
ここはどこだろう。
はっきりとしない意識の中で僕はゆらゆらと揺られている。
まわりを見渡したところ、どうやらここは電車の中のようだ。外はよく見えない。
しばらく揺られていると、どうやら駅に電車がとまったようだ。
扉が開き、僕が一歩駅へと踏み出すと、駅が随分ボロボロなことに気付く。
しかも周りはまるでジャングルのように木々が生い茂っている。
駅のホームをうろうろと探索した限り人の気配は感じない。改札の方にも行ってみたがどうやら人は居ないようだ。
取りあえず駅の外に出てみる。
するとなんだか、人の足跡のようなものがジャングルの中にあるのに気づいた。
取りあえずこの足跡をたどって行ってみようと思う。もしかしたら誰か人が居るかもしれない。
しばらくすると川が横を流れていることに気がついた。
足跡は川沿いにある、もしかしたら僕と同じように迷ってしまった人なのかもしれない。
それから更に歩いていると、ジャングルの終わりが見えてきた。そして視界を遮っていた藪をのけるとそこにあったのは。
まるでリゾート施設のような大きな町だった。
この町はどうやら川をまたいで、更に海までつながっているようだ。
取りあえず町の入り口らしき場所を目指して歩く。
「お兄さん!いらっしゃい!」
町の看板の前に元気そうな女の子が立っている。
「お兄さんはこの町に来るのは初めて?よかったら案内しようか?」
どうやら町の案内をしてくれるようだ。だがどうして見ず知らずの僕にそんな事してくれるのだろう。取りあえず僕は女の子の案内についていくことにした。
僕は洋風の家がならぶ町並みにに興味を引かれる。
女の子はそんな僕のようすにかまうことなく、町についていろいろ説明してくれている。
女の子が最初に連れて行ってくれたのはホテル?のような場所だった。
女の子が受付の人?と何事か話すと、女の子はホテルの部屋の鍵を持って戻ってきた。
「まずは宿を確保しなくちゃね!お兄さん!」
確かにその通りではある。取りあえず女の子についていってみると「303」というプレートが貼られた部屋の前にたどり着いた。
どうやらここが僕の部屋のようだ。
女の子が鍵を開けて中へ入るように言う。僕は特に荷物を持っているわけではないが。
ジャングルの中をずっと歩いていたせいか、随分と疲れた気分になっていた。
「お兄さん!見てください!そろそろレースが始まりますよ!」
女の子は僕が部屋に着くなりカーテンを開け海がある方を指す。
窓の方を見ると何かが海の上をすさまじい早さで泳いでいるのが見える。
「あれはいったいなにが泳いでるの?」
「泳いでるのは人魚ですよ!この町では度々人魚レースを行っているんです!」
人魚?あのすさまじい早さで泳いでいる生き物が人魚だというのか。というか人魚は実在していたのだろうか?まぁこのホテルからはっきりと見えないので何とも言えないが。
そうこうしている内にどうやらレースは終わったようだ。
「僕今日はもう眠いから案内は明日からお願いしてもいいですか?」
僕がそういうと女の子は明るく了承してくれた。そして去り際に僕の頬にキスをしていった。
「???」
取りあえず僕はベットに寝転がり、この悶々とした気持ちを落ち着ける為に深呼吸する。
そして目を閉じていると、疲れからか段々と眠くなっていった。
コンコンコンと扉をノックする音で目が覚める、いつの間にか寝てしまっていたようだ、外はもう真っ暗で所々に明かりが見える。
取りあえずベットから起き上がり、扉の方へ向かう。
「今開けます」
僕が扉を開けると外には僕より少し年上ぐらいの男の人が立っていた。
「ちょっとこっちに来てくれ」
男の人は僕にそれだけ伝えると僕の手を引いて向かいの部屋へ連れ込んだ。
「???」
向かいの部屋も僕の部屋とは特に作りは変わらないが、しかし窓の外は海ではなく果てしなく続くジャングルと川が流れているのが見える。
僕が突然この部屋連れ込まれたことに困惑しつつしげしげと部屋の中を見ていると、男の人が話始める。
「この町は狂っているんだ、町の奴らは人間を見かけるとその人間を町の中に招き入れ。数日間過ごさせて油断させた所を殺して食っちまうんだ!」
彼の表情は非常に鬼気迫るもので、嘘をついているようには見えなかった、しかし、あの女の子がそんな残酷なことをしているようにも見えない。だがもしも男の人の話が本当だとしたら僕はとても危険な状況にいることになる。
「俺はこの町の奴らに友達を殺された。俺はなんとか殺される瞬間に逃げることが出来たが、これ以上犠牲者を増やすわけにはいかない。だからお前に手をかしてほしいんだ。」
男の人は焦ったような表情で僕に頭を下げる。
どうしたものかと困っていると、彼は写真を懐から一枚の写真をとりだす。
「あいつらが人を殺してる所をたまたま撮影できた時があったんだ。これで信じてくれないか?」
その写真には確かにこの町と思われる場所で何人もの女の人が一人の人間を食べている所が写っていた。
僕はその写真のあまりに衝撃的なようすに少し吐き気がこみ上げてくる。
「わかった...協力するよ」
僕がそういうと彼はまた懐から液体の入った小瓶を取り出す。
「これをあの川の上流にあるほこらの中にある像にかけるんだ。すると川がすさまじい勢いで流れるようになる。つまり奴らをこの町ごと吹き飛ばすって寸法だ!」
男は意気揚々と僕にそう説明する、何故液体を掛ければ川の勢いが増すのかわからないが、人魚がいるならそういうこともあるだろう。
僕がそう納得していると男は急に真っ白な顔をして窓の方へ向かう。
「いったいどうし...」
僕はその言葉を最後まで言うことが出来なかった。
何故か言えなかったのか、それは落下していく僕の目が最後に見た。
『化け物の達のせいだろう』
途中で力尽きて結末焦りました。