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番外編 「友情DAYS」 3

 しかし、俺はそんなことも考えずに毎日彼に話しかけた。


 覚えたての自己紹介をして、積み木やプラレールなどで時間を共に過ごしていく。最初の一日二日は何も答えてはくれなかったが徐々に日が経つと彼は次第に口を開くようになった。


「……そ、その……」


 俺がレールを敷いていると、彼は徐にそう言った。


「なに?」


 作業をしつつ、僕は返事をした。


「ぼ、僕……その、あ、あんま、あんんまり、はなせな、くて……」


「うん、しってるよ」


「え、え、えっと、そ、そうな、の?」


「……ん~~、なんとなく⁇」


 これもまた適当だ。

 別に何かわかっているわけではないが適当に俺は答えた。


「す、すごいね」


 しかし、そんな嘘も彼は正面から捉える。ただ、俺も俺で全く話を聞かずに遊ぶことに集中していたため特に何も答えなかった。



 そんな馴れ初めの日々も終わり、いつの間にか四葉や忌々しいあの西島とも友情を育んだが、いつしか幼稚園を卒園して俺たちは小学生になっていた。


 彼らとは行った小学校がまるで違ったが仲も良かったため、週に一回は家に集まって遊んだものだった。ここまで来ると正直、思い出も薄れているが何となくは覚えている。


「よんちゃんって~~だれか好きな人いるの~~??」


「え、そんなの、いないよぉ」


 小学一年生ながら女子はやはり女子だったようで、経験など皆無な小学生でもその話は盛り上がっていた。


 しかし、四葉も四葉で今と変わっていない。隠しているつもりなのだろうが頬をが紅潮し、柚人の方を見つめている。まあそんな視線にも気づくわけないのだが、ここまで来ると彼女が可哀想になってきた。


「ほんとに~~?」


「ほんとぉ!」


「え~~、じゃあなんで顔赤いの⁇」


「うっ——べ、別に赤くないもんっ!」


「うそだ! あっかいじゃん、ほら!」


 鏡を向けて彼女に自分を顔を見せると四葉は顔を手で覆って隠した。


「ふぉれで、あかくないもん‼‼」


 自信満々そうな声色で言っていたがどうにも動揺しているのは窺えてしまう。今の方が縮こまっているように感じるが根っこの部分はあまり変わっていないらしい。


「あ、今見た! 見たじゃん、今絶対!」


「み、みてないけど~~」


 確実に柚人を見ていた。

 指と指の間から目を輝かせて、彼女は彼を探していたしこれはもう確信犯である。


「うそだ~~」


 ————しかし、平和な日々など一瞬にして崩れ去る運命だということはこの時の俺はまだ知らなかった。

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